全国で地銀再編加速、「青森銀+みちのく銀」「福井銀+福邦銀」5月発表 不動産融資を後押し!New

2020年1月に発足した徳島大正銀行の大阪市内の店舗2020年1月に発足した徳島大正銀行の大阪市内の店舗

青森銀とみちのく銀は2024年に合併へ
県内での貸出シェア7割の巨大銀行が誕生

地方銀行の統合や合併の動きが各地で加速度的に増えてきた。新型コロナウイルス感染拡大による経済の悪化などで経営環境が苦しいためで、後押しするのが、6月8日配信の「地銀の約半数36社が減益・赤字 政府の『30億円支援』で統合加速へ、不動産融資に追い風」で見た政府・日本銀行の支援策だ。

今回は最新の地銀統合の動きを見ていくが、今後、読者がお住まいの地域でも合併の動きがあれば不動産向け融資に有利になるだろう

最近の地銀の統合や合併の動きは、北は青森県から南は九州・長崎県まで、全国各地に及んできた。

地銀年表

最近では同じ5月14日に2つの案件が発表されている。

その一つが、青森県に地盤を置く青森銀行とみちのく銀行による合併に向けた経営統合協議のスタートだ。まず2022年4月をめどに持ち株会社を設立し、24年4月の合併を目指すとしている。

青森銀とみちのく銀はもともと、同じ地域で張り合ってきた長年のライバルだ。得意とする貸出先も異なり、青森銀は老舗企業や自治体、みちのく銀行は個人やベンチャー企業、不動産などに強みを持っていた。

しかし、少子化による人口減や日銀のマイナス金利政策による収益環境の悪化が、統合に向けた機運を生み出すことに。みちのく銀がリーマン・ショック後の09年に200億円の公的資金注入を受けており、確実に返済していかなければならない事情も後押しした。青森銀と統合すれば、返済余力が一気に増すからだ。

そして19年、両行は包括連携で合意。事務の共通化や店舗の統合を進める一方、ひそかに統合や合併に向けた議論を始め、今回の発表にこぎつけた。

誕生するのは、青森県内での貸出金のシェアが7割にも達する強力な地銀だ。本来なら独占禁止法への抵触が懸念される。だが両行は、昨年施行された、同一地域での地銀再編を認めた独占禁止法の特例法の初適用を目指している。シェア、体力ともに強さを増す新銀行の融資に対する姿勢に期待したい。

福井銀は福邦銀を今年10月に子会社化
50億円の第三者割当増資を引き受けへ

一方、同じく先月14日に福井県を地盤とする福井銀が発表したのは、10月1日付で同県内の福邦銀を子会社化することだ。福邦銀がおこなう50億円の第三者割当増資を福井銀が引き受け、最終的には福井銀が福邦銀の株式の52%を保有する形となる。

こちらも地銀に共通の経営環境の苦しさに加え、福邦銀が公的資金の返済を控えている事情が後押しした。

福邦銀もリーマン・ショック後の09年に60億円の公的資金の注入を受けている。しかし返済期限を24年に控え、しっかり返済していけるのか大きな課題となっていた。福井銀による子会社化の話は「渡りに船」「救いの手」だったといえるだろう。

ほかにも最近の合併・統合話では、銀行以外の金融グループ大手が主導するケースがみられるのが特徴だ。

19年9月には、インターネット証券大手SBIホールディングス(HD)が「第4のメガバンク構想」をぶち上げ、実際に複数の地銀との提携を進めていった。

〝異業種〟野村HDは千葉銀、第四北越銀行などと新会社設立へ
政府・日銀による支援策も統合・合併を後押し

そして先月10日には、野村ホールディングス(HD)が、千葉銀行、第四北越銀行(新潟県)、中国銀行(岡山県)と連携し、個人向けに金融関連の助言を行う会社を9月末までに設立すると発表。野村HDが過半数を出資するとしている。

野村HDとしては、それぞれの地銀が持つ大勢の顧客を取り込めるメリットがある。一方、地銀はさまざまな助言を行うことで顧客満足を強めることができ、新規顧客の獲得も可能となる。

こうした動きは今後、ますます加速するだろう。政府・日銀が相次いで強化している支援策がそれを後押しする。

たとえば「地銀の約半数36社が減益・赤字 政府の『30億円支援』で統合加速へ、不動産融資に追い風」で見たように、5月に成立した「改正金融機能強化法」は、地銀の統合費用を上限30億円までサポートする。強化法ポイント

統合・合併で体力が強くなった地銀が「手堅い」(地銀関係者)不動産向けの融資の強化に再び向かうのは間違いない。

読者の住む地域でも、地銀の統合・合併の動きがないかニュースをこまめにチェックしよう。そのニュースは、自身の投資戦略の追い風になるだろう。

                                                 株式会社寧広