SBIが新生銀にTOB! 「地銀連合」強化で不動産投資向け融資拡大へ!

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TOB価格は1株2000円、議決権比率48%目指す

新生銀は反発、買収防衛策を検討

インターネット証券などを手掛けるSBIホールディングスが新生銀行に対し、買収攻勢をかけている。新生銀側は反発して対立しており、事態はいわゆる「敵対的TOB(株式公開買い付け)」の様相となっている。SBIの狙いは、みずからの地方銀行連合に新生銀を引き入れ、連合を強化することだ。

不動産投資家にとって期待できるのは、連合に属する地銀の収益力が高まり、本来の「稼ぎの柱」である不動産投資向け融資へ資金が向かうことだ。さらに、ほかの地銀の再編機運が高まるきっかけになるとの指摘もある。地銀全体で不動産投資向け融資の拡大機運が高まる可能性があり、注目したい。

まず、SBIは新生銀にどんな「攻撃」をしかけているのだろうか。

SBIが新生銀へTOBをかけると発表したのは9月9日のことだ。

もともとSBIは、議決権ベースで19%超の新生銀株を持っていた。TOBによってさらに株式を買い増し、比率を48%まで高めるという。TOB価格は1株あたり2000円としている。

新生銀は受け入れない考えだ。

新生銀が11月25日に開く臨時株主総会で議決をはかる買収防衛策は以下のようなもの。SBI以外の株主に対して1株当たり0.8株を与え、SBIの議決権保有比率を30%未満にとどめてその発言権を抑え込むという内容だ。

SBI北尾社長「新生銀は泥棒と同じ」
金融庁、TOBを支持か 公的資金が未返済

新生銀はさらに、買い付け上限を撤廃し、1株当たりのTOB価格を2000円から引き上げる変更にSBIが応じれば賛成に転じ、総会を開かない考えを示している。SBIが示しているTOBの内容では、少数株主に不利益が出る懸念があるためだという。

SBIの北尾吉孝社長は猛反発している。

10月28日の決算説明会では、「(1株あたり)2000円でも十分払いすぎ。びた一文、(額を)増やす考えはない」と厳しい表現で否定した。

金融庁
金融庁

また、金融庁はSBIによる新生銀へのTOBを支持しているとされるが、その理由は、注入された公的資金を新生銀が返済していないこと。その額はなお約3500億円に上る。

金融庁はSBIに新生銀の経営を改革してもらい、収益力を高めて公的資金の返済に道筋をつけてもらおうというわけだ。

これに関しても、SBIの北尾社長は28日の説明会で、「(公的資金を返済していない新生銀は)泥棒と同じ」と、きわめて激しい表現で非難した。

「地銀連合構想」でSBI、すでに8行へ出資
新生銀を引き込み地銀の体力強化に期待

さて、不動産投資家がこの一連の出来事に注目すべきなのは、SBIが新生銀の買収に成功した場合、推し進める地銀連合の強化につながり、各地銀の収益力が強まり不動産投資向け融資の拡大が後押しされるかもしれないからだ。

SBIは2019年に「地銀連合構想」をぶち上げ、島根銀行に始まり、これまで8行に出資してきた。内訳は以下の通りだ。

●島根銀行(島根)
●福島銀行(福島)
●筑邦銀行(福岡)
●清水銀行(静岡)
●東和銀行(群馬)
●きらやか銀行と仙台銀行を傘下に持つじもとホールディングス(宮城)
●筑波銀行(茨城)

狙いは、SBIが強みを持つ金融商品や金融サービスを取り扱えるようにし、これらの地銀の収益力を高めること。

SBIとしては、この地銀連合に新生銀を引き込み、連合の中央銀行のような役割を果たさせたい狙いがある。たとえば、信用金庫における信金中央金庫のような役割だ。

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地銀同士のネットワークがより強くなり、地銀が扱える金融サービスが拡大することで、さらに収益力が増す。この結果、地銀が大きな収益源と頼ってきた不動産投資向け融資に、再び力を注ぐ余裕が出てくるというわけだ。

また、SBIの動きは、ほかの地銀の再編につながるとみるアナリストらも多い。地銀の再編が進めばやはり経営体力や余力が強まり、不動産投資向け融資が再拡大する可能性がある。
SBI、新生銀の動向と、それが及ぼす影響について、引き続き注視していきたい。