税制改正大綱が決定、不動産投資家への影響は

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自民・公明の両党は10日、2022年度の税制改正大綱を決定した。柱となる「賃上げ税制」のほか、不動産関連では、住宅ローン減税の控除率などを見直し。また、地価が上昇した場合に固定資産税の税額を据え置く負担軽減措置を住宅地で終了することなどを盛り込んだ。

不動産関連の主な項目

注目されていた「住宅ローン減税」をはじめ、不動産・住宅関連の改正点や延長措置などをチェックしておこう。

住宅ローン減税
「住宅ローン減税」は、年末住宅ローン残高に応じて所得税などから差し引いている控除率を1%から0.7%に引き下げる。金利の低下で控除額がローンの支払い利息を上回る「逆ざや」を解消する。

一方で、原則10年となっている減税期間は、新築住宅で13年に延長する。中古住宅は原則10年間を維持する。制度は2025年まで4年間延長する。23年までに入居した人が対象となる。

控除の算定基準となる年末の住宅ローン残高の上限も現行の4000万円から3000万円に引き下げる。ただし、耐震性、省エネルギー性、バリアフリー性などの条件を満たした「認定住宅」は現行のまま5000万円に据え置く。断熱性を高めるなど環境に配慮した「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギーハウス)」枠を新たに設け、上限を4500万円に設定する。

住宅ローン減税の対象となる所得要件も見直す。現行では年間の合計所得が3000万円以下のところ、2000万円以下に引き下げる。

贈与税
住宅関連ではほかに、住宅を取得するために親や祖父母から資金を贈与された際にかかる贈与税を非課税とする措置を2年間延長する。非課税限度額は現行の最大1500万円から1000万円に引き下げる。

固定資産税の負担軽減措置
住宅地を含む全ての土地を対象に、地価が上昇した場合でも固定資産税の税額を据え置く2021年度の特例措置は住宅地では終了する。商業地については規模を縮小して継続する形。

投資家が注意するべき点は

今回の税制改正大綱で、ほかに不動産投資家が着目しておくべき点はどんな点だろうか。

渡邊浩滋税理士は、不動産投資家に関係がある改正点として以下の2つを挙げる。

1つは、「財産債務調書」の提出を義務付けられる対象が広がったことだ。財産債務調書は、適正な課税の確保のため、一定以上の資産を持つ人に、その保有財産や債務を記載した書類の提出が義務付けられている。提出漏れなどがあった場合はペナルティーが科される。

現行では資産3億円以上、所得2000万円以上の人が対象となっている。これに加えて、今後は資産10億円以上の人は所得に関係なく提出が義務付けられる。渡邊税理士は「例えば、減価償却が多く赤字で、所得が少ない不動産投資家でも保有不動産の資産額が多ければ対象となる可能性がある」と指摘する。

もう1つは、少額の減価償却資産の取得価額の損金算入制度だ。大綱では「対象資産から、取得価額が10万円未満の減価償却資産のうち貸付け(主要な事業として行われるものを除く。)の用に供したものを除外する」としている。

渡邊税理士によると、一部の不動産投資家が行っている節税方法に、ドローンや建設現場の足場などの購入費用を経費に計上しておきながら、これらを第三者に貸し出して賃料を得るというものがある。今回の改正はこうした節税スキームにメスを入れる目的があるという。

従来から不動産投資家の間では、節税目的のさまざまなスキームが登場しては、それを封じ込めるために税制が改正されるというイタチごっこが繰り返されてきたが、渡邊税理士は「最近は節税スキームが問題になってから封じ込めまでのサイクルが早くなっている」として、こうした手法に安易に手を出さないよう警鐘を鳴らす。

今回は見送られた金融所得課税や生前贈与に関しても来年以降、大きな改正が行われる可能性がある。今後の動向を注視しつつ、先を見越した不動産経営を考えていきたい。

                                                 株式会社寧広