競売事例】家賃収入と転売の2つの出口がある区分マンションとは?

定期的に競売セミナーを開催し、日々、競売の相談を受けているドクターKである。今回、競売で公開されていた区分マンションの競売事例をご紹介する。

競売市場において、区分マンションは数多く公開されている。その目的は、区分マンションを専門で扱っている不動産業者がキャピタルゲインを目的に入札することが多い。そのため、家賃収入を目的で入札するインカムゲインを目的に入札する方は少ない。理由は以下である。

1.管理費や修繕費が高いため、高利回りが難しい。

2.業者が転売目的で適正な価格で入札するので、個人が入札しても落札が難しい。
区分マンションの査定は、戸建てよりも計算しやすい。理由は業者ならレインズ等を活用し、過去の販売履歴を入手し、的確な金額で入札してくる。そのため、過去の販売履歴を入手できない個人がインカムゲインを目的に高利回りで入札しても、落札することが困難である。

個人でも入札前に利回りを計算し、高利回りで運用できるなら、入札しても良いと思うが、あまりそのような区分マンションは公開されない。

今回、ご紹介する物件は、立地条件が良く、利回りも悪くなく、転売もでき、個人で入札するなら、リスクが低いと思われる物件である。ご参考になればと思う。

1.物件概要
(1) 所在地

物件の所在地は南関東の大都市である。日本の市町村の人口数でもっとも多い市である。その市の中でも中心部にあり、最寄りの駅からは150メートルである。立地条件はかなり良い。

(2) 物件概要

物件は、建物の床面積が26㎡、築36年のマンションである。11階に位置する部屋である。角地であり、日当たりも良いように思える。

建物の外観 大都市の中心部にあり、立地条件はかなり良い
建物の外観 大都市の中心部にあり、立地条件はかなり良い

(3) 間取り、室内

間取りは以下である。1Kである。

間取り ワンルームであり、シンプルな作りである
間取り ワンルームであり、シンプルな作りである

以下、室内の写真である。室内は、整理整頓されており、非常に綺麗に使われている。

室内 非常に綺麗に使われている
室内 非常に綺麗に使われている

2.物件詳細
(1) 賃貸契約の内容

裁判所の公開資料には賃貸契約の内容も記載され、以下、賃料である。
裁判所の執行官が調査した時点の賃料は110,000円である。
管理費と修繕積立金は、それぞれ8,580円である。

賃貸契約 家賃110,000円で締結されている
賃貸契約 家賃110,000円で締結されている

(2) 関係者のコメント

裁判所の公開資料には、関係者のコメントが記載されている。
所有者と賃借人が親戚関係であるため、少し高い家賃でも締結されていた可能性があり、落札後、家賃の値下げ交渉があるかもしれないので注意が必要である。

陳述内容 所有者、占有者のコメントが記載されている
陳述内容 所有者、占有者のコメントが記載されている

(3) 物件評価の金額

裁判所から依頼された不動産鑑定士による競売の基準価格は以下である。

4,450,000円

上記の金額は、裁判所から依頼された不動産鑑定士によって、査定される。この金額は、一般流通市場の価格よりも安く設定される。理由は、この金額が一般流通市場よりも高いと誰も入札せず、競売自体が成り立たないためである。

3.落札結果
(1) 落札結果

落札金額は以下である。上記の基準価の2倍ぐらいで落札されている。

8,850,000円

(2) 実利回り
実利回りは、裁判所から公開された賃料が継続可能であると、12.2%である。

家賃 110,000円/月
管理費と修繕積立金の合計 17,160円/月
落札金額 8,850,000円
諸費用 300,000円
(裁判所へ代金納付する際の諸費用(登録免許税など))
実利回り 12.2%

4.最後に
この物件は、賃貸中であり、裁判所から公開された資料を見る限り、落札しても賃貸継続の可能性が高く、すぐに家賃収入が得られる。

通常、賃貸中でなければ、リフォームや賃貸募集が必要であり、落札金額以外に費用と時間を要するが、賃貸継続できれば、不要となる。

また、家賃収入だけでなく、転売も可能である。過去、このマンションの他階の販売情報を確認すると以下である。

4階 1,050万円
9階 1,080万円

上記金額で落札できれば、毎月9万円の家賃収入を得ながら、売買ができれば、150万以上の利益が見込め、リスクは少ないと思われる。また、区分マンションを扱っている業者は、利益1~2割程度の利益を見込み、落札していることがわかる。

しかし、個人で転売すると、所有期間5年以下であれば、短期譲渡所得で約40%の税金がかかる。また、落札しても、債務者との退室交渉、残置物処理、リフォームの依頼などがある。

さらに、個人場合、自分で転売をできないので、不動産業者への仲介手数料も発生する。区分マンションに興味がある方は、競売関係に詳しい方と連携し、相談しながら、物事を進めることが一番良いだろう。

                                               株式会社 寧広