1匹2億円超で落札したことも! 世界の富裕層を顧客に盛り上がる“錦鯉投資”&ウイスキー投資New

新潟県発祥の「泳ぐ宝石」が
海外の愛好家から高い人気

不動産をはじめとする現物資産、株式や投資信託の金融資産など、慣れ親しんだ投資対象。一方、世の中には「こんなモノが?」という、ユニークな対象もあるようで、その一つが観賞用でお馴染み、「泳ぐ宝石」と呼ばれる「錦鯉」だ。2018年に広島県で開催されたオークションでは、1匹が2億300万円で落札されたという。

新潟県発祥の錦鯉。赤や白の鯉などを交配させて作り上げてきた。県内で品種改良や養殖が行われ、現在は全国各地に養殖業者が点在。日本国内だけではなく近年は海外への輸出が拡大している。
新潟県発祥の錦鯉。赤や白の鯉などを交配させて作り上げてきた。県内で品種改良や養殖が行われ、現在は全国各地に養殖業者が点在。日本国内だけではなく近年は海外への輸出が拡大している。

錦鯉とは、観賞用に品種改良された鯉のことで、色鮮やかな体色が錦に例えられ、このように呼ばれている。

飼育用として人気が高く、日本庭園などで目にすることが多い。日本では江戸時代に新潟県を中心に農民の間で飼育が始まり、「農民芸術」とも呼ばれるそうだ。

冬期の非常食用として休耕田に鯉を養殖する習慣があり、隠田(年貢の徴税を避けるため密かに耕作した水田)が多く、裕福であったことが関係しているという。

明治時代になると品種改良が進み養殖が盛んになり、大正時代には「大正三色」、昭和時代には「昭和三色」といった品種が生まれ、現在では約100品種が存在することに。

1914年に東京大正博覧会に出品されたことをきっかけに国内で関心が高まり、斑点模様や色彩、大きさ、体型が評価基準となり、高値で売買されるようになった。ただし、オイルショック後にブームは落ち着き、近年は一部の愛好家の間で親しまれている。

一方、ビニール袋の普及と注入酸素による輸送が可能になったことで、航空機や船舶での輸出が盛んになり、海外ではハワイに住む日系アメリカ人の間で人気が高まった。1

960年代後半~70年代になると欧米や台湾、香港、シンガポールなどアジア各国への輸出が拡大。2000年以降は輸出が中心となり、財務省の貿易統計によると、当時は10億円以下だった輸出額は2017年に3倍上の35億円を突破。翌年には43億円を記録した。クールジャパンの影響もあるだろうが、高級魚を持つことにステイタスを感じる層も少なくない。

錦鯉の輸出額は右肩上がりで拡大。海外でも人気の新潟米を上回る金額で推移していて、日本を代表する輸出品の一つになりつつある。 出所:日本政策投資銀行新潟支店レポート「新潟県内錦鯉産業の『強み』」
錦鯉の輸出額は右肩上がりで拡大。海外でも人気の新潟米を上回る金額で推移していて、日本を代表する輸出品の一つになりつつある。
出所:日本政策投資銀行新潟支店レポート「新潟県内錦鯉産業の『強み』」

その美しさから世界中に愛好家がいて、近年のデータによるとオランダや香港への輸出が目立つ。ただし、中国は日本での疾病蔓延を理由に錦鯉の輸入を長らく制限していて、実際は香港経由で搬入しているとみられる。

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欧米やアジアで中間層~富裕層の間で人気の錦鯉。ペットとして育てたり、品評会での受賞目的に飼う人も少なくない。輸出国の数も増えていて、2017年時点で36か国にものぼる。 出所:日本政策投資銀行新潟支店レポート「新潟県内錦鯉産業の『強み』」
欧米やアジアで中間層~富裕層の間で人気の錦鯉。ペットとして育てたり、品評会での受賞目的に飼う人も少なくない。輸出国の数も増えていて、2017年時点で36か国にものぼる。
出所:日本政策投資銀行新潟支店レポート「新潟県内錦鯉産業の『強み』」

そんな錦鯉は安いものだと500円もしないが、品評会で入賞するようなものだと、1匹1000万円以上することも。

その多くは中国人の富裕層がオーナーだという。彼らにとって、品評会で勝った錦鯉を持つことはステイタスで、日本国内で専門家に飼育を委託したり、品評会で実績をあげた錦鯉を中国に持ち帰り観賞用として育てている。

全日本錦鯉振興会による品評会では中国人所有の錦鯉が数多く優勝を飾り、冒頭で述べた約2億円で落札されたものもそのうちの1匹。オーナーは中国人だ。

こうした背景もあり、密かに注目されているのが錦鯉投資だ。日本政策投資銀行新潟支店レポート「新潟県内錦鯉産業の『強み』」によると、既存の野池を利用する場合は比較的低負担で始められるというが、新潟県のように越冬のために加湿式ハウスが必要な場合は数千万円の初期投資が必要になるという。

人件費や餌代、水道光熱費、修繕費などがかかり、育成から販売までは最短で3~4か月長いと1~2年はかかるので、当面は運転資金もかかる。

国内錦鯉養殖業者は後継者不在などを理由に減少していて、2013年時点で553。ほとんどの事業者は個人経営だという。一方、今後も中国をはじめとするアジア諸国の経済発展を背景に、需要は拡大する可能性がある。ユニークな投資としてさらに注目されるかもしれない。

サントリーの「山崎55年」が8500万円で落札
ウイスキーが投資対象になっている

錦鯉だけではない。2019年に香港で開催されたオークションでは、サントリー最高酒齢のシングルモルトウイスキー「山崎55年」が620万香港ドル(約8515万円)で落札された。

同品は2018年6月に、サントリーが国内在住者を対象に抽選で販売。生産量限定100本と希少価値が高いこともあり、価格は税込みで330万円。一方、国産ウイスキーは中国人富裕層の間で絶大な人気を誇り、20倍以上で落札された格好だ。同年2月に都内であったオークションでも「山崎50年」が中国人により、2800万円で競り落とされている。

同年には埼玉県秩父市に拠点を構えるベンチャーウイスキー社の代表作「イチローズモルト」のカードシリーズ54本も、香港のオークションにおいて719万2000香港ドル(約9750万円)で落札。

同品は2005年から14年にかけて順次発売されたもので、発売時の価格は1本あたりおよそ1万5000円。54本だと81万円になるが、100倍以上の価格になった。

イギリスのサザビーズで落札された「ザ・マッカラン」の60年物にいたっては、1986年に発売された当時の価格は1本100万円。十分高額だが、33年後に150万ポンド(約2億1750万円)で落札されることに。

希少価値の高いウイスキーは高利回りを実現する、投資対象なのだ。アルコールが対象の投資といえばワインも有名だが、デリケートゆえ保管が大変。それに比べるとウイスキーは品質を保ちやすい。言うなれば長期投資に向いている。

このように、意外なものが投資対象として脚光を集めるようになった昨今。いまや、運用対処として高級腕時計を持つ富裕層いる。錦鯉に続けとばかり、メダカの繁殖で稼ぐ人も出てきた。今後も、意外なものが価値を持っていくのかもしれない

                                                 株式会社寧広