半導体不足も不動産投資家にとって他人事ならず!背後に迫るウッドショック・半導体不足の影響New

賃貸経営をしている人であれば、「ウッドショック」や「半導体不足」といった言葉を聞いたことがあるのではないだろうか。新築でも建てなければ関係ないと思いがちだが、実は賃貸経営に大きな影響を与えかねない事件なのである。

今井さん12月

■コロナが後押しした2つの危機

まずウッドショックとは、2021年の春ごろから世界規模で起こっている「木材価格の高騰」のことである。かつての「オイルショック」になぞらえたネーミングだが、一時期はそう呼ぶにふさわしいほど需要と供給のバランスが崩れ、各国がこぞって木材を奪い合い、大幅な需要の高まりによって世界的に木材価格が急騰したのである。

たとえば、日本の輸入木材の主流である欧州材の価格は、2021年3月を基準にすると6月時点で2.3倍の高値を付けており、しかも今後3.3倍まで値上がりすると予想されているなど、状況は深刻だ。

一方、半導体とはパソコンやスマートフォンのほか、自動車や一般家電にも利用される電子部品である。こちらは2020年の春頃から不足し始め、現在も依然として十分な量が供給されていない。

追い打ちをかけるように、国内では大手半導体メーカー2社の工場が火災に見舞われ、生産量が減少。市場では「半導体確保」に各社がしのぎを削っている。

どちらの「事件」もさまざまな要因が絡み合って発生しているのだが、共通する要因の一つに、世界中を席巻したコロナウイルスの存在がある。

たとえば、アメリカにおける木材需要の急増は、コロナ禍での「巣ごもり」にともなう新築・リノベーションニーズの増加によるものといわれている。

また、半導体不足を後押ししたのは、この一年で世界的に増加した在宅ワークだとも。ウイルスのまん延によって各地の半導体工場が停止する中、世界中の人や企業が自宅で仕事をする/させるために、パソコン等の電子機器を買い求めたことによるものだとか。

■情報収集徹底で影響を最小限に

では、2つの危機は具体的に、賃貸経営にどのような影響を与えるのだろう。

まず想像しやすいのはウッドショックである。木材価格が3倍に高騰すれば、建築・リフォーム・修繕の原価に影響が及ぶことは必至だ。米国市場の騒動は今年5月をピークに沈静化に向かっているとのことだが、日本市場の正常化はもう少し先になると見られ、今後原状回復工事やリノベーション工事の価格が値上がりする可能性は十分に考えられる。

また、今や半導体は、身の回りのあらゆる電化製品に組み込まれている。調理器具や掃除機、洗濯機などはもちろんのこと、エアコンや電気温水器の基盤にも使用されている以上、部屋の設備が故障した際には、商品の欠品や修理部材の不足による修理・交換の長期化に巻き込まれる。既に、新築の現場でも設備が入荷できず、物件が完成しないという自体すら起こっているのだ。

物価高騰によりコストが著しく上がっても、家賃が同様に上がるわけではない。政府もようやく重い腰を上げて、賃金をあげることに動き出しているが、これが国内に浸透するまでには相当な時間を要するだろう。

建築コストは上がっても、家賃は据え置き。そうなれば当然に利回りは低下して行くことになる。または、比較的家賃が低い物件にニーズが集中する可能性すら考えられる。

また、このままコストが高止まりすれば、新築の利回りが合わなくなる。すると、中古物件の流通される可能性もありうる。

相手が世界市場の巨大なうねりとなると、私たちいち大家としては「やり過ごす」ほか手立てはないが、それでも状況を知っているのと知らないのとでは、いざという時の初動の速さで優位に立てる。

2つの危機に対しては、国策として林野庁が国産材の流通増加に動いたり、各国が1兆円規模の予算を注ぎ込んで半導体不足に取り組んだりと、大掛かりな対策がとられているとのこと。今後の動向にしっかりと注目し、重要な情報を逃さないようにしていきたい。

                                                  株式会社寧広