住宅確保給金切れ、コロナ禍の滞納が増えてきた!「太田垣章子のトラブル解決!」

コロナに翻弄されて1年ちょっと。これが原因での失業者が10万人を超えたと発表もあり、世界中かもしれないが、日本は経済的ダメージを受けている。

仕事を失った人、減給になった人、残業代が減り手取りが減った人、賞与がなくなった人、様々な形で苦しい状況は続いている。

家を失ってしまうと、そもそも求職活動にも支障が出てしまう。何とか住む場所を確保するために、国は給付金等の援助をしてきた。

その最たるものは、住居確保給付金ではないだろうか。家主側や管理会社側からすると、家賃は行政から直接支払われるし、「これでやれやれだ」と安心感を得たはずだ。ところがここで安心しきっていはいけない。

住居確保給付金からの滞納が、今まさに始まっている。

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自分で払ったのは去年の6月が最後

明け渡しの手続の依頼を受けた。滞納額は4か月分の25万円弱。長期にわたっての滞納状況ではない、それが耳からの情報で判断した結論。しかし実際に交渉履歴を見てみると、唖然とした。

賃借人は住居確保給付金を受けており、実際に自分で家賃を払ったのは、要は昨年の6月が最後だったのだ。以降半年間、給付金として家賃が振り込まれていたのに過ぎない。この間、賃借人はいったい何をしていたのだろう。

賃借人とコンタクトを取ってみると、「事業をしていたが、コロナで行き詰った」とのこと。従業員の給与さえも支払われていないという。その従業員の生活すらも、心配になるくらいだ。

賃借人は58歳。家族はいない。7万円のワンルームで生活していた。事業が苦しくなったということで、持続化給付金や特別貸付等も利用しているという。それでも家賃は払えない、従業員の給与は払えない。

給与を支払わないとは、そもそもどういう考えをしたら、そんなことができるのだろうか。

正直、人を雇うということは、その人の人生も背負うということ。強い決意がなければ、簡単には雇えないことだと思っていた。自分が仮にご飯を食べなくても、給与は支払うものだと思っていた。

結局その腹のくくりをしていない人が、給与を払わなくてもいられる、家賃を払わないで住めるということかもしれない。

そんなことまで考えられない

当の本人は「給付金が切れて、自分では家賃払えない」と堂々と言う。もっと安い物件に転居するしかない、と伝えても「無職じゃ借りられない」。

なぜここに至るまでに動かなかったのか。

それは「とてもじゃないが、そこまで頭が回らなかった」。頼れる親族はおらず、転居先を自力で借りられる見込みもない。「部屋が借りられないから、知り合いのところに転がり込むしかない」という。

生活保護受給の申請をしているのかと確認すると、それもまだしていないということだった。行政に相談してみる、という選択肢はなかったようだ。

お金に追い詰められると、「今のこと」しか考えられなくなる。この先数か月で貯金が底をつく、逆算して行動するということができなくなってくる。

それが滞納してしまう人の、思考パターンと行動パターンなのだろう。そうなるともし賃借人が住居確保給付金を受けているなら、なぜそうなったのか、それは給付を受けている期間内に改善されるのか、この先がどうなのか、きちんとヒアリングした方がいい。家主側にとって「これでやれやれ」ということではないのだ。

ホッとして放置している間に、賃借人側の状況は悪化し、最終的には訴訟手続きを取らざるを得なくなることだってあるだろう。

強制執行までの間に、将来に希望を見いだせず、最悪の事態を招くことにだってなりかねない。そんなことにならないように、まずはなぜ住居確保給付金を受給する状況なのか、ということをしっかり確認し、一緒に解決策を考えてあげることが必要だ。

一見手間がかかるように思えるが、それが財産(物件)を守ることでもあるし、同時にトラブルを未然に防ぐことにもなる。やれやれではなく、これは大変だ!そう思う家主側(管理会社側)の感覚こそが重要なのだと感じている。

                                             株式会社 寧広