再建難航のレオパレス、改修めど立たず「物件解体」打診されたオーナーも

2018年に発覚した大手不動産会社「レオパレス21」(以下、レオパレス)による物件の施工不備問題。レオパレスによると、何らかの不備があった約19万6000戸のうち、改修が完了したのは2021年6月末時点で約4万8000戸に過ぎない。

さらには、入居率の低迷や施工不備物件に対する莫大な改修費も影響し、債務超過に陥った財務状況など課題は多い。

こうした中で、あるオーナーは改修のめどが立たないことからレオパレス側から「解体」を打診されたと明かす。

また、7月30日には、レオパレスでアパートを建築し、サブリース契約を結んだ6人のオーナーが、「物件の施工不備は不法行為にあたる。修繕も進んでおらず、物件の評価自体も減少した」などとして、レオパレスに対して計約7600万円の損害賠償を求め提訴した。

レオパレス問題をめぐる今を追った。

オーナーチェンジで購入、「施工不備」物件と発覚

不動産投資家のAさんが2015年にオーナーチェンジで入手したのは、のちに施工不備が確認されることとなるシリーズのレオパレス物件だった。全10室のうち半分程度が空室の状態で、価格は4900万円で購入。15年のローンを組んだ。

当時すでにレオパレスの管理は外れていたため、Aさんはリフォームや入居付けなどに尽力。2018年に問題が発覚するまでのおよそ3年間、満室経営ができていたという。

Aさんが所有する物件。オーナーチェンジで購入した当初は、レオパレスの管理を外れていた

雲行きが怪しくなったのは、レオパレスの問題が報道がされて数カ月たった2018年の夏ごろだったとAさんは言う。

「施工不備の改修が終わるまで、新規入居を停止するようにレオパレスから言われたんです。管理会社にも連絡があったようですし、オーナーである私本人にも連絡が来ました」

レオパレス物件の施工不備問題はすでに大きく報道されており、そこからどんどん空室が増えたが、Aさんにはどうすることもできず、最終的に空室は全10戸中6室になってしまった。

ただ、施工不備にともない、レオパレスから新規入居の受付を停止するよう要請があったということもあり、この空室についてはレオパレスが代わりに家賃を保証する形で契約を結んだという。現在、空室6室分の月額家賃として月額約34万円が支払われている状態だ。

「自力で満室にした実績もありますし、何もなければ満室経営ができる自信もあります。賃貸経営をしたいと思ってこの物件を購入した私からすれば、歯がゆい思いをしているのが本音です。ただ、月々の返済が約30万円で、通常の入居者さんからいただく4室分の家賃は約20万円だけですから、この34万円がなければ赤字。助かっているというのも事実です」

だが、こうした賃料保証もいつまで続くかわからない「綱渡り」なのが実情だとAさんは明かす。

「改修のための空室、家賃は保証する」はずが

「今年に入って、『もしかしたら賃料保証がこれ以上できなくなってしまうかもしれない』と担当者から連絡がありました。私はサブリースによる家賃保証ではなく、レオパレスと『改修が終わるまで、空室の家賃を保証する』という契約を結んでいます。ですから、もし家賃保証をストップするのであれば、債務不履行で争うしかなくなります。結局、今も空室分の家賃は支払われていますが…」(Aさん)

背景にあるのは、レオパレスが置かれた厳しい状況だ。2020年6月末時点で118億円の債務超過に陥っていたレオパレス。米投資ファンドのフォートレス・インベストメント・グループ(以下フォートレス)からの支援を受けたものの、2021年3月期決算でも84億円の債務超過となっていた。

レオパレス側は、決算資料で「原価および販管費の削減や入居率の改善などによって債務超過を解消する」と説明。事実、入居率は最低値(77.07%)をつけた2020年12月からわずかながら回復してきており、2021年6月は80.91%となっている。

レオパレスの物件の入居率((出典:レオパレス21「月次データ」 

現在、Aさんのもとには、月34万円は問題なく振り込まれている。だが、それも「会社が存続する限り」(Aさん)だ。「それまでにどれだけ会社が持つのか」と不安は隠せない。

わずか200万円の解決金で「解体」打診

物件の改修も遅々として進まない。Aさんの物件では建築基準法で定められた耐火性能を満たしていないパネルが外壁に使用されているなどの不備が判明しており、大規模な改修が必要だ。だが、いまだに改修時期のめどは通知されていない。

