留学生11万人が入国へ、水際対策緩和で外国人の賃貸需要は

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新型コロナ下で制限されていた外国人の入国が再開している。政府は、6月から1日当たりの入国者数上限を1万人から2万人に引き上げる方向で調整している。

中でも、これまで入国の延期を余儀なくされていた外国人留学生らを3月から優先的に受け入れ。5月末までに留学生だけで11万人の入国を目標にしており、賃貸需要の増加が期待される。

外国人の部屋探しなどをサポートするある家賃保証会社には海外からの問い合わせが増加。外国人の入居者を積極的に受け入れるオーナーからは「空室を解消するチャンス」と歓迎の声も上がる。

国内では進学や就職などによる賃貸需要の盛り上がりがひと段落するこの時期、外国人留学生らの取り込みが空室解消の一手となりそうだ。

外国人の入国をめぐる最近の動き

新型コロナが拡大した2020年2月以降、政府は海外からの入国を大幅に制限する水際対策を実施。この影響で、出入国在留管理庁によると、昨年1年間の外国人入国者数は35万3119人と、前年比91.8%減少した。

このうち、「留学」の在留資格で入国したのは1万1651人と、同76.6%減少した。このような中、「留学」の在留資格を取得したにもかかわらず、水際対策の影響で入国できない「待機留学生」は増加の一途をだどった。その数は15万人とも言われる。

こうした状況を踏まえて、政府は3月中旬から「留学生円滑入国スキーム」を導入。航空便の需要が比較的少ない平日を中心に空席を活用し、入国を希望する留学生が航空券を予約しやすくする。高校、大学、高等専門学校、専修学校、日本語学校などへの入学を予定する外国人が対象となる。

出入国在留管理庁によると、入国制限を緩和した3月(速報値)の外国人入国者数は約8万2400人と、2月の約3倍に増加。このうち、「留学」の在留資格で入国したのは約1万4800人だった。

賃貸需要への影響は

新型コロナの感染拡大以降、外国人留学生が減ったことで賃貸経営の環境が変化したというオーナーもいる。

「一時帰国した留学生が再入国できなったため、賃貸物件に空きが出てしまいました。次の入居者が決まるまでに時間がかかる物件や、募集をかけても問い合わせすら来ない物件もありました」

こう話すのは、東京都内でアパートを経営し、外国人の入居者を積極的に受け入れているというOさんだ。

Oさんが所有する築50年のアパートは現在、全14戸のうち13戸が埋まっている。このうち5戸が外国人入居者だ。2Kの間取りで家賃は1部屋4~5万円。近隣の大学に通う留学生が中心だ。

コロナ下で留学生の入国が停止状態になる前は、卒業して出ていく入居者の紹介で新しい入居者がすぐに決まっていたという。しかし、入国制限が本格化してからは、一度退去があると空室が数カ月続いてしまうようになった。

Oさんが所有するアパート。留学生を中心に外国人の入居者を積極的に受け入れている

そんな状況が2年間続いたOさんだが、今年3月からの入国制限緩和を受け、変化があったという。

「2年ぶりに新たに入国する留学生を迎え入れることになりました。5月には14戸のアパートが満室になる予定です」(Oさん)

コロナ下で来日する外国人留学生が減った影響もあり、1部屋が空室となっていたOさんのアパート。留学生円滑入国スキームの導入が発表されてから、それまで入国を足止めされていたウイグル人の留学生から入居の申し込みがあった。

Oさんは「海外から新たな留学生が来てくれれば、卒業や就職で退去があってもすぐに次の入居者が決まる循環がキープできます。入国制限が始まる前の状態に早く戻るといいです」と話す。

「築古物件でも嫌がらない」と、外国人留学生の受け入れに積極的なOさん。だが、周囲のオーナーの中には外国人の入居者を敬遠する人も少なくないという。「仲介業者も外国人の入居者を紹介したらオーナーに断られるのではないかと及び腰な態度ですが、外国人を断るのは機会の損失だと思います」と話す。

外国人向け家賃保証会社に問い合わせ増加

外国人の家賃保証サービスなどを展開する「グローバルトラストネットワークス(GTN)」でも入国予定の外国人からの問い合わせが増えている。

同社によると、政府が「円滑入国スキーム」の導入を発表した3月上旬から、留学を予定する外国人などからの問い合わせが増え始めた。発表前と比べて、問い合わせ件数は約1.5倍に増え、多い時は1日300件以上あるという。

外国人向け家賃保証サービスなどを提供するグローバルトラストネットワークスの後藤代表

同社の後藤裕幸代表は「入学シーズンが終わる4月以降は例年、賃貸需要が減りますが、今年は外国人の賃貸需要が高い水準にとどまっています。今はアジアなどからの留学生が中心ですが、今後は入国制限の緩和に伴い就労者も増えてくるでしょう。3月までに空室が埋まらなかったオーナーさんや管理会社にとってはチャンスではないでしょうか」と語った。

コロナ下で水際対策を強化してきた日本。岸田文雄首相は今月5日、「6月には他の先進7カ国(G7)並みに水際対策をさらに緩和する」と表明した。政府が留学生などの入国制限を緩和しはじめた今年3月以降、外国人入国者は急増している。

現在は入国が制限されている観光客など、今後はさらに多くの外国人の入国が予想される。インバウンドによる経済の活性化への期待も膨らむ。こうした環境の変化が、今後の賃貸経営に何らかの影響をもたらすかもしれない。

                        株式会社寧広