「夏のボーナス」をもらったこの時期に、安定した分配金が魅力のJ-REIT(ジェイリート)に投資してみるのはいかがだろうか?
株式投資で配当金生活を楽しむように、J-REITで分配金(株式投資の「配当金」と同義)を毎月もらおうというシリーズ。
7月決算のJ-REITをいま買うと、3ヶ月後の10月に分配金がもらえる。
J-REITの分配金利回りは3~6%。株式投資よりも高配当なものが多い(一部のホテル特化型リートは除く)。
経済的自立と早期リタイア、FIRE生活への一助に、7月決算の注目2銘柄をご紹介する。
7月決算のJ-REITは16銘柄!
注目は日本ロジスティクスとイオンリート
7月決算期の銘柄は多く、16銘柄ある。
東急リアル・エステート投資法人
日本ロジスティクスファンド投資法人
森ヒルズリート投資法人
産業ファンド投資法人
アドバンス・レジデンス投資法人
ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人
コンフォリア・レジデンシャル投資法人
イオンリート投資法人
ヘルスケア&メディカル投資法人
サムティ・レジデンシャル投資法人
いちごホテルリート投資法人
スターアジア不動産投資法人
三井不動産ロジスティクスパーク投資法人
伊藤忠アドバンス・ロジスティクス投資法人
エスコンジャパンリート投資法人
東海道リート投資法人
※証券コード、銘柄名、投資口価格、予想分配金利回り。
「投資口価格」とは、J-REITの場合の「株価」に相当する。
投資口価格と予想分配金利回りは2022年7月5日終値現在。
J-REIT(ジェイリート)とは、証券市場に上場している金融商品「不動産投資信託」のこと。
J-REITを購入すると、株を買うぐらいの小口資金で、大規模大家さんの仲間になれる感じだ。詳細については過去記事を参考にしてほしい。
7月決算の注目銘柄は日本ロジスティクスファンド投資法人とイオンリート投資法人の2つだ。
老舗物流リートの日本ロジ、先行者利益で好立地物件を多数保有
再開発も自ら行うことで含み益率が最高水準
日本ロジスティックファンド投資法人(略して日本ロジ)は物流施設特化型リートだ。日本初の物流リートである。
メインスポンサーは総合商社の三井物産株式会社。サブスポンサーは三井住友信託銀行とケネディクス株式会社。
日本ロジは2005年に上場した。2008年のリーマンショックや2011年の東日本大震災などの逆風を凌いだ、無二の物流施設系リートだ。
他の物流施設系リートはずっと遅く、2012年以降に設立されている。
そして、古参Jリートだからこそ、同リートは好立地に建つ物流施設が多く保有している。
東京湾の湾岸エリアや国道16号線内という一大消費地に近接する物件比率が67.1%と、他の物流系リートに比べて非常に高い。
なぜなら「先行者利益」として、物件価格が高騰する前に、好立地の優良物件を押さえていたからだ。
後発の物流系Jリートは、最新鋭の大規模施設を保有している点は強みだが、立地に関しては少し弱い。
テナントにとっては、一大消費地に近い倉庫は利便性が高い。そのため、日本ロジの稼働率は高い状態だ。
また、日本ロジはJリートでは珍しい「独自の取得戦略」を取っている。
大多数のJリートは、スポンサーや市場から物件を取得することが多い。しかし、日本ロジの場合は、保有物件の再開発も自身で行っている点が独特なのだ。
例えば、平屋建てだった築古の倉庫物件を、4階建ての最新仕様で建て替えている。このことで賃貸面積が大きくなり、作業効率なども向上することで、物件の収益力と資産価値が著しく向上している。
そして、自身が再開発することで、開発利益に相当する含み益も得ることができるわけだ。
このように、まだ競争相手がいない段階で好立地物件を比較的安く購入できたことや、自身でも再開発を行うことなどから、日本ロジの保有資産の含み益率はJ-REIT最高水準を誇っている。