それどころか、「解体」の打診すらあったとAさんは明かす。

「『改修のめどが立たないので、解体の方向性で考えたい。解体合意書に署名してもらえないか』という話でした」

レオパレス側から解体合意書が提示されたのは、今年7月。合意書には「オーナー側が解体を実施する義務を負う」「レオパレスから解決金として賃料の6カ月分を支払う」などの内容が記されていた。

Aさんが提示された合意書

「賃料の6カ月分ということは、200万円程度です。その上、1000万~2000万円の解体費はオーナー負担だということでした」

Aさんにはローンの残債も3000万円程度残っており、それを200万円の解決金で終わらせたいというその提案は、「とうてい飲めるものではない」とAさんは話す。

「そもそも、私は賃貸経営をしたいと思ってこの物件を購入しています。どうにかして、改修をする方向で考えたいと思うのが当然です。それでも、もし解体をせざるを得ないにしても、多少なりともオーナー側が納得できる条件を提示してほしいと思います」

今回のAさんのように、解体を打診された事案はほかにもあるのだろうか。

楽待新聞編集部の取材に対して、レオパレス側は「オーナーと個別に協議を進めているが、個々の協議内容についての回答は控える」と述べるにとどめた。

一方で、今後の債務超過の解消に向けては「抜本的な体質改善のための構造改革を継続し、事業面及び財務面での安定化を図り、持続的な収支の改善を図り、当該状況の解消・改善に努めてまいる」と改めて説明した。

「物件修繕進まず」、オーナーが損害賠償請求

物件の改修が進まず、時だけが過ぎることに業を煮やし、損害賠償請求に踏み切る動きも出てきた。7月30日には、レオパレスのオーナー6人が、計約7600万円の損害賠償を求め、訴訟を提起した。

原告となったのは、レオパレスと契約を結んでアパートを建築、サブリース契約を結んだ男女6人のオーナー。原告が所属するレオパレスのオーナー団体「LPオーナー会」の前田和彦代表は、同日開催した記者会見で「これまで何度もレオパレスは修繕完了の時期を公表してきたが、いまだ修繕は終わらず、オーナーは待ちぼうけの状態でここまで至っている」と主張。

不法行為の損害賠償請求権が「不法行為を知ってから3年間」に限られることなどもあり、今回、損害賠償請求に踏み切ったと話した。

記者会見を行うレオパレスのオーナー団体「LPオーナー会」の前田和彦代表ら(7月30日、東京・霞ヶ関の司法記者クラブ)

原告の代理人を務める花井淳弁護士は、今回の請求額について「レオパレスの施工物件というだけで、『修繕をしたとしても信用できない』という不動産会社の声もあり、物件の価値が実質的に下がっている。こうした慰謝料も含め、違法建築を自費で修繕した場合の費用相当額を請求している」と説明した。

今回の訴訟に関して、レオパレスは楽待新聞編集部の取材に「訴状の内容を確認していないので、コメントができない」と回答。

一方で、改修工事については「入居者の退去に合わせて明らかな不備が判明している住戸の改修工事を行うとともに、未調査の住戸の調査を進め、明らかな不備が判明次第改修工事を行うことにより、2024年末までに明らかな不備の解消を目指す」と答えた。

「一方的に減額家賃振り込み」か

また、前田代表は「合意がないまま、レオパレス側から、勝手に減額した家賃が振り込まれているオーナーもいる。これは明らかに不当な行為だ」と訴える。

前田代表によれば、オーナー会の中では187人のオーナーがレオパレス側から家賃減額を迫られており、平均減額率は約22%。さらに、最高で約4割の減額を迫られたり、実際に、合意がないまま減額した家賃を振り込まれたりしたオーナーも19人いると話す。

前田代表は、こうした状況に「半額に近いほど減額するという手紙が送られてきて、頭を抱えているオーナーもいる。未払い分を回収するためにはオーナーが動かざるを得ない」と述べた。

こうした状況について、レオパレス側は「2年毎に実施している賃料見直しの協議を契約に沿って、各オーナーに連絡している。また、近隣相場との賃料のかい離幅が大きいと判断される物件については、借地借家法第32条1項にのっとり、契約更新月にかかわらず速やかな賃料見直しに向けた協議の相談をしている」と説明。

一方で、「物件ごとに状況が異なるため、解決方法についてはオーナーと個別に協議を進めているが、個々の協議内容についての回答は控えさせていただく」と回答した。

                                                 株式会社寧広