1件当りの融資額は年々減少傾向に:日銀の貸出先別貸出金調査を分析

日本銀行は、四半期に1度のペースで各金融機関向けに「貸出先別貸出金調査」というアンケート調査を行なっている。

アンケート調査の結果から、コロナが不動産投資の融資に与えている影響を探る。

※各グラフの参照データ:日本銀行

銀行による
個人の貸し家業向け貸出額推移

都市銀行や地方銀行による貸し家業向けの貸出額について、2009年以降の推移をグラフ化した。

銀行による個人の貸し家業向け貸出額推移
2009年6月以降の銀行による貸出額推移

統計は2009年6月分から発表されている。

なお、リーマンショックの発端となったリーマンブラザーズの破綻があったのは、2008年9月なので、統計はリーマン後から始まっていることになる。

グラフを見ると、リーマン後から緩やかに増えていた貸出額は、2016年~2017年にピークを迎えて以降、右肩下がりを続けている。

また、減少が始まって以降、2020年6月の貸出額は最少額だった。なお、最新の統計は2020年9月で、9月の貸出額は6月よりも多い。

しかし、調査時期ごとに上下動を繰り返していることから、12月分の貸出額は再び減少に転じることが予測される。

銀行による
個人の貸し家業向け貸出件数推移

同統計にて発表されている、銀行による個人の貸し家業向け貸出件数推移は以下グラフの通り。

銀行による個人の貸し家業向け貸出件数推移
貸出額は2017年以降減っているが、貸出件数は増えている

こちらのグラフは、毎年9月の貸出件数をグラフ化したもの。

貸出額は2016年~2017年をピークに減少しているが、貸出件数の推移については、2009年以降、全体的に右肩上がりで推移している。

2019年9月と2020年9月の貸出件数を比較すると、コロナが広がった2020年のほうが多い。

貸出額が減っている一方で、貸出件数が増えているということから、直近の3~4年間の傾向として、1件当りの貸出額は減り続けていることがわかる。

1件当りの貸出額が減っているという事実は、「自己資金の投入を求められることが増えた」という投資家の実感を裏付けているとも言えるだろう。

信用金庫による
個人の貸し家業向け貸出額推移

続いて信用金庫による2009年以降の貸出額推移をグラフ化した。

信用金庫による個人の貸し家業向け貸出額推移
信用金庫の貸出額は銀行の貸出額より少ない。

全体的に、信用金庫による貸出額は銀行による貸出額よりも少ないことがわかる。

信用金庫による貸出額の最大は、銀行による最大貸出額の20%程度に止まっている。

信用金庫による貸出額も、銀行による貸出額と同様に、コロナの影響があった2020年6月はかなり少ない状況だ。

リーマンショックの影響があった2009年6月の貸出額と、2020年6月の貸出額はほぼ同じになっている。

信用金庫による
個人の貸し家業向け貸出件数推移

最後に、信用金庫による貸出件数推移を検証する。

信用金庫による個人の貸し家業向け貸出件数推移
信用金庫の貸出件数は銀行とは違う推移を見せている。

信用金庫による貸出件数は、2018年までは増加傾向にあったものの、2019年~2020年は減少傾向にある。

なお、2020年6月の貸出額は2009年と同水準であったことを考えると、2020年における信用金庫の1件当り貸出額はかなり減っていると言えるだろう。

信用金庫の融資では、自己資金の投入を求められる傾向がより顕著になっていると予測できる。

融資を利用してもある程度は
自己資金の投下が必要に

銀行も信用金庫も、コロナの影響が表出した2020年の貸出額は、少なくとも直近3年間で最低まで落ち込んでいる。

また、1件当りの貸出額が減っていることから、自己資金の投入を求められるケースも増えていると予測される。

例えば、これから不動産投資を始めようと思う人は、融資を利用するとしても、物件価格の何割かは自己資金を用意する必要があることを念頭に計画を立てることが必要になるだろう。

                                               株式会社 寧広