築35年でも家賃30%UP! リノベ工事前に入居者を決める「仕立てる賃貸」とは?New

長期間空室がつづいて思い切ったリフォームが必要な場合や、賃貸住宅を新たに建てるさいに、先に入居者を決めてから住まい手の希望を採り入れた内装にする方法がある。

それにより、築35年でも家賃12万から16万にアップしたケースなど、相場より高い家賃設定が可能になるという。

capture-20210507-111515
仕立てる賃貸R」の施工事例。周辺相場より高い家賃設定ができ、満室が続いている

住む人のライフスタイルに応じた
内装や間取りにすることで家賃UP

不動産企画をはじめ、各種建築工事などを展開し、街づくりを行う株式会社NENGOを取材した。NENGOでは、既存の古い状態のまま、先に新しい住まい手を決め、入居者のライフスタイルを反映させた間取りや内装にする「仕立てる賃貸R」を手掛けている。

これまでに50戸を超える施工事例があり、リノベ前や周辺相場より高い家賃で満室になっている。それでいて質の高い入居者の確保できているそうだ。担当者は次のように話す。

「壁の色や床材、水回り等を入居者の好みに合わせて決められるため、住まい手は部屋に愛着が湧き、比較的長く入居する傾向にあります。たとえば築35年の1LDK、50㎡の物件のケースでは、1年以上空室でしたが、改修後、家賃12万円から16万円と30%UPしたにもかかわらず満室が続いています」

living3
家賃12万から16万に上がった築35年1LDK、リノベ後の室内
bedroom resized
家賃が上がった築35年の物件、ベッドルーム。住まい手の好みを反映させた内装に

家賃が多少高くても自分好みの空間に住みたい!
入居者はクリエイティブ系が多い

入居者の傾向は、年齢や男女問わず、「暮らしにこだわりがある人」で、デザイナーや建築家、アパレル系などクリエイティブな職業の人が多く、一般的な賃貸では物足りないと感じ、「仕立てる賃貸」にたどりついたようだ。

入居者にとっては、購入物件でないにもかかわらず、自分の好みや、ライフスタイルを反映させた住まいに、費用負担なしで、暮らせる点が最大のメリットである。

施工事例のなかには、入居者が、自費で工事費用を支払うからと、細部までこだわってリノベーションした例や入居者が建築家の場合もあり、設計費用が不要になった例もある。

1
アパレル系の仕事をされている入居者自ら、工事費用を負担してリノベーションした室内。機能的かつデザイン性も重視した収納が特徴的
2
建築家をターゲットに入居者を募集した結果、想定通り、建築家の住まい手が決定。入居者自ら設計を手掛けた築25年の物件

完成前に入居者が決まっている!
リノベ後の空室リスクを軽減

賃貸物件のオーナーにとっては、工事前に先に入居者を決めることで、安心して先行投資をすることができる点が魅力である。とはいえ、入居者の希望通りに施工したとしても、すぐに退去してしまう心配はないのだろうか?

「価値観を共有でき、物件を大事にしてくれる人かどうかを見る目的で、オーナー自ら入居者の面接をしたケースもあります。またプランや内装に関するやりとりを入居者とオーナーが繰り返していくことで、信頼関係が深まり、自然と入居期間が長くなり、愛着を持って暮らすため、建物はもちろん、近隣とも良好な関係を築く傾向にあります」

なかには8年住んで、退去する際に入居者が『この部屋がすごく好きで、いい部屋だから知人に紹介したい』と、次の入居者を連れてきたケースもあるそうだ。

入居者に「何年以上住まなければならない」などの縛りは設けていないが、これまでに短期間で退去した例は少なく、退去したとしてもすぐに次の住まい手が見つかっている。

リノベ費用の目安は5年で回収できるよう
投資利回り20%を目指す

もう1つ、オーナー側が気になるのがリノベーションにかかる費用だろう。

「物件の仕様や、どこまでリノベーションするかで金額は異なるため一概にいえませんが、プラニングからキッチン設備の入れ替えなど、オーナーさんの要望に合わせて入居者のカスタマイズできる範囲を決定できます。安く抑えるならば、壁紙や床材だけ選んでもらうなど、工事範囲を限定することも可能です。リノベ費用は、改修費用に対する投資利回り20%、5年程で回収できるプランを目指しています」

収益性はもちろん、それだけはなく街としての価値を高める賃貸住宅を建てていこうと考えているオーナーと「仕立てる賃貸」は相性がいいそうだ。

対象エリアはNENGOのスタッフとオーナーが密接にコミュニケーションを取っていく必要があるため、神奈川、東京に限定している。

「仕立てる賃貸」を利用するタイミングは、新築する場合か、長期間空室が続いて大掛かりなリノベーションを検討するタイミングが効率的だ。入居者が決まるか不安を感じながら改修するよりも、安心して定着率の高い物件にすることができる。

最近では、新築物件を建てたいというオーナーから、プラニングの段階からの相談も増えている。

入居者の希望を反映することで、より長く、より高い家賃で入居者が決まるのならば、検討してみてもいいかもしれない。

                                                 株式会社寧広