3000万円の築古一棟マンション、6年間のCFを大公開!

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安定した家賃収入を得ることができる不動産投資に、魅力を感じる人は多い。しかし、毎年どれくらいの家賃収入を得られ、どのようなトラブルが生じるとどのくらいの費用が発生するのか、実際に物件を購入してみるまで、分からないことも多くある。

本企画では、1つの物件に着目し、その物件の購入から現在に至るまでの詳細な収支を確認していく。毎月の家賃収入に対して、どのような費用がいくらぐらい発生し、手元にはいくら残るのか─。こうした数字の詳細を見ていくことで、賃貸経営の流れを学ぶことができる。

1回目となる今回は、中古一棟物件などを複数所有する、実践大家コラムニストの「ゆたちゃん」さんを取材。空室率の高いアパートを購入し再生、利回り20%以上で高稼働するスタイルの不動産投資家だ。これまで無借金で物件を購入、自主管理を行っており、年間家賃収入は約2000万円だ。

今回は、ゆたちゃんさんにとって6棟目となった重量鉄骨マンションの細かな収支を聞いた。購入時の空室率は66%、大規模修繕費1500万円をかけて再生させた物件だという。保有してから6年が経過したこの物件の収支の推移を見ていこう。

収支のチェック

物件の詳細、月間の収支状況、保有6年間の収支の推移は以下の通りだ。これらを踏まえ、ゆたちゃんさんに詳細を聞いた。

月間収入は直近の家賃収入を、月間支出は直近の年間支出を12カ月で割って算出

―家賃収入について教えてください

現在は15室中すべての部屋に入居者がおり、月々約56万円の家賃収入があります。平均賃料は3万7000円で、周辺の似たような間取りの物件と比べると2万円程度安い賃料です。物件価格とリフォーム費用、購入時の諸経費を合わせて3000万円程度で、3万7000円で住んでもらっても、十分に利回りを確保できるためです。

購入当初は10室が空いていたのですが、購入直後にトイレを交換する工事や外壁塗装などの大規模修繕を行ったことで、半年後に満室になりました。そのため、1年目から575万円の家賃収入を得られました。2年目以降は、毎年4室の退去が発生しました。ただ、基本的に2カ月以内に新しい入居者が入居しているため、家賃収入に大きな変動がなく、毎年635万円の収入があります。6年目は退去が2室のみだったため、家賃収入が少し多くなっています。

―支出の内訳について教えてください

現金購入をしているためローン返済はなく、自主管理のため管理費用も発生していません。

修繕費は、毎年60万円以上の費用が発生しています。これは、退去後の原状回復費用などが発生しているためです。毎年4室退去が発生しており、1室あたり15万円ほどの修繕費がかかっています。6年目は2室の退去だったため、原状回復費は30万円でした。

5~6年目は原状回復費に加え、比較的多く修繕費が発生してしまいました。5年目に給水ポンプの交換で80万円、軒天の補修で80万円、6年目に給水管の引き直しに70万円の修繕費が発生しました。

その他、毎年発生する火災保険料(一括支払いのため、年額に換算)や共用部分の水道光熱費、賃貸募集に当たる広告費などの費用、固都税も差し引くと、年間の収支は年平均430万円です。

ファミリータイプなのに「3点ユニット」で空室率66%

―この物件を購入した理由を教えてください

この物件を購入するまで、5棟の一棟物件を購入しており、家賃収入は1500万円ありました。

現在は専業大家ですが、当時はサラリーマンでした。サラリーマンをリタイアするために、給与と同じくらいの家賃収入を得られる物件を購入できたら、大家業に専念しようと考えていました。

この物件は、ネットに2000万円で掲載されているのを見つけたんです。難点は、ファミリー向けの間取りだったにもかかわらず、風呂場が、一般的には単身者向け物件に多い3点ユニットタイプだったこと。部屋数が多いため高利回りが見込めたのですが、やはり風呂場がネックなのか空室率が66%でした。

