民泊、太陽光発電、スペース貸し、駐車場など、不動産所得以外の不動産投資。確定申告での取扱いは?New

近年、区分マンション投資やアパート経営のような典型的な不動産投資ばかりではなく、様々な形態の不動産投資が登場している。

一例として、住宅の一部を旅行者に貸し出して宿泊サービスを提供する民泊や、電力の固定価格買取制度を利用した太陽光発電投資、空き部屋をワーキングやイベントなどの利用スペースとして時間貸しをするスペース貸しなどが挙げられる。

これらの不動産投資を、既存の不動産投資と組み合わせておこなっている不動産投資家の方もいらっしゃるのではないだろうか。

そこで、不動産所得以外の所得となりうる不動産投資について、確定申告での所得区分の取扱いを整理する。

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不動産所得と不動産所得以外の所得、区分の基本的な考え方

税法の取扱いでは、不動産所得と不動産所得以外の所得との区分は、どのような基準でおこなっているのだろうか。

所得税法では、不動産の利用から生じる所得は、不動産の使用に何らかの役務提供が加わって、それらの対価として受け取る場合、事業所得や雑所得になると解している。

根底には、所得の性質によって、税を負担する能力に違いがあるため、所得を分類して課税の仕組みを異なるものにしよう、という発想がある。一般的に、事業所得や雑所得は、役務提供という人の労働が加わるため、資産運用から生じる所得より税負担能力が弱いと考えられる。

出典:税大講本 所得税法(令和3年度版)
出典:税大講本 所得税法(令和3年度版)

事業所得となるかどうかの基準は、自己の責任で独立しておこない、営利性があって反復継続しておこなわれているか、という点による。役務提供をしていても独立していない場合、給与所得になる。雑所得は、他の所得のいずれにも該当しない所得とされている。

不動産所得、事業所得、雑所得それぞれの取扱いの違いを整理

それでは、不動産所得と事業所得、雑所得、それぞれに区分された場合、その取扱いにはどのような違いがあるのだろうか。

下表が、それぞれの課税対象となる所得計算の取扱いをまとめたものになる。このように比較すると、「総収入金額―必要経費」を所得金額とするという通則はすべてに共通する。必要経費の範囲についても、「収入を得るための直接費用」、「一般管理費等」の算入という通則が共通して適用される。

このように、現在の税制では、これらの所得区分間で所得の計算方法に大きな違いはない。あえて取扱いに違いがある区分を挙げると、事業的規模に該当するかどうか、という点になるだろう。事業的規模に満たない不動産所得、雑所得については、貸倒引当金の算入や事業専従者給与の算入、青色申告特別控除の適用などができない、というデメリットがある。

出典:税大論叢58号「所得区分の在り方―不動産所得を中心として―」
出典:税大論叢58号「所得区分の在り方―不動産所得を中心として―」

表に掲げた取扱い以外では、損益通算については、各所得区分間で取扱いに差がある。事業的規模に満たない不動産所得、雑所得では、その損失を他の所得と通算できない。また、不動産所得の損失のうち、土地の取得に要した利子部分は、他の所得と通算できない。

不動産所得以外の所得になる不動産投資は?

基本的な考え方、それぞれの所得の取扱いの違いをお分かりいただいたところで、具体的に、不動産所得以外の所得になりうる不動産投資について、どのようなものがあるかをみていきたい。

  • 駐車場経営

駐車場経営は、不動産所得以外の所得になり得る。所得税の法令では、管理責任を負う場合、事業所得か雑所得に該当するとしている。

つまり、時間貸しの駐車場における精算機や、機械式の駐車場など、管理する設備があってオーナーが自主管理している場合には事業所得や雑所得になるといえる。

  • 下宿、民泊

今は少ないだろうが、食事を提供するような下宿は、事業所得か雑所得になるとされている。

これと類似しているのが民泊である。民泊は、所得区分について国税庁からFAQが公表されている。それによると、民泊の宿泊料には役務提供の対価が含まれているため、事業所得か雑所得に該当するとしている。

  • 太陽光発電投資

太陽光発電投資も、不動産所得以外の所得になり得る。

事業として大規模におこなっていれば事業所得になる。

事業所、自宅にパネルを設置して、その建物の電力をまかない、余剰電力を売電するというケースもある。このようなケースでも、事業であれば事業所得、事業的規模でなければ雑所得となる。

ただし、賃貸アパートにパネルを設置して、そのアパートの電力をまかなっている場合は、その電力は本来不動産所得の経費であるから、余剰電力の売却収入も不動産所得として取り扱う。

  • スペース貸し

スペース貸しは、不動産所得に該当する可能性もあるが、オーナー自らポータルサイトなどで利用者を募集し、入退室の管理やスペース内設備の維持管理などをおこなって、管理責任を負うケースが多い。

このため、一定の役務提供を伴うものと考え、事業所得か雑所得とするのが一般的だろう。正式な取扱いは発表されていない。

                                                 株式会社寧広