地震保険の請求で「知らなかった」が7割以上!? オーナー500人のアンケート調査から見えてきた、地震保険の有効活用とは?New 賃貸経営/保険 ニュース 保存 2021/04/04 配信

2011年に東日本大震災が発生してから、今年で10年という節目を迎えた。

しかし、世界有数の地震大国である日本に住んでいる限り、震災レベルの大きな地震は、今後も発生すること確実視されている。

私たち不動産投資家は、地震や津波被害などの大きな投資リスクに目をそらさず、より確実に備えておかなければならないことは、改めて言うまでもないだろう。

そこで重要になるのが、火災保険と共に加入する「地震保険」の存在だ。

しかし、この地震保険については以前から、その仕組みや請求の可否について、加入者がきちんと理解していないケースが多いと指摘されている。

火災保険と地震保険の補償範囲。地震保険は地震や津波のほか、火山の噴火でも補償される。 (株式会社SPRINGのホームページより)
火災保険と地震保険の補償範囲。地震保険は地震や津波のほか、火山の噴火でも補償される。
(株式会社SPRINGのホームページより)

今回、その事実を裏付けるアンケート結果が、民間の調査によって明らかになった。

その一部を、これから紹介してみたい。

■地震保険に対する理解度は低かった?

このアンケート調査は、総合調査会社の株式会社トクチョーが2020年6月、全国の不動産オーナーや経営者、企業の管理部門など500名以上を対象に実施したもの。

地震保険の補償内容や手続きなどについて、保険契約者がどれほどの認識をしているかを、アンケート調査の形で集計している。

今回、上記の調査結果を公表している株式会社SPRING(トクチョーの持株会社)の協力を得ながら、多くのオーナーが「知らなかった」地震保険の仕組みについて、最も多かった上位5つを発表していきたい。

【第5位】
『支払われた保険金は、建物の修理に使う必要はなく、生活資金など自由な使い道がある』
→ 68%が「知らなかった」

2

地震保険で支払われる保険金は、生活復旧のための「見舞金」という考えに基づいており、火災保険のような「損害額=支払保険金」という性質のものではない。

言い換えれば、支払われた保険金の使い道は基本的に自由であり、建物の修繕やリフォームに充てることはもちろん、ローン支払いや生活資金としても構わないのだ。

さらに個人であれば、支払われた保険金が非課税となるのも、大きなポイントだと言える。

【第4位】
『地震保険を請求して補償を受けた後でも、保険料は変わらない』
→ 69%が「知らなかった」

3

地震保険に限らず火災保険でも言えることだが、何度被災して補償を受けたとしても、支払う保険料がアップすることはない。

同じ損害保険でも自動車の任意保険であれば、事故のたびに等級がダウンし、次回の契約から保険料がアップすることになるが、地震保険ではその心配が無用であると言える。

ただし、全体的な保険料率の見直しについては、昨今の自然災害増加を背景に損保各社が継続的な値上げを行い、今年の1月にも値上げが実施されている。

【第3位】
『マンション(RC造)などの地震によるエレベーターの故障、エントランスの倒壊は、被害(損害)の対象とならないとされている』
→ 73%が「知らなかった」

4

RC構造のマンションなどでは、震度5以上などの大地震が起こった場合、次のような被害や損害を被る恐れがある。

・エレベーターが故障し、使用できなくなった
・エントランスや共用階段が崩れて、自宅に戻ることが出来ない
・共通廊下に大きなヒビ(クラック)が入り、危険な状態にある
・屋上の高架水槽が破損して、水道が使用出来ない など

残念なことに、これらのケースはいずれも、地震保険における被害対象箇所として認められない場合が多い。

では、どういった被害が地震保険の対象となるのか?以下の表を見て頂きたい。

5

このように、構造の違いによってそれぞれ被害対象が異なり、上記以外の被害では、地震保険が認められないことになる。

地震保険の加入時にこの知見を持つ方は、殆どいないのではないかと思われるが、皆さんはいかがだろうか。

第2位】
『通常は過去3年までの地震被害まで遡って請求できる』
→ 75%が「知らなかった」

6

地震保険を含む火災保険の請求は、保険法第95条の規定に基づき、発災から3年が経過すると「消滅時効」とされ、後から被害を発見しても請求が出来なくなる。

裏を返せば、過去3年までの被害については通常、遡って請求が出来るというわけだ。

例えば、過去3年以内に起きた大きな地震は、以下のようなものがある。

・大阪府北部地震(2018年6月18日)→請求期限まで残りわずか
・北海道胆振東部地震(2018年9月6日)
・山形県沖地震(2019年6月18日)
・択捉島南東沖地震(2020年2月13日)
・福島県沖地震(2021年2月13日)
・宮城県沖地震(2021年3月20日)

「これらの地震に遭い、さほど大きな被害はないと思われていた建物でも、調査を行うことで隠れていた損傷が判明し、保険請求に繋がった事例もございます。」と、SPRING社の担当 清水氏は言う。

被災エリアの建物を保有するオーナーは、ぜひ調査することをお勧めしたい。

【第1位】
『10年前の東日本大震災(最大震度7、M9)の保険請求は今も受け付けている』
→ 77%が「知らなかった」

7

冒頭で触れたように、東日本大震災の発生から今年で10年を迎えたが、この大震災に限っては例外的に、共済を除く損保各社が3年の消滅時効を設けず、現在も保険請求を受け付けている。

実は、この例外措置を知らない保険加入者が、調査全体の8割近くにも上っていることが、今回のアンケート調査で判明しているのだ。

被災された多くの方が、すでに地震保険の請求を済ませているはずだが、改めて震災当時に地震保険に加入していたかどうか、今一度、保険証券をチェックしてみてはいかがだろうか。

なお、JAなどの共済では既に請求を受付けていないので、共済加入者の方は留意してほしい。

■地震保険への理解と請求は、オーナーの責務

今回のアンケート結果について、皆さんはどのように感じただろうか。

少なくとも、多くの保険加入者が、地震保険に対する理解が乏しいことについて、あらためて浮き彫りとなったことは間違いないはずだ。

大きな地震は今後も避けられない以上、私たち物件オーナーは自ら、地震保険や火災保険に関する理解度を深め、被災した際は、被害を的確に把握することに努めなければならない。

とはいえ、建物の被害について自ら調査を行い、地震に起因するものと立証することは、保険に精通した一部のオーナーを除き、ハードルが高いこともまた事実である。

そういった意味で、多くの保険請求に精通したプロに調査を依頼し、より確実な補償を得ることも、オーナーにとって有効な手段の1つではないだろうか。

                                               株式会社寧広