都心のオフィス供給は山あり谷あり、22年は過去最低となるも23年には増加。

多少、明るい兆しが見えて来ているように思えるものの、先行き不透明だった2021年だが、オフィスの供給状況はすでに2025年まで見えてきている。

リモートワークが一般的になりつつある今、気になるのは都心のオフィスが今度どうなるか。都心オフィスに空室が出るとなれば経済への影響も気になる。森トラストが発表した「東京23区の大規模オフィスビル供給量調査21」から今後の供給について見ていこう。

23年、25年に大規模供給の予測

同調査は冒頭に2000年以降の東京23区の大規模オフィスビルの供給量の推移を示している。それを見ると年によるばらつきが非常に大きいことが分かる。

ここ20年余で見ると、やはり最も供給量が大きかったのは六本木ヒルズなど大型物件が相次いで登場した2003年で、この年をして2003年問題という言葉すら出たことを覚えていらっしゃる方もいらっしゃるのではなかろうか。

ここ20年ほどで見ると多い年、少ない年はあるものの、全体としては減少傾向にある
ここ20年ほどで見ると多い年、少ない年はあるものの、全体としては減少傾向にある

その2003年の221万㎡に次ぐ供給量だったのが2020年、昨年で185万㎡。以降で見ると、2021年はその3分の1ほどの61㎡、2022年はさらに少なく51㎡となっている。

だが、問題は23年に再び増加、145万㎡が予定されており、2024年は再び減少して54万㎡となるものの、25年には134万㎡と再増加するという。

23年以降の計画には未着工も含まれているため、実際にはもっと少なくなる可能性はあり、特に25年は調整が入ることは十分推測できる。だが、2023年はすでに着工している物件が大半。需給関係はどうなっているのだろう。

同調査では2020年に供給された物件については「大部分のビルが満室で稼働を迎えた」とあり、「21年も成約が進んでいるものの、22年以降の成約事例は一部に留まる」としている。2020年の大量供給は無事に成約しているが、今後、特に22年以降はまだ様子見というところなのだろう。

都心3区のうち、港区の割合が上昇中

2021年以降では都心3区の割合が一般して7割を超えることになっており、中でも港区の占める割合が上がっており、23区における供給割合では5割を超える水準となる。開発エリアが変化してきているのだ。

供給される地域が変化していることが分かる
供給される地域が変化していることが分かる

具体的な地域を見ると、2016年から2020年までは大手町、丸の内、有楽町(以下大手町)の供給量が多く、それに次ぐのが虎ノ門、新橋(以下虎ノ門)だったが、2021年から2025年では虎ノ門がトップになり、それに続くのが八重洲、日本橋、京橋。大手町はかなり少なくなる予定だ。

その背景には開発用地の問題がある。2011年以降の都心3区での開発では建替えが供給の中心になっていたが、2021~2025年の開発では低・未利用地(再開発)の割合が6割を超すという。都心3区以外では2011年以降、低・未利用地(再開発)での供給が主体となっているとのことで、全体に都市部を安全に、効率的に利用する方向に進んでいることは確かである。

大規模化の一方で中規模ビルは漸減傾向に

超大規模化を示すデータ。それだけの広さのオフィスに対するニーズが今後どうなるか、気になるところだ
超大規模化を示すデータ。それだけの広さのオフィスに対するニーズが今後どうなるか、気になるところだ

規模では「大規模オフィスビルの町大規模化傾向が窺える」とされており、データを見ると2001年~2005年に30%ほどだった10万㎡以上のビルが2021~2025年には全体の58%、6割近くを占めるに至っている。大規模再開発で、非常に大型のオフィスビルが誕生しているというわけである。

その一方で5000㎡~10000㎡未満の中規模オフィスビルの供給は漸減傾向にあるという。2020年、2021年と2年連続で前年の供給量を下回っており、2022年には多少回復するものの、過去10年の平均を下回ることが予想されるという。

この背景には前述した開発用地の問題があるようだ。というのは中規模ビルの場合には再開発ではなく、建替えで建設されることが多く、そうした用地が少なくなっていることが考えられるのである。

また、2020年までは中規模ビル建設に当たるのは大手デベロッパー以外が70%を占めていたが、2021年以降では大手が50%と伸びている。

以上、簡単に調査を紹介した。ここでやはり気になるのは22年以降は今のところ、成約の話が聞こえてきていないという点。しかも、供給される物件は超大型物件である。借りられる会社はかなり限定されるはずで、その動向次第でオフィス市場全体の動向が左右される懸念もある。

調査では「働き方と働く場所の多様性をもたらすハイブリッドワーク時代におけるワークプレイス戦略の立案に頭を悩ませている」と企業の様子見状況を分析した上で、それを踏まえて選ばれるセンターオフィスの在り方を提示し、それを体現するオフィス環境を整備することがオフィスを提供する側に求められるとしている。これまで通りのオフィスではダメということだろうか。住宅もそうだが、新しい時代には新しいモノが求められる。それをどこまで認識、用意できるかが大事ということだろう。

ちなみに調査の最後には2021年以降竣工予定の大規模オフィスビルのリストが添えられている。今後の動向を考える上で参考になると思うので、興味のある方はぜひ調査そのものをご覧になっていただきたい。

                                                 株式会社寧広