全国各地で導入が相次いでいる。「デジタル地域通貨」が人を集め稼ぐツールになる日は近い!New

クレジットカードやデビットカード、電子マネー、コード決済などの普及により、徐々に高まってきた日本のキャッシュレス決済比率。経済産業省によると、2010年は全体の消費のうち13.2%(40億円弱)だったのが、19年には26.8%(約80億円)にまで上昇した。

コンビニやスーパーは幅広い決済手段に対応していて、いまでは小さな個人商店でも使えるようになった。国や民間による取り組みが、ここまで引き上げたと考えられる。

20年以降は新型コロナウイルスによるソーシャルディスタンスの徹底、現金の授受を避けたいなど新しい背一括様式への対応も求められ、ますます浸透していくだろう。

デジタル地域通貨の「戸越銀座ポイント」の実証実験を行った、東京・品川区の戸越銀座商店街。ポイントやアプリを使ったさまざまな施策も展開する予定だ。
デジタル地域通貨の「戸越銀座ポイント」の実証実験を行った、東京・品川区の戸越銀座商店街。ポイントやアプリを使ったさまざまな施策も展開する予定だ。

一方、全国の自治体などで加速しているのは「デジタル地域通貨」の導入だ。

デジタル通貨と言えば、「ビットコイン」をはじめとする暗号資産、Facebookの「Libra(リブラ)」、中国の「デジタル人民元」など各国が取り組み始めた「CBCD(中央銀行デジタル通貨)」が話題になっているが、これらはあくまでグローバルや各国で使用するのが前提だ。

対してデジタル地域通貨は、定められたエリアでしか使用できない。一見すると不便に映るが、これが地域経済の活性化にひと役買うという。例えば、東京都品川区の戸越銀座商店街では昨年11月に、同商店街で利用できる「戸越銀座ポイント」の実証実験を行った。

地域住民の利便性向上だけではなく
新しい生活様式にも対応する

戸越銀座ポイントは、戸越銀座商店街のみで利用できるデジタル地域通貨のこと。同商店街と日立システムズが共同で進めているプロジェクトで、決済アプリを通じて各店舗での支払いに1ポイント=1円で使う仕組みだ。

アプリはポイントのチャージや決済に使うだけではなく、クーポン券の発行や来店ポイントの付与、地域貢献に寄与した遠隔地の会員へのポイント付与にも使えるという。

この実験では14店舗が対象となり、事前に募集した100名のモニターが参加した。

利用範囲を限定することにより地域内で経済が回り、利用客の購買履歴などのデータを収集・活用することで、新たな集客や販促の施策につなげることもできる。今回の実験を通じてアプリをブラッシュアップして、本格的なローンチを目指すという。

昨年7月には、福島の会津大学が学内のカフェや売店で使用できるデジタル地域通貨、「Byacco/白虎」の運用を始めた。同通貨は国内初となるブロックチェーン技術を活用したデジタル地域通貨で、高いセキュリティを実現している。

自治体でもデジタル地域通貨の導入は相次いでいるようだ。千葉県木更津市は2018年10月から、市内を対象にした「アクアコイン」の運用を始めている。

これは、市内に本店を構える君津信用組合と木更津商工会議所、市が連携して普及を促進しているもの。利用者はスマホにアプリをダウンロードして、1円=1コインとしてチャージしたうえで、加盟店ではQRコードで決済をする。これまでにアプリのダウンロード数は1万件、加盟店は600店舗を突破している。

アクアコインの公式ホームページ。現在は利用限度額が大きく、コインの有効期間が長い、コインの送金機能などを備えた「アクアBank」(君津信用組合の口座が必要)を辻て利用することもできる。 出典:アクアコイン公式ホームページ
アクアコインの公式ホームページ。現在は利用限度額が大きく、コインの有効期間が長い、コインの送金機能などを備えた「アクアBank」(君津信用組合の口座が必要)を辻て利用することもできる。
出典:アクアコイン公式ホームページ

同コインでは、連携する3社職員の給与支払いの一部をアクアコインで支給したり(希望者のみ)、ボランティア活動に対してアクアコインと連携する行政ポイントの「らづポイント」を市から付与、1日8000歩で1ポイントを付与する歩数連動ヘルスケア「らづFit」も運用するなど、独自の施策が特徴だ。

アクアコインでは住民票手数料や公民館施設などの使用料の支払いができるほか、電気料金も支払える「アクアコインでんき」も運用している。昨年のコロナ禍では、アクアコインを活用し、要件を満たした市内宅配事業者を支援する「中小企業向け宅配事業補助金制度」を実施した。デジタル地域通貨をフックに多様な展開をしているといえる。

チャージポイントを付与するサービスも
広がるデジタル地域通貨の活用

昨年11月には、群馬県みなかみ町が「MINAKAMI HEART Pay」の運用を始めた。スマホアプリか専用カードを使い、観光協会や道の駅に設置されたチャージステーションやクレジットカード、セブン銀行ATM(今夏以降予定)でチャージをするが、チャージステーションを使うとチャージ金額の3%(専用カードは2%)、クレジットカード・ATMだと1%のポイントが還元される。現在は飲食や宿泊、物販、アウトドア、観光関連の施設で使うことができる。なお、同県では沼田市も12月から「Tengoo」の運用を始めている。

東京都世田谷区は2月20日から「せたがやPay」の発行を始める。当初は区内の小売業・飲食業などの個店が加盟する予定だ。導入にあたっては、チャージ額の30%のプレミアムポイントを抽選でプレゼントするキャンペーンも行った(現在は終了)。

世田谷区による「せたがやPay」の告知。加盟店で飲食した代金をせたがやPayで支払うと飲食代決済額の20%のポイントを還元するキャンペーンも開催予定(3月19日まで) 出典:世田谷区ホームページ
世田谷区による「せたがやPay」の告知。加盟店で飲食した代金をせたがやPayで支払うと飲食代決済額の20%のポイントを還元するキャンペーンも開催予定(3月19日まで)
出典:世田谷区ホームページ

このように、各所で導入が始まっているデジタル地域通貨。自治体や商店街からすると、紙の商品券を発行するには莫大な経費がかかるが、アプリなどであれば大幅に削減できる。さらには戸越銀座ポイントのように、アプリを通じたポイント付与、データの活用も考えられる。

何よりも、地域内で消費を循環させることで、地域経済は活性化。地域内だけではなく地域外からも資金を集められる可能性があり、決済時に現金を介することがなく、新しい生活様式にも対応している。こうした時代に沿った取り組みは、地域内外の人からも支持され、人を集める要因になっていくかもしれない。