倒産や失業…コロナ不況が本格化
住まいに困る人が増えている
いまだ、まったく収束が見えないどころか、日に日に深刻度を増しているコロナ禍。首都圏を中心に新規感染報告が過去最高を記録し続けたことを受け、国は1月8から2月7日にかけて埼玉、千葉、東京、神奈川の1都3県を対象に緊急事態宣言を発出。その後も、大阪、京都、兵庫の関西3府県や栃木、愛知、岐阜、福岡もこれに続いた。

気になるのは景気の先行き。帝国データバンクの調べによると、1月8日時点で新型コロナウイルス関連倒産は全国で875件、法的整理は770件にのぼる。営業の自粛・短縮に迫られた飲食店(136件)が最も多く、ホテル・旅館(72件)、建設・工事業(69件)と続いた。
倒産まではいかずとも業績低迷にあえぐ事業者は多く、雇用にも深く影響している。新型コロナによる解雇・雇止めは7日までに8万人を超えた。今後も緊急事態宣言で事業者が事業継続を断念したり雇用を縮小すると、失業者はさらに増えるだろう。
これに伴い懸念されるのは、住まいに困る人たちの急増だ。コロナ禍においては、賃貸住宅の家賃が払えずに延滞や減額を要請したり、家賃の安い物件に引っ越すケースが目立った。
こうした状況に対して、国や自治体がケアをしているのは、ご存じの通り。住宅に関しては、生活困窮者に対する住宅確保給付金を用意していて、コロナ禍に際しては支給要件が緩和されたこともあり、利用した人も多い。厚生労働省によると、2020年4~9月の累計支給件数は10万3918件と、半年間で19年度の支給件数の約26倍になった。これだけ、家賃の支払いに窮する人は多かったわけで、今後も予断は許さない状況だ。
困窮世帯の増加を受けて支給期間が
最大9カ月から12カ月に延長!
住宅確保給付金は離職・廃業により住まいを失う恐れのある人を対象に、家賃を原則3カ月間支給する制度。延長が2回出来るので最大だと9カ月間の支給を受けられ、支給額は各自治体で異なる。上限は、市区町村ごとで定める生活保護制度の住宅扶助額で、給付金は賃貸住宅の賃借人や不動産媒介事業者等へ自治体から直接支払われるので、賃貸オーナーとしても安心だ。先述したように、新型コロナの感染拡大を受け昨年4月からは給付要件を緩和していて、離職・廃業者でなくても、それと同程度まで収入が落ち込んでいると給付の対象になった。
さらに特筆すべきは、2020年度中に新規申請をして受給を開始した場合、2021年1月1日以降は支給期間が最長9カ月から12カ月まで延長したことだ。以下のように、厚生労働省もアナウンスしている。

出典:厚生労働省生活支援特設ホームページ
支給要件は、「離職または自営業を廃業した者」と「休業等による収入減少で、離職・廃業と同等の状況の者」で異なる。

出典:神奈川県ホームページ

出典:目黒区ホームページ
支給額は各自治体や世帯の人数により異なる。基本的に、世帯収入額が基準額以下なら家賃額で、世帯収入額が基準額を超える場合は、「基準額+家賃額-世帯収入額」となる(どちらも住宅扶助額が上限)。

出典:厚生労働省生活支援特設ホームページ
2020年度の終わりは、2カ月以上も先のこと。生活に困っている入居者がいるかもしれないので、何らかの形でお知らせしてはいかがだろうか。