NYダウは最高値を何度も更新中。盛り上がりを見せる米国株のいまと今後を占うNew

米国の1~3月GDPは6.4%増!
着実に景気は回復している

コロナ禍が始まり、そろそろ1年半。日本経済は苦しい状況が浮き彫りになっている。内閣府が5月18日に発表した2021年1~3月期の国内GDP速報値は前期比1.3%減、年率換算で5.1%減だった。20年度も前年比4.6%減で、これは戦後最悪の水準。リーマンショック時の3.6%を超えた。

言わずもがな、首都圏などに発令した緊急事態宣言が大きな原因だ。輸出入は回復基調にあるが、飲食店などの時短営業が影響しGDPの半分以上を占める個人消費は前期比1.4%減、設備投資、公共投資、政府支出も減っている。

新型コロナの影響で景気が低迷する日本。これに対してアメリカは好調で両国の差が浮き彫りになった。
新型コロナの影響で景気が低迷する日本。これに対してアメリカは好調で両国の差が浮き彫りになった。

対してアメリカは好調で、1~3月期の実質GDP速報値は6.4%増と高成長を記録。両国の違いは鮮明で、明暗をわけたのはワクチン接種だ。米バイデン政権は7月7日の独立記念日までに18歳以上の70%が少なくとも1回接種を受けることを目標に掲げ、5月28日時点で人口の半分以上が1回接種を終えている。

ワクチン接種を完了した人はマスク着用が原則不要で、集団免疫の獲得とともに消費はさらに伸び、ますます景気は改善・上昇に向かうだろう。

日本でもワクチン接種は高齢者や医療従事者などを中心に進められているが、5月30日時点で1回接種した65歳以上の高齢者の割合は12.6%と出遅れ感は否めない。

ただし、6月21日からは職場や大学などでの接種を始める方針など、急ピッチで状況は変わりつつある。今後の施策に期待したい。

成長し続ける米国株式市場
コロナ禍で大量の資金が流れた

アメリカは株高にも沸いている。振り返ると2020年。ダウ平均株価は上昇を続けていて、2月半ばには3万ドルに迫る勢い。その後はコロナショックで状況が一変し、3月20日には2万ドルを割り込んだ。

ところが相場は巻き返し、昨年12月には3万ドルに到達することに。今年に入っても勢いは衰えず、6月頭で3万5000ドルに迫るなど、幾度となく史上最高値を更新し続けてきた。

個別株も好調で、「アルファベット(Google)」はこの1年間で株価は1500ドルから2300ドル超、「アップル」も80ドル台から124ドルへ、「マイクロソフト」は180ドル台から250ドル近くまで上昇した。前年比1.5倍~2倍の銘柄も少なくない。

こうした米国の株高。実体経済が反映された面もあるが、それよりも大きいのはアメリカの金融政策だ。同国の中央銀行に当たるFRB(連邦準備制度理事会)は大規模な金融緩和を実施。市場に大量の資金を供給し景気を下支えする策に出たが、ここで資金を持った法人・個人が株を買ったのだ。

コロナ禍の最中だけではなく、米国株式市場は上下を繰り返しながらも一貫として上昇を描いている。1900年は3000ドルを割っていたのが、いまでは3万ドル台半ば。「株を買っていれば資産は増える」というのが国民の共通認識だ。GAFAをはじめ新産業が育っていることも大きい。
コロナ禍の最中だけではなく、米国株式市場は上下を繰り返しながらも一貫として上昇を描いている。1900年は3000ドルを割っていたのが、いまでは3万ドル台半ば。「株を買っていれば資産は増える」というのが国民の共通認識だ。GAFAをはじめ新産業が育っていることも大きい。

実際、コロナ給付金を手にした国民は、そのお金を投資に回している。アメリカでは今年に入り国民に対して600ドルを給付したが、430名が回答したドイツ銀行によるオンライン調査によると、25歳から34歳の半数は投資に回すと回答。給付金を受け取るすべての年代を合わせると、1700億ドルが株式市場に流れる可能性があるとわかった。

そもそも、新型コロナに関係なく、米国株式市場は長期的に上昇し続けていて、よほど短期で投資しないかぎり、投資のパフォーマンスはプラスになる。GAFAなど産業が育ち国が成長していることを国民もわかっているので、資産を株に投じるのは、ごく自然なことだろう。

今後はどうなるのか
注目されるのはインフレ懸念

絶好調の米国株式市場。昨年後半~今年にかけて経済誌が特集を組んだり、証券会社も投資を促すために特設ページを開くなど、ますます注目度は高まっている。

ただし気になるのは、今後の行方だ。このまま上がり続けるのだろうか。コロナ給付などで手元にお金があり、ワクチン接種で日常生活が戻ってくると消費意欲も高まり、それが企業業績に反映して株高を誘うという見方はあるだろう。

一方で気になるのはインフレ懸念だ。消費が活発になりCPI(消費者物価指数)が上昇すると金利も上昇するのが、金融システムのセオリーだ。

すると株式市場から資金は流出する恐れがある。こういった「インフレ~金利上昇~株安」の連鎖が起きるのかどうか、その引き金となるCPIの動向に多くの市場関係者は注目している。

経済が正常化に向かう中、金利の上昇は避けて通れない。そういった点で不安はつきまとうが、経済自体は底堅く、長期的な上昇トレンドが期待できる米国市場。いまは日本の証券会社から売買ができるので、トレードを始める人も増えている。分散投資の選択肢に加えてはいかがだろうか。

                                                  株式会社寧広