賃料を下げるべきか、現状維持で入居者を待つべきか。空室対策は「現状分析」から。New

下がる入居率
求められるのは割安感

全国の都市部で繁忙期の結果を聞くところによると、コロナ禍の影響でどのエリアも動きが芳しくない様子だ。

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 退去は例年通り出るものの、繁忙期に入居者が決まらず、その結果、入居率が昨年と比べて下落する。1ポイント程度ならまだしも、5ポイント程度減っているところもある。その要因としては、法人の動きが鈍いことと、大都市部においては外国人の入居も減っていることもあげられる。

需要が減ればデフレに追い討ちがかかり、同じ条件下でも、さらに割安な賃料を求める傾向が出る。比較的高い賃料で決めてくれる法人需要が減れば、輪をかけて成約賃料が下がってしまう。


空室損失額を

正確に知る

 空室が増えたと嘆いていても仕方がないので、早々に空室対策をしなければならないが、まず行うべきは空室損失額をしっかり把握することである。入居ができるようになった日から今日までの空室損失を把握することで、現在の状況を知ることができる。

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 振り返ってみれば、一年を超えるような空室も存在していることに気づくだろう。その8割でも取れていたらなあ…と振り返ることになるが、大切なことはこれからどうしていくことかが重要なのである。

入居希望者の目線で
デスクトップリサーチ

空室対策のために現状分析をしたら、次は周辺のライバル物件の状況を見なければならない。「不動産」は字の如く動かすことができないのだから、近隣のライバル物件の存在は常に把握する必要がある。

現地を見にいくことが一番であるが、まずはインターネットを利用してデスクトップリサーチを行う。

近隣(できれば500m-1km)の物件で、ほぼ同条件(構造、間取り、専有面積、築年数など)のものを抽出して比較をする。同条件での物件であれば、賃料、設備、環境などが主に比較すべき項目であり、それぞれに優劣をつけて冷静に適正な賃料を把握する。

入居希望者はそれらを比較して、より良いと思う物件を選ぶのだから、入居者の目になってバイアスをかけずに比べなければならない。

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 ただし、ここで気をつけるべきポイントがある。それは、ポータルサイトに掲載されているのは「募集賃料」であり、あくまで「成約に至っていない募集上の賃料」であることに注意が必要だ。実際には、条件交渉が入り、その賃料よりも下がることがある。供給過剰な市場であれば、当然とも言える。

 また、同条件に近しい、より築浅物件との比較をしなければならない。例えば築年数が「10年も違うのに同じ賃料」であれば、新しく最新の設備をまとった物件に敵うわけは無い。


長期保有なら下げてでも決め、

短期で売却なら賃料キープで

 地域や需給バランスにもよるが、賃料は1年間で平均1%程度下落すると言う。近隣の情勢を掴みつつ、適正な募集条件と賃料設定をしなければならない。

将来的に長期保有が目的であれば、年数の経過により賃料は下落していくのだから、募集賃料を下げてでも早々に決めた方が良い。

市場は「借手市場」なのだから、賃料6万円の部屋で、満室で「72万円」を目指して「0円」よりも、5,000円でも賃料を下げて「55万円」を得た方がよい。

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ただ、遠くない未来に物件を売却を考えているのであれば、もちろん満室稼働にしたいところだが、賃料を下げれば収益還元した価格が下がることになる。

たとえば、全ての家賃を2,000円下げて10部屋ある物件であった場合、年間(12ヶ月)で24万円も総家賃が下落することになる。24万円を市場の取引利回り8%だとした場合、300万円売却価格が下がることになってしまう。よってこの場合、できるだけ賃料を下げずに決める対策をしたい。


高めの賃料で時を待つか、

まずは決めることを優先するか

高めの賃料で成約をしたいのなら、フリーレントも一つの方法だ。2ヶ月間空室で2ヶ月分のフリーレントとした場合、「年間48万円」を取得でき、総潜在家賃が下がることはない。ずっと空室にしておくよりも、決めた方がよいのは一目瞭然だ。

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 この辺りは、管理会社の担当との戦略連携が欠かせない。

もちろん、AD(広告料)を出して仲介会社から優先的に物件を紹介してもらったり、仲介会社の営業マンへの接待や商品券、お食事券なども効果的だが、会社の取り決めで禁止されていることもあるため適宜判断が必要だ。

行き過ぎた商品券や「お食事券」の供与が、仲介会社内の「汚職事件」になってしまうと、逆に客づけが遠のくため注意が必要だ。

                                                 株式会社寧広