補正予算で国債残高初の1000兆円超へ!融資金利に上昇懸念 円安政策にも要注意!New

財務省
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コロナ対応の経済対策 補正の新規国債は22兆円

「10万円給付」「中小250万円支援」などで支出膨らむ

日本の財政がますます悪化している。新型コロナウイルス対応の経済対策などで国の「借金」である国債の発行が膨らんでいるからだ。このたび政府がまとめた経済対策の裏打ちとなる2021年度補正予算案でも22兆580億円もの国債を新規発行。

」国債の発行残高は初めて1000兆円突破する。危険なのは今後、日本の財政への信用が失われ、国債が売られて金利が上がる事態だ。不動産投資家も返済金利が上がり、負担が増すことになる。米国や日本の金融政策も金利を上げる方向に動く可能性があり、無関心ではいられない。

政府がまとめ、いま国会で審議中の補正予算案は、歳出の総額が35兆9895億円で、補正予算としては過去最大の金額となった。このうち31兆5627億円が経済対策にあてられる。

支出される項目は、18歳以下に対する1人当たり10万円給付のほか、住民税非課税の世帯に対する1世帯当たり10万円の給付、売り上げが大きく減った中小事業者に対する最大250万円の支援など。

このほか、新型コロナに対するワクチンや治療薬の研究開発、観光支援策「Go To トラベル」などへの支出も盛り込んだ。

「経済安保」で重要性が増す半導体の国内での製造拠点確保や、地方でのデータセンターの整備、防災・減災など「国土強靭化」への支出も計上されている。

そして財源については、税収や20年度の剰余金で足りない部分を、国債の発行でまかなう。その額は、先ほど述べたように22兆580億円に達する。

この結果、21年度全体の国債発行額は、当初予算で想定していた約43兆6000億円から1・5倍に膨らむ計算だ。これにより、国債の発行残高は初めて1000兆円を超えることになる。

日本財政への信用薄れ国債は投資家に売られるか
1億円の借り入れ 金利4ポイント増で月の返済額23万円増も

国債は借金なので、発行残高が積み上がることは、日本の財政悪化を意味する。財政が悪化していることが意識されれば、国債を売りに出す投資家が増える可能性がある。

その結果、起こるのは国債の価格が下がり、金利が上がる事態だ。国債の金利は長期金利なので、上がればまず影響が出てくるのは長期の固定ローン金利。そして、さまざまな経路をたどり、時間差で変動のローン金利にも影響が及んでくる。

銀行の融資金利が上がれば、不動産投資家の負担は増す(写真はイメージ)
銀行の融資金利が上がれば、不動産投資家の負担は増す(写真はイメージ)

金利が上がった場合、金融機関からお金を借りてマンション、アパートなどに投資している不動産投資家は融資の返済負担が増す。

改めて具体的な数字を挙げて試算してみよう。

たとえば、1億円のお金を金利2%、30年間で借り続けたとすると、毎月の返済額は36万9619円。仮に金利が6%へ4ポイント上昇すると、毎月の返済額は59万9550円となり、23万円も増えることになる。

もちろん、これは単純な計算の結果だ。人それぞれ条件が違うし、金融機関との交渉次第で条件は変わってくるので、必ず一律に23万円増えるわけではない。

しかし、金利が大きく上がれば返済負担も大きく増えるイメージをしっかり頭に描き、先を見越した融資戦略を練っていきたい。

米国、インフレ懸念で量的緩和縮小・利上げ加速も
円安圧力なら日本銀行も利上げへ動くか

もう一つ、日本の金利が上がるかもしれないシナリオがささやかれているので、紹介しておきたい。起点は米国の金融政策だ。

いま、米国はコロナからの経済回復で、物価がものすごい勢いで上がっている。12月10日に発表された米国の消費者物価指数は前年同月比6・8%増と、約39年ぶりの高水準の伸びだった。

インフレの懸念が強まっており、米連邦準備制度理事会(FRB)は過熱を冷やすため、量的金融緩和縮小や利上げの時期を急ぐ可能性がある。

注目されるのは、これを受け、日本銀行がどう動くかだ。

日本銀行がどう動くかも注目される
日本銀行がどう動くかも注目される

一つ可能性がささやかれているのは、もし米国で利上げが行われた場合、結果的に日銀も利上げに踏み切るのではないかという見立てだ。

米国の金利が日本の金利とくらべて相対的に上がれば、ドルが買われて円安ドル高の圧力がかかる。円安はすでに輸入品の値上がりなどを通じて日本経済を圧迫している。日銀はこれ以上の円安を防ぐため、利上げに踏み切るのではないかというのだ。日本の金利が再び上がれば、円が買われるので円高に動き、円安圧力が和らぐことになる。

ただ、日銀による金利の引き上げは、金融機関の融資金利の上昇につながる。負担増を招く金利上昇は不動産投資の戦略を左右するだけに、投資家はニュース全般にアンテナを張り、賢く行動していきたい。

                                                 株式会社寧広