日本国内の空家数は約846万戸(平成30年住宅・土地統計調査)。全住宅に占める空き家の割合(空き家率)は13.55%にも上る。
空き家が増える原因はいくつもあるが、多くの人にとって身近なのが「実家が空き家になった場合」だろう。その扱いについて頭を悩ませている人も少なくないはずだ。
売却する、賃貸に出す、更地にする、そのまま管理する(放置)などさまざまな選択肢があるなか、全体的な傾向はどうなっているのか。この度、そんな「実家」についてのアンケート調査の結果が発表された。

●年代にかかわらず、実家が空き家になったら
「売却する」が過半数
調査によると、実家が空き家になった場合の対応としては、「売却する(48.9)」、「賃貸に出す(14.3)」と続く。
また、調査前は「若い人ほど所有欲はなく、実家を手放すのでは?」との予想もあったが、実際には年代別の調査でも傾向は変わらなかった。
60代以上を除くすべて年代で「1位:売却する」「2位:空き家のまま管理する」「3位:賃貸に出す」「4位:更地にする」という結果に。それぞれの割合もほぼ似通った数値となっている。

●金銭面の理由での売却が多い一方で、
手続きや金銭的な問題で「そのまま管理する」人も
売却する理由については「現金化」「固定資産税の問題」「使用する可能性がない」が大半。自由回答の中には「管理が手間、面倒」という声も多かった。
「特に思い入れはないから」は45票と少なく、「本当は手放したくないけど、背に腹は変えられない」と考えている人が多いと言えそうだ。
一方、「空き家のまま管理する」と回答した理由の中では、「解体費用の問題」「思い入れ」「将来的に使用する可能性」という回答が多かった。大きく分ければ、売却や賃貸には出したくない層、売却や賃貸に出したいが、手続きや金銭的な問題で出来ない層の2つがあるようだ。
さらに、「そのまま(空き家のまま)にする」その他の理由を細かく見てみると、「親族間での人間・権利関係の問題」に関する悩みのほか、「どうせ需要もなく売れないから」という声も多く、「本当は空き家にしておきたくない、けど諦めてしまっている」、そんな実情もうかがえる結果となった。

●「管理の手間」や「収入面」などを考えて、
賃貸化や更地化を考える人も
逆に、「売りやすさ」「管理のしやすさ」を求めて更地にする人や、収入を見込んで「賃貸に出す」という人もいる。
「更地にする」と回答した理由の中では、「管理する手間が大幅に省けるから(40票)」が第1位という結果に。「更地にして駐車場にする」「所有権を持つものが複数おり、更地にしたあとで売却した方が面倒が少ない」などという意見もあった。
「賃貸に出す」と回答した理由の中では、「家賃収入が欲しいから(70票)」が第1位。「将来的に自分もしくは家族が住むかもしれないから(56票)」が続いた。「手放したくはないけど、使わずそのままにしておくのはもったいない」と考える人が多いようだ。
特に年収別の結果を見ると、「売却する」と「賃貸に出す」を合計した割合は、年収800万円未満までがほぼ6割なのに対して、年収800万円を超えると、80割を超えた。「ある一定の年収を超えると、実利を追い求める傾向」が見て取れる。

実家をそのまま空き家の状態で放置する理由はさまざまだ。とはいえ、3割もの人が実家を「そのまま(空き家)にしておく」という現状は、何とかできないものだろうか。
実家を空き家のまま放置するのではなく、少しでも流動化させていければ、日本の住宅事情にも変化は生まれてくるはずだ。
株式会社 寧広