これに加えて、財務基盤もしっかりしており、信用格付けもAAやAA-と非常に高い。メインスポンサーが三井物産なので、そのサポートも手厚い。
上記の強みを活かして、日本ロジは一口当たり分配金の安定と成長を目指している。当面の目標は、現在5,000円弱の分配金を5,600~5,700円にすることだ。
また、他の物流系リートの場合は、恒常的に利益超過分配が行われている。しかし、日本ロジは特別な場合を除き、行っていない。つまり、それほど収益力があるということだ。
日本ロジスティクスファンド投資法人
予想分配金:2022年7月期4,920 円、2023年1月期5,190 円
保有物件数:52
取得価格合計2,843億円(2022年3月1日現在)
大規模だからこそ、集客力が高い商業施設に集中投資
長期固定賃料で安定運用のイオンリート
イオンリート投資法人は商業施設特化型リート。スポンサーは小売業界大手のイオン株式会社だ。
2013年に上場したが、J-REITスポンサーが小売り企業というのは日本初だった。
イオンリートの特徴は、大規模商業施設に資産の80%以上を集中投資していることだ。
理由は、大規模になるほど商業施設自体の集客力が大きくなり、売場面積が広いことでゾーン毎の運営方法の見直し&変更がし易いからだ。
大規模商業施設には、総合スーパーと、核となる大型専門店、中小型の幅広い専門店、そして広い駐車場を持つ。多種多様な商品を扱うため、顧客層も老若男女を問わない。
大規模な「ショッピングモール」という形式から、あちこち回遊しながらの買い物や、映画鑑賞などのレジャーの場として、また、カルチャー教室やスポーツクラブなど地域コミュニティ場にもなる。
「モノ消費からコト消費へ」の需要も取り込むことで、モール内で長時間滞在しながら楽しむ施設になっている。
コロナ禍で、商業施設型リートは苦戦を強いられていたが、それは都心部に商業施設を持つ銘柄が多かった。
しかし、イオンリートのように郊外の大規模商業施設型や、ケネディクス商業リートのように毎日通うネイバーフッド型ショッピングセンターは打撃が少なく、好調だ。
ちなみに、イオンリートの場合は、ネイバーフッド型ショッピングセンターなど小規模商業施設へも投資をするが、その割合は全体の20%以下と定めている。あくまでメインは大規模商業施設だ。
このように、好調なJ-REITといえど、それぞれ運営方針と強みは違う。
ところで、イオンリートはスポンサーが小売業であるため、他のJ-REITよりも「親しまれるJリート」を強く意識している。
投資口価格(J-REITの株価)も、小口の金額設定で「投資のしやすさ」に配慮。10万円代で、現在の価格15万円前後はコロナ前と同レベルかそれ以上に回復している。
そして、保有物件が全国展開している大型ショッピングセンターなので、投資家自身が物件内を見て判断することも容易だ。セキュリティの厳しいオフィスビルでは難しいだろう。
一般的に商業施設型リートは、他のアセットタイプのJ-REITよりも賃貸契約が長く、安定した賃料が期待できる。
イオンリートも、イオングループ各社と長期の固定賃料での賃貸借契約を結んでいる。コロナ禍でも賃料減額要請などはなかったようだ。
また、「セイムボート出資」と言って、投資主の利益とイオングループの利益が共通になるように、イオンリートの投資口のうち20%弱を同グループが保有している。
同リートの保有物件は全国各地に分散されている。また、J-REIT初の海外物件(マレーシア)も持つ。
今後の資産規模は5,000億円を目指している。
イオンリート投資法人
予想分配金:2022年7月期(第19期)3,270 円、2023年1月期(第20期)3,270 円
保有物件数:47
取得価格合計:4,470億円(2022年3月17日現在)
7月決算銘柄を買って分配金をもらうには、権利付き最終売買日である7月27日15時までに購入しておく必要がある。
最後に、投資は自己責任でお願いしたい。