専門家が教える!初心者不動産投資家の J-REIT投資、外せないポイント

前回の連載では、不動産投資家を目指す読者の方に、J-REITの「個別銘柄投資」をお勧めした。

今回は、管理報酬が毎年発生する投資信託やETFではなく、自ら個別銘柄を選んで買う方法だ。今回は、個別銘柄の選び方のポイントを解説する。

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まずはJ-REITを
用途(アセットタイプ)別に分類する

具体的な個別銘柄を見る前に、まず、不動産の用途(アセットタイプ)を理解しよう。REITの価格は、運用する不動産の用途に大きな影響を受けるためだ。

REITは、その運用方針の違いにより、単一のアセットタイプに投資する「単一用途主体型」と、複数のアセットタイプに投資する「複数用途型」に大別される。

単一用途主体型は、更に次の6タイプに細分化される。

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また、複数用途型は、用途が2つか3つ以上かにより、複合型と総合型に細分化される。

分散投資なら
「複数用途型」

リスク分散の観点からは、様々なアセットタイプに投資する複数用途型のREITが優れている。しかし、その反面で、リスクが多岐にわたり相場を読みにくいというデメリットがある。

たとえば、コロナショック時には「商業施設主体型」や「ホテル主体型」のREITが大きく売られた。この際、ほんの僅かだけ商業施設やホテルに投資していた複数用途型のREITが大きく売られ、想定以上に価格が下落したといった事例がある。

相場の読みやすさなら
「単一用途主体型」

他方、単一用途主体型のREITは、市場変化に対して素直に反応する。たとえば、コロナショック時には「商業施設主体型」「ホテル主体型」の価格が大きく下がった一方、インターネット通販の需要拡大の期待を受けて「物流施設主体型」の価格は大きく上がった。

読者の皆様は、今後のポストコロナ時代をどう予測するだろうか?

たとえば、テレワークが不可逆的に普及してオフィスのニーズが減少すると見込むのであれば「オフィスビル主体型」の購入は避け、逆にテレワークの拡大で住宅ニーズが高まると読むのであれば「住居主体型」を購入するといった具合となる。

もっとも、REITの価格は市場参加者全体の相場観を反映しているため、すでに価格が高くなったアセットタイプを購入しても高値掴みとなってしまう。

自らの相場観に照らして割安と感じるアセットタイプに投資することが重要となる。

個別銘柄を選ぶ時に
検討する要素は

投資すべきアセットタイプを決めたら、個別銘柄を選ぼう。特に検討すべき要素は、
①時価総額
②分配金利回り
③NAV倍率
④不動産ポートフォリオ

の4点だ。それぞれ、何を意味するかを見ていこう。

①時価総額

時価総額は、各J-REIT銘柄の規模を表す指標である。

時価総額は、「投資口価格 × 発行済投資口数」として計算される。「投資口」とはJ-REIT投資において投資家が取得する有価証券の名称であり、株式投資における「株式」に相当する。

たとえば、あるJ-REIT銘柄の投資口価格(東証の終値)が50万円、発行済投資口数が100万口だった場合、その銘柄の時価総額は5千億円(=50万円×100万口)となる。

株式市場と同様、時価総額の大きいJ-REIT銘柄の方が、日々の売買規模が大きく、売買が安定的に成立しやすい(流動性が高い)というメリットがある。

対照的に、時価総額の小さいJ-REIT銘柄は、日々の売買金額が小さいため、たとえば大口の買い付け注文を入れると需給バランスが崩れて、価格が大きく上昇し、高値掴みとなってしまう。

逆に大口の売り付け注文を入れると、今度は価格が大きく下落して売却損が生じてしまう。このような売買の成立のしづらさ(流動性の低さ)を理由として、時価総額の小さいJ-REIT銘柄には、機関投資家からの大口資金が流入しづらく、時価総額の大きい銘柄に比べ、その投資口価格は低くなる傾向がある。このメカニズムは、後述する「分配金利回り」や「NAV倍率」に影響するので覚えておこう。

2021年2月末現在、J-REIT全61銘柄のうち、時価総額の上位5件、下位5件は次のとおりである。

出所:http://www.japan-reit.comの情報を基に日本橋くるみ行政書士事務所作成
出所:http://www.japan-reit.comの情報を基に日本橋くるみ行政書士事務所作成

②分配金利回り

分配金利回りは、各J-REIT銘柄の将来1年間に予想される分配金(インカムゲイン)の利回りを表す指標である。

分配金利回りは、「年間の予想分配金 ÷ 投資額」として計算される。

「年間の予想分配金」は各J-REITが公表している一口当たりの予想分配金額を、「投資額」は現在時点の一口当たり市場価格を用いる。

たとえば、1口当たりの年間の予想分配金を1万円と見込んでいる銘柄の一口当たり市場価格が20万円の場合、分配金利回りは5%(=1万円 ÷ 20万円)となる。

また、この銘柄の人気が高まり、一口当たり価格が25万円に上昇した場合、分配金利回りは4%(=1万円 ÷ 25万円)に低下する。

インカムゲインを重視するなら、分配金利回りの高い銘柄を選ぼう。

前述のとおり、時価総額の小さいJ-REIT銘柄は投資口価格が低くなる反面、分配金利回りは高くなる傾向にある。

機関投資家と異なり、私たち個人投資家の注文量であれば需給バランスが崩れる心配はないので、時価総額の小さい銘柄を中心に購入する「分配利回り重視」の投資戦略を採用することも可能である。

                                            株式会社寧広