総資産評価額は約10億円、ド素人からメガ大家への変貌のその後は…すごかったVol1New

蒲田築年不詳アパート

現役時代と同じ安定した老後生活を送るために不動産投資を選ぶ。将来の年金が当てにできないことで、そのような20代、30代の若者が増えているようだ。

老後のことだけではなく、早期退職で経済的な自由を求める〝FIRE(ファイヤー)〟を目指す若年サラリーマンなども不動産投資を行っている。個人が不動産投資家デビューする理由はさまざまであるが、不動産投資に実際に取り組むまでの心理的なハードルは高い。

そのような中、2017年12月に健美家ニュースで3回に分けて取り上げた「実録・ド素人からメガ大家への道」のその後を追ってみると目利きと先を見据えた戦略が欠かせないことがわかる。

この人も最初は不動産投資の初心者だった

その人は鈴木一郎さん(仮名)。都内のIT会社で働くサラリーマンで、34歳のときに不動産投資を始めて現在は47歳になっている。

2017年の取材当時は一棟アパート14棟、一棟マンション1棟、戸建て住宅4棟、区分マンション1戸の計83室を運用していたが、今回の取材では、いよいよ不動産投資家人生の総仕上げの段階になっていると話してくれた。

9月現在の資産規模は、一棟アパート12棟、一棟マンション2棟、戸建て住宅4棟、店舗付き戸建て住宅1棟の計77室を運用している。年間の家賃収入は6500万円で税控除前の年間キャッシュフローは3500万円となっている。

返済比率39%、借り入れ4.5億円だ。保有している不動産の総資産は購入時の価格で合算すると7.3億円となり、この7.3億円から残債4.5億円を差し引いて純資産は2.8億円。2021年8月時点の相場での売却査定で見ると、総資産の評価額は9.8億円である。

江戸川区東小松川一棟マンション2017年購入

この数字を見た段階で、メガ大家の凄さを感じることができるが、それと同時に不動産投資家を目指す投資家予備軍にとっては、借入金額4.5億円に目がいくと思う。

そんなに借り入れできるのは日本を代表するような大手企業の〝高級サラリーマン〟に違いないと…。しかし、実際のところはそうではなく、コツコツと積み上げてきた結果だと鈴木さんは言う。

最初に購入したのは2008年で、渋谷区恵比寿の区分マンション。90%の融資を受けて22㎡の1Kを2250万円で買った。JR恵比寿駅から歩いて7分の場所で現在も運用している。

前回の取材のときにも書いているが、もともと鈴木さんの投資の対象は現物株をメインとしていたが、2009年のリーマンショックにより株式相場が総崩れとなり、金融資産が半減した。投資にリスクは付き物だが同じリスクでも不動産には株にはない安定感を求めたものだ。最初の不動産投資の源資は前職の早期退職金と残った株を換金して充てた。

【新築戸建て】市川市

築古運用に強み、新型コロナで家賃減額要請なし

鈴木さんは、不動産投資の安定感を最近は特に感じているという。これまで築古物件を中心に運用物件を築いてきたが、こうした物件の賃貸経営の安定感は、新型コロナウイルス感染拡大が収まらない中で証明している。

新型コロナの変異株が猛威をふるい経済活動に制限がかかる中で、特に飲食店や百貨店・デパート、レジャーなどへの影響が大きい。学生の授業もオンラインが続いている。このような人たちは、会社の倒産や解雇、雇止め、給料減額によって個人所得が激減し、子どもへの仕送りなどが苦しくなっている。所得減少の若い社会人や、仕送りが途絶えてバイトもできない学生が家賃を払えないことで退去せざるをえない状況に追い込まれている。

しかし、新型コロナウイルス禍でも入居者動向に変化はない。鈴木さんは家賃の減額要請はまったくなかったという。

「築古物件は、そもそも家賃が底値の水準にあります。月額4万円や5万円の家賃なので、どちらかというと家賃の支払いに困った人のシフト先にされいる物件になることから、稼働率はほぼ満室の状態を維持しています」。

築古は2009年から仕込み始めて運用中の物件は1970年代や1980年代、1990年代などで構成され、なかには築年数が不詳という物件がある。リスクを取りながら徐々に高い利回りの築古に軸足を置いて資産を増やしてきたが、今後は投資方針を変えていく。

運用中の物件は個人で4割、法人で6割持っているが、法人の比率を8割に引き上げながら資産運用の効率性に軸足を置いて物件の入れ替えを本格化する予定だ。

キャッシュフローの出にくい築浅は面白みに欠けるとして築古を投資方針としてきたが、大胆な資産整理・集約に向けて動き出す。

                                                  株式会社寧広