競売物件急減。コロナ支援の補助金バブルで企業倒産数は57年ぶりの低水準。金融支援の返済開始が不良債権の増加へのトリガーか?New

競売に掛けられる不動産が新型コロナウイルス下で急減している。企業持続化給付金や企業持続化補助金といった政府支援を受けて会社の倒産件数が大幅に減っていることで不良債権となる物件が出にくい状況が影響しているようだ。

倒産件数②
出所:東京商工リサーチ(ニュースリリースより)

発表されている東京商工リサーチの調査を見ると、2021年(1~12月)の全国企業倒産(負債総額1000万円以上)は前年比22.4%減少し、6030件である。2年連続で前年を下回っている。

同社は、コロナ禍の各種支援策が奏功し、1964年(4212件)に次いで57年ぶりの低い水準という。負債総額については、倒産の大幅な減少と負債規模の小規模化で1972年以降の50年間で3番目の低水準である。

破綻件数が大きく減っているが、新型コロナウイルスが流行り出す前から利益が上がっていなかった企業も含めて助けていることが要因と見られている。

そうした点から失職を免れている人も多くなっているので本来なら住宅ローンの支払いが滞って銀行から差し押さえられるはずのマンションや戸建て住宅が不良債権化しないで済んでいる。

銀行としても、コロナで所得が急減したことを理由に支払いが滞っている場合、すぐに差し押さえはしにくいといったところだろう。銀行は、住宅ローン返済の猶予に応じざるを得ない状況になっている。

金融支援の返済開始が不良債権の増加へのトリガー

しかし、これをどこで決着をつけるかで今後の競売市場に影響を与える。どこかで返済しなければならないが、返済する段階になって、ある時に歯車が急速に逆回転を始めることも想定できる。

これは住宅だけではなく店舗ビルなどでも同じである。

テナントが抜けた理由がコロナではないのに助けられているビルもあるが、空室率が上がり、賃料の下落が止まらない今の市況では支援がなくなれば厳しい。そうならないようにするには景気が回復する必要があり、景気が回復すれば、自助努力で企業経営が成り立つようになれば逆回転は起こらない。

競売情報に強いワイズ不動産投資顧問(東京都千代田区)に不動産競売に掛けられた新規の申立件数について聞くと、「全国的な数字として2020年に1万7705件となっているが2019年の2万1273件から約17%減少している。

まだ集計が出ていないが、この傾向は2021年も同じだったのではないかと思う」と見ている。過去の推移については、1年間に2万件を超えており、2016年は2万3510件に上っていたという。

東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県の1都3県の2020年の申し立ては7981件となっているが、こちらも前年の9558件から大幅に減少している。

しかし、そうは言いながらも差し押さえ件数は、2021年の後半からやや増え始めている。

不動産関係者の間では、支援金の元本返済が開始されればキャッシュが足りなくなって倒産する会社が増加すると見ている。

コロナ支援で助けられているとは言え、東京商工リサーチによると、冒頭の倒産件数のうち2021年の新型コロナウイルス関連の倒産は1668件と前年比108.7%増加となり、集計を開始した2020年2月からの累計は2464件に達した。コロナ禍が終焉することでこの件数がさらに膨らんでくる可能性が高い。

倒産件数①
出所:東京商工リサーチ(ニュースリリースより)

マンション・土地の落札金額は市場価格以上に

現状の競売物件数は少なく奪い合いだ。競売で不動産を仕入れている東京都内の事業者は、「今後、競売物件数が増加すればもう少し仕事がやりやすくなるのだが」との心境を述べてくれた。

一番競争が激しいのがマンションと土地で高値圏での落札が続いているという。東京地裁本庁の案件で落札価格を見ると、売却基準価格に対してマンションは5割増し、土地は約8割増しである。

マンションは一般の不動産売買の仲介で成約する価格以上で落札されている可能性もあり、割高感が強くなっている。

競売物件が買い手市場ではないのは明らかだ。競売に参加するメインプレーヤーである再販事業者は、高値で落札して再販で売れなければ、それが負債として経営を圧迫してしまう。

最近の投資用マンションでは、ワンルームマンション人気に陰りが出ている。コロナにより、広い面積を求める人が増えていることでワンルームに入居者を呼び込むことが難しくなっているからだ。

オミクロン型が次の新種ウイルスを連想させる

不動産競売マーケットがコロナ以前の水準まで件数が増える時期はもう少し先になりそうだ。

コロナ状況は変異株であるオミクロン型が猛威を振るい1日当たりの新規感染者数が東京都で2万人を超えるほどまで広がり、これから収束に向かったとしてもオミクロンに取って代わる新種が重症化を招くことを心配する。

たとえ症状が軽い感染症であっても、業種によっては、売上高に響く状況が続き、企業内で感染者が出れば営業活動に響く。それは中小零細企業にとってきつい。

政府の財政が悪化の一途をたどっているが、当面は政府が企業と個人を支え続けざるをえないというチキンレースにより、2022年は過去2年間と同じように競売物件の数が表面することが抑えられそうだ。

                                                株式会社寧広