首都圏賃料が過去最高、不動産バブルで家賃も強含み!?N

新型コロナウイルス感染の急増に見舞われ、2度目の緊急事態宣言下で景況感が悪化している中で、不動産マーケットはバブル感を強めている。

不動産取引の売買価格は上昇傾向が続き、東日本不動産流通機構(レインズ)によれば、2020年12月の中古マンションの取引価格は首都圏平均3739万円(前年同月比4.8%上昇)と7カ月連続で上がっている。

大規模な金融緩和と低金利により不動産が買いやすい環境が背景として大きい。この取引価格の強気は、賃貸住宅市場にも波及しており、家賃水準も切り上がり続けている。

東京カンテイが1月14日に公表した年間分譲マンション賃料を見ると、2020年は首都圏平均3081円(1㎡当たり)となり、同社が調査を開始してから初めて3000台の大台に乗った。前年比で6.8%の上昇となっている。平均築年数は22.1年だ。

賃料水準の高い東京都がけん引しており、その平均賃料は3661円(同5.2%上昇)で3年連続で5%前後の上昇率を維持している。

東京23区を見ると、1㎡当たり3831万円(同4.9%上昇)となり、平均築年数は18.6年である。

同社の分譲マンション賃料データは、専有面積30㎡未満の住宅を除き、分譲マンションの月額募集賃料を行政区単位で集計・算出している。

首都圏に限らず、愛知県でも昨年12月の単月を見ると、平均賃料が大幅にプラスとなっている。名古屋市内の平均賃料は2020年での最高値を更新したことを反映。同市内の新築タワーマンションで1㎡当たり3600円を超える高額事例が30件以上発生したためだ。

分譲賃料入稿用(年間)-1
▲出所:東京カンテイ

◎入居者の格差拡大は必至の情勢

このような賃料の強含みは、不動産の取引価格の高水準と連動しているのか。

コロナ禍で仕事を失ったり、所得が激減している人などが増えている中で家賃水準も強気に期待していいのか。賃貸オーナーとしては気になるところだ。

厚生労働省の1月19日の発表によれば、コロナ影響を受けて宿泊業で解雇・雇い止めにあった人数が見込みを含めて累計で1万人を超え、製造や飲食、小売りに次ぐ1万人超えとなった。

国内外の観光客の移動の制限に加えて、Go Toトラベルが全国で一斉に停止されたことが大きい。コロナ禍では業種・業態による格差が拡大している。政府も1月の月例経済報告で、個人消費について「持ち直しの動きに足踏みが見られる」と2カ月連続で下方修正し、景気の先行きに警戒感を示している。

ある住宅ローンサービス会社では、「たとえ上場大手企業に勤めていたとしても銀行の与信審査が厳しさを増している」と話す。

「これまで年収が1000万円を超えていても、銀行サイドはその年収が今後も維持できるのかどうかで判断している」ということでこれまでの実績よりも現在と今後の収入を重視していると実感する。

景気悪化で賃貸住宅でも収入激減に伴い家賃負担能力が一気に低下する人が増えれば、賃貸オーナーとしても職種・業種による入居者の選別をせざるを得ないのか。

ただ、賃貸オーナーは、基本的に家賃保証会社を活用しており、国の支援制度である住宅確保給付金制度も原則3カ月だが、最長9カ月から12カ月まで延長。貸し手側の支援にもつながっている。

◎コロナで脱賃貸の動きも顕在化

その一方で安定収入の属性を狙い撃ちする入居者の選別は難しさが増すのも間違いない。

安定収入層は、むしろ賃貸脱出の動きを強めている。テレワークの普及など働き方が大転換を迎えている中で、手狭な賃貸ではなくて広めの住宅を求めているためだ。

実際、新型コロナ禍を契機に住まいを見直す動きが顕在化しており、小田急不動産が昨年10月末に都区部で新築戸建て住宅を10区画発売したところ、1カ月を待たずに完売したが、購入者はすべて賃貸住宅からの住み替えだったという。

持てる者と持てない者の差が広がりをうかがわせ、その持てない者が賃貸住宅を選択せざるを得ない市場になることに警戒感が及び始めている。

もちろん、持てる者でも賃貸派は少なくないものの、そうした層は家賃が少々高めでも一定の品質がある賃貸を選択する。賃貸住宅は、人口減少による優良入居者のパイの争奪戦が一層激しくなりかねない中で、いかに賃貸住宅のクオリティアップが生き残りに欠かせない時代に突入している。

そもそも、国が持ち家政策を進めてきたこともあって、賃貸住宅の質が乏しいと指摘されてきただけに対応は急務だ。単身者やディンクス、ましてや子育てファミリー世帯が十分に暮らせる品質が圧倒的に不足している。国の賃貸住宅政策でなにもしてこなかったことを浮き彫りとしている。

これからの賃貸住宅の在り方として、隣りの部屋や上の階の生活音が気になるというのはもはや論外で、テレワークに代表されるような働き方改革に対応したり、子育てのしやすい住まいの商品化で明暗を分け、それができれば賃料が高めであっても長く住んでもらえる。前述の分譲マンション賃料の上昇傾向はコロナ禍の住まいに対する賃借人の思い乗せた結果を反映したものではないだろうか。

                                               株式会社 寧広