築古のため外壁や排水管などの劣化も激しく、さまざまな修繕を含めると、購入直後1000万円以上かけて大規模修繕を行う必要があると不動産会社さんから言われたんです。

これまで1000万円を超える大規模修繕を行ったことがなかったので、勇気が出ずはじめは購入を見送っていましたが、1年経っても売れ残っており、価格は1300万円にまで値下がっていました。

それなら買ってみても良いかもしれないと思い、これまでリフォームを委託していたリフォーム業者と物件を内見しました。また、周辺の賃料相場も調査しました。その結果で、購入を決めたんです。

―何が決め手になったのでしょうか。

私の購入基準の1つの目安は、実質利回り20%以上であること。築古物件を購入していくスタイルのため、早期に投資額を回収していく必要があるからです。

物件周辺を調査したところ、同じ間取りの家賃相場は、6万円程度だということがわかりました。

この物件の購入価格とリフォーム費用、購入時の諸費用を含めると約3000万円です。15室の平均賃料が3万3000円であれば、実質利回り20%を達成できる。築古物件であることを加味しても、周辺のアパートよりも半分くらい安い家賃で、実質利回り20%を確保できるなら問題ないだろうと思い、購入を決断しました。

資金は、これまでの家賃収入で貯めていた自己資金3000万円を使い、現金購入しました。

購入時の大規模修繕は「1500万円」

―物件購入後、どのように大規模修繕を行ったのでしょうか?

合計1500万円のリフォームですが、大まかに言うと4つの工事を行っています。1つめは3点ユニットのトイレを撤去し、別にトイレを新設する工事、2つめは外壁塗装、3つめは内装工事。4つめは共用部の工事です。

1つめの3点ユニットのトイレを撤去し、新設する工事は、1世帯当たり48万円で10室行いました。合計480万円です。

リフォーム前の風呂場は3点ユニットだった(写真:ゆたちゃんさん提供)

リフォーム後の風呂場(写真:ゆたちゃんさん提供)

外壁塗装は、購入したばかりではあったんですが、外壁の塗り替えのタイミングと言われている「チョーキング」が出ていましたので、このタイミングで思い切ってやりました。費用は370万円です。

4階建ての物件のため、足場を組んで工事を行った(写真:ゆたちゃんさん提供)

塗装後の外観(写真:ゆたちゃんさん提供)

内装工事は、10室分の天井クロスや壁紙、クッションフロアの張り替えに200万円、洋室化に120万円をかけて行いました。

最後に、給水ポンプや排水管などの共用部の修繕に330万円をかけ、合計1500万円です。

思い切って修繕をしたこともあり、購入した2カ月後には8室入居、さらに3カ月後に残りの2室の入居が決まり、満室稼働させることができました。

―この物件の今後の戦略を教えてください

引き続き、保有していこうと考えています。

保有期間はこれまでで6年。築古物件で、今後修繕しなければいけない箇所も発生する可能性もあるため、買い替えることも検討しました。

しかし、現市況で同程度のキャッシュフローを得られる物件は、4000万~5000万円の価格帯が多いです。この物件はリフォーム費用含め2700万円で購入したこともあって、現市況は割高に感じます。売却はせず保有し続けておこうかなと考えています。

―これまでの収支を振り返ってみて、どう思われますか?

5~6年目に入り、予想外の修繕費が多少発生したものの、これまでの累計収支は約2600万円になっており、投資金額はほとんど回収しました。諸費用分の回収までもう少しといったところですね。ほぼ、購入前の想定通りの収支で進んでいるので、安心しました。

物件価格やリフォーム費用、エリア、投資家の属性などによって、条件が異なるため、今回の事例をそのまま自身に反映することは難しいかもしれない。あくまで、どのタイミングでどれくらい支出が発生し得るのか、運営はどのように進んでいくのかの参考にしてほしい。

                                                 株式会社寧広