1~3月期GDPマイナスも住宅投資「底入れ」1.1%増! 低金利は続き、銀行も融資先探すNew

閑散とした大阪・道頓堀=今年1月
閑散とした大阪・道頓堀=今年1月

緊急事態宣言などで自粛広がり個人消費1.4%減
自動車、通信機器などで設備投資もマイナス

内閣府が5月18日発表した2021年1~3月期国内総生産(GDP)速報値は、このペースが1年続くと仮定した年率換算で前期比5.1%減で3四半期ぶりのマイナスに沈んだ。新型コロナウイルスの感染拡大で個人消費が落ち込んだのが最大の理由だ。

ただ、GDPを構成する要素のうち住宅投資は1.1%増とプラスを記録。住宅需要の回復を示しており、不動産市場には明るい数字だ。

日本銀行の金融政策で低金利が続くことは間違いない上、地銀関係者は良い案件への融資に前向きで、不動産投資家にはチャンスとなる。

内閣府の資料から
内閣府の資料から

GDPの要素をみると、半分以上を占める個人消費が前期比1.4%減で3四半期ぶりのマイナスとなった。2度目の緊急事態宣言で外出自粛が広がり、飲食店で時短営業が行われたことなどが逆風となった。

消費と並ぶ内需の柱である企業の設備投資は1.4%減。2四半期ぶりのマイナスだ。自動車や通信機器が減った。昨年10~12月期が4.3%増だった反動も出た。

一方、住宅投資は1.1%増だった。住宅投資の額は18兆8367億円。増加率は昨年10~12月期の0.1%増から大きく増えた。

住宅投資は「下げ止まり」、マンション需要追い風
本格回復には可処分所得の増加がカギ

住宅投資は、民間が住宅の建設にあてる支出の額だ。GDP全体に占める割合は低いが、波及効果が大きく、経済の動向を探る上で重視される。

住宅建設に関連する産業は建設、不動産業、鉄鋼など多岐にわたり、裾野が広いからだ。また、住宅入居のときは、必ず家電、家具といった耐久消費財が買われることもある。

住宅投資の増加について、民間シンクタンクはどう分析しているのだろうか。

住宅投資が「底入れ」した、とするのは、みずほ証券だ。

「民間住宅投資は前期比+1.1%(10-12月期同+0.1%)と、小幅ながら 2四半期連続で増加が続いている。消費税増税以降、コロナ禍による将来所得への懸念増大や進捗遅延等も相まって減少傾向が続いてきたが、下げ止まりが確認されている」との見方を示す。

マンション需要が後押し
マンション需要が後押し

明治安田総合研究所は「投資は底堅い首都圏のマンション需要等を反映」しているとみる。

大和総研は「工事費予定額は2020年末頃から増加へと転じており、こうした動きを進捗ベースに転換して推計するGDP 統計の住宅投資も増加した」との分析した。

もっとも、本格的な需要の回復はこれからのようだ。

みずほ証券は「今後の 需要回復はあくまでも実質可処分所得回復持続性に大きく依存するだろう」と指摘。今後、賃上げなどによって消費者が支出に回せるお金が増えれば、住宅需要は本格的に伸びていきそうだ。

日銀、金融緩和を維持 低金利は続く
しっかりした経営計画で融資の確保を

最後に、今回のGDP全体による影響についてみておきたい。

1~3月期はGDPがマイナスに沈んだが、4~6月期も2四半期連続でマイナスになるのではないかとの見方が出ている。

5月末まで緊急事態宣言が延長されたことで、引き続き経済活動の抑制が続くとみられるからだ。

とくに苦しいのは飲食、宿泊、観光といった業界で、関連企業に勤める人を中心に、賃貸需要は抑えられるとみられる。

給料が下がったり住宅手当が切られたりすると、より安い家賃の物件に流れたり、物件を借りてくれなかったり、家賃を滞納したりする可能性があるからだ。

一方、融資の金利という面からは「追い風」となる。

というのも、経済の状況が悪い状態なら、日本銀行が大量のお金を市場に流す「金融緩和」を続け、金利は低水準で推移するだろうと考えられるからだ。

日本銀行
日本銀行

日銀は4月の金融政策決定会合で、経済が落ち込んでいる状況を踏まえ、大規模な金融緩和を続けることを決めた。当分、今の低金利が続くということだ。

ある地銀関係者は「低金利でも、お金を借りたりという資金需要がない」とこぼし、良い案件には積極的に貸していきたい考えを示している。賃貸経営でしっかり収益を上げていく計画を示せれば、融資はつくということだ。

日本経済のピンチをチャンスに変える、したたかな戦略が求められる。

                                                  株式会社寧広