2回目の緊急事態宣言で、 仲介3割減、管理5%減か。「部屋探し長期化」「業績格差」時代到来。New

緊急事態宣言で、
住まい探しの活動にブレーキがかかる

2021年1月7日。東京・千葉・埼玉・神奈川を対象に緊急事態宣言が出された。期間は1/8~2/7。対象は、大阪・兵庫・京都・愛知・岐阜・福岡・栃木にも拡がり、不要不急の外出の自粛の要請がされた。

これにより、賃貸の部屋探しの活動にもブレーキがかかり、空室物件への入居促進には、ブレーキがかかるものと予測される。
では、その悪影響はどのくらいであろうか。プリンシプル住まい総研では、仲介で3割減、管理が5%減と読む。

緊急事態宣言により、賃貸仲介にも影響は避けられない。
緊急事態宣言により、賃貸仲介にも影響は避けられない。

前回の緊急事態宣言下からの
教訓。

参考になるのは、「感染者数の推移」ではなく、「前回の緊急事態宣言下の来店数」である。図は、私のとある不動産会社の来店数の推移である。

例年よりも前倒しで、1月には前年比120%で来店していた店舗。繁忙期を乗り越えつつある3月に小学校の一斉休校の対策が取られ、4月に緊急事態宣言が出され、対前年20%ダウン、40%ダウンと来店数が激減した。

しかし、繁忙期である1-3月を乗り越えていたため大きな業績影響はなく、5月末には来店数が戻っている。

この後、感染者数は、第二波、第三波と増えているが、仲介会社への来店は減っていない。相関係数を見るまでも無く、「感染者数が増えると仲介会社の業績が悪化する」のではなく「緊急事態宣言により、不要不急の行動が抑制される」と「部屋探しをする人の総量」が減退する。

こうした数値を見ると、来店数が2-4割、今回減ることも想定され、仲介件数が3割程度悪化する可能性が考えられるのだ。

とある不動産会社の来店数の前年比の変化。
とある不動産会社の来店数の前年比の変化。

前回の緊急事態宣言では
検討中止は7%、様子見は24%、来店をやめたが24%。

前回の緊急事態宣言下で、住まい探しをしていた人への調査では、緊急事態宣言でお部屋探しをする行為については、34%の人は「影響がない」と答えている。

一方で、検討中止は7%、様子見は24%。こちらの調査でも、合計31%の入居希望者の活動にブレーキがかかることが想定される。

この調査は「購入・建築の検討者」であるため、あくまでも目安ではあるものの、転居のための活動にブレーキかかかることは間違いない。

住まい探しの影響

前回と、最も異なるのは
学生向け物件。

ところで、前回の緊急事態宣言では、入居率についての影響はさぼど出ていない。

転居活動に制御がかかる事があったとしても、退去と入居の数は理論的には行ってこいてあり、突然、マーケット全体の空室が増える事は想定されにくい。
しかし、なぜ、入居率が悪化すると考えているかというと、「学生」と「法人」の影響を鑑みている。

特に学生は、前回は、「受験」「合格」「部屋探し」「コロナ禍」「入学式が延期」「オンライン授業」という順番で起っていた。

しかし、今回は「コロナ禍」「受験」「すでに先輩たちはオンライン授業じゃん」となる。

こうなると、感染リスクに冷や冷やしながら受験した学生は、「あわてて部屋探しをしなくても」という気分になる。かつ、「このままコロナ禍が続き、オンライン授業が中心なら、多少遠くても、自宅から試験などの日だけ通えばいいか」という判断もあり得る。

実際に、学生向け物件に強い不動産会社や大学生協などに筆者がヒアリングすると、「今年は決まりが悪い」という声も聞く。

こうした学生物件での空室が増える可能性は高い。前回の緊急事態宣言下では「学校が閉まっているので解約します」という退去が増えたが、今回は「そもそも様子見で部屋を借りない」という学生が増える。

また、緊急事態宣言により、企業の出社を7割減らしテレワーク推進となる中、転勤が抑制される可能性はある。前回は「転勤の辞令が延期になった」というキャンセルがあったが、今回は「営業所の統合で」といった法人異動の抑制が起る。

こうした動きで、新規入居が減る事で、学生・法人で入居率悪化は起る。マーケット全体の5%程度かと読んでいるが、エリアによる違いがかなり大きくなるだろう。

「非対面接客」が「出来る」と
ホームページに書いてあるか

こうした最中、先ほどの調査の「モデルルーム・モデルハウス・住宅展示場・不動産店舗・実物物件を見に行くことをやめた」という23%の人に注目をしたい。

「転居は志向するものの、不動産会社に行くのは感染リスクを考えると嫌だな」という人に対してどう配慮するかが鍵となる。

年明けのTVCMでも、大手仲介会社を中心に「オンライン内見出来ます」といったメッセージが多くなっている。これまでは「不動産会社の生産性改善」というテーマで、IT重説やセルフ内見などが進んできたが、コロナの感染拡大により「非濃厚接触」のため「非対面接客」が推奨されている。

オンライン内見

前述した学生や転勤層が、「見ないで部屋を決めたい」「現地から動画で中継してくれればその中で選ぶ」「何度も不動産会社に足を運ぶと、その移動で感染リスクが高まる」という不安は大きくなる。

収益物件オーナーとしては、入居を決める不動産会社がこうしたオンライン内見に対応しているかどうかが重要だ。そして、それを「ホームページのトップ画面の上のほう」に「ちゃんと書いてあるかどうか」に着目したい。

「結局、現地に行く」「最終的には不動産会社の人とやっばり会って話がしたい」という事も多いのだが、緊急事態宣言の最中で「オンライン内見などに対応している」とホームページの標榜してある事は重要だ。

アフターコロナ・ウイズコロナで
「高速」×「ネット無料」が「バストイレ別」なみに

現在、賃貸物件の9割は「バストイレ別」である(プリンシプル住まい総研調べ)。しかし、平成の初めは、ほとんど「バストイレが一緒」が賃貸物件では常識であった。

それが、新築物件が急速にバストイレ別になり、既存物件もバストイレ別となってきた。

現在、コロナ禍で学生はオンライン授業、社会人はテレワーク。外食より宅配。映画鑑賞よりステイホームで動画番組をみるようになった。こうした流れで、新築賃貸物件の7割以上がネット無料となっている。となれば今後、既存の賃貸物件でもネット無料が増え、しかも高速物件の需要が高まることは間違いない。

勝ち組と負け組の
「格差」が拡がる

これまで述べたように緊急事態宣言により、賃貸仲介件数が総論では減る。学生と法人の入居が減り、空室率も悪化するだろう。しかし、そこに「格差」が大きくなる。

すなわち、オンライン内見に対応した仲介会社は、そうでない会社よりも堅調となる。また、いち早くネット無料などに対応した会社は入居率が高く、そうした手を打っていない物件は、空室が増えてしまうだろう。

2021年は、こうした「格差」が拡がる。緊急事態宣言で平均を語るよりも、こうしたマーケット変化に対応し、最良な仲介会社・管理会社をパートナーに選ぶ必要がある。変化はチャンス。収益物件オーナーも経営の舵をしっかりと握って乗り切っていく時代となったのである。

                                                株式会社 寧広