事業再構築補助金は不動産投資関連事業に活用できるか?第3回申請受付開始!

事業再構築補助金は、コロナ禍を乗り切っていくために新しい事業を展開して、思い切った事業再構築を図る中小企業等を支援することを目的として導入された補助金である。

予算額は1兆円規模と大きいものの、当初、不動産投資に活用するにはハードルが高いと目されていた。

令和3年6月に第1回採択結果が発表され、第2回申請は7月に締め切っており、8月末に第3回申請の受付が始まる。実際の補助金申請手続き、採択結果などの運用状況からして、事業再構築補助金は不動産投資関連事業にどの程度活用できるといえるのだろうか?

出典:中小企業庁事業再構築補助金事務局
出典:中小企業庁事業再構築補助金事務局

事業再構築補助金の第1回採択結果にみる
不動産投資関連事業

令和3年6月に発表された第1回の採択結果によると、書類不備なく受け付けられた19,239件のうち、約4割に当たる8,016件が採択されている。

不動産投資関連事業では、どのような事業が採択されているのだろうか。以下、公表されている採択結果から、不動産投資関連事業と考えられるものをピックアップした。類似している事業は、適宜一括りにしている。

【第1回採択事業の例】

主たる事業 事業再構築補助金が採択された新規事業
飲食サービス業 空きスペースを利用したレンタルスペース事業
宿泊業 客室を活用したワ―ケーションサービス事業
宿泊業 ワ―ケーション滞在向けコワーキング機能付き宿泊サービス事業
宿泊業 訪問介護サービスと連動する高齢者向けマンション賃貸業
宿泊業 グランピング設備付き非接触型宿泊サービス事業
宿泊業 コワーキング機能付きゲストハウス運営事業
宿泊業 アウトドア体験型グランピング施設事業
宿泊業 再生医療施設によるメディカルツーリズム事業
不動産業 テレワーク対応レンタルスオフィス事業
不動産業 先進的コインパーキング事業
不動産業 障がい者グループホーム運営事業
不動産業 トレーラーハウスレンタル事業
不動産業 非接触型一棟貸しゲストハウス事業
不動産業 グランピング施設運営事業
不動産業 料理スペース一棟貸し事業
不動産業 障がい者向けグループホーム及び就労継続支援施設運営事業
不動産業 非接触・長期滞在型リゾートホテル事業
不動産業 自然体験型ホテル運営事業

このようにしてみると、不動産投資関連事業も多数採択されている。ワ―ケーション利用を目的としたレンタルスペース事業はかなり多くの事業者で採択があった。

コロナ禍におけるニーズを意識し、非接触型の一棟貸しの宿泊施設運営や、グランピングなどのアウトドア体験施設運営に関する事業の採択も多い。その他、障がい者向け施設などの福祉施設運営事業の採択も多数みられた。

事業再構築補助金の
概要、要件は?

事業再構築補助金申請から採択、交付までの流れ
事業再構築補助金申請から採択、交付までの流れ

改めて、事業再構築補助金の概要と申請要件を、第3回の公募要領を基に確認してみたい。

事業再構築補助金は、コロナの影響が長期化する中、ウィズコロナ・ポストコロナの経済社会変化に対応するため、新分野展開、業態転換などによって、思い切った事業再構築を図る中小企業等を支援する補助金である。

補助金額は申請するプロジェクトにかかる補助対象経費の実費などによって変わり、100万円から8,000万円まで、補助率は実費の3分の2が基本となっている。補助対象経費は、採択決定後に精査して別途交付申請をする仕組みである。

申請の前提となる条件は、2020年4月以降の半年間で、任意の3カ月の合計売上高が、コロナ以前の同じ3カ月と比較して10%以上減っており、2020年10月以降の半年間では、任意の3カ月の合計売上高が、コロナ以前の同じ3カ月と比較して5%以上減っていることである。

認定経営革新等支援機関などと共に、経産省が定める事業再構築指針に沿った事業計画書を策定すること、補助対象事業の付加価値額(おおまかに、「営業利益+人件費+減価償却費」)が3~5年で年平均3.0%以上増加する見込みであること、も条件となる。

事業内容について、実質的にハードルとなるのは、経産省の「事業再構築指針」を満たすことである。

事業計画が指針の趣旨に沿った優れたものであるかどうかを審査委員会が評価し、採択の可否を決定する。事業計画書においては、指針の要件を満たすために、申請する事業の収支見込みとその根拠などを示す必要があることから、信頼できる支援機関をパートナーにすることも重要であるといえるだろう。

不動産投資関連事業で
補助金申請する際の留意点は?

不動産投資関連事業でも採択されている事業再構築補助金だが、実際に不動産投資関連事業で申請を検討する際はどのような点に留意すればよいのだろうか。

事業再構築補助金申請のサポートを手がける、東京都行政書士会世田谷支部理事の飯塚正将行政書士は、「通常の不動産賃貸業では採択は難しいと考えられるが、事業再構築指針を満たせば十分可能」と話す。

出典:中小企業庁事業再構築補助金事務局
出典:中小企業庁事業再構築補助金事務局

上述した第3回公募要領では、「専ら資産運用的性格の強い事業」や「建築又は購入した施設・設備を自ら占有し、事業の用に供することなく、特定の第三者に長期間賃貸させるような事業」は不採択になる旨が注意喚起されている。

すなわち、通常の不動産賃貸業はこれに抵触して採択されないといえるだろう。これをクリアしたうえで、経産省の「事業再構築指針」を満たすことが必要となる。

「事業再構築指針」とは、どのようなものなのだろうか。令和3年7月に中小企業庁が公表した「事業再構築指針の手引き」によると、5つの類型のいずれかに該当する事業計画を策定することが必要となる。

5つの類型とは、「新分野展開」、「事業転換」、「業種転換」、「業態転換」、「事業再編」である。それぞれの類型によって必要となる要件が異なるが、「新分野展開」、「事業転換」、「業種転換」は、基本的に、製品等の新規性、市場の新規性、売上高構成比の3つの要件となる。

「新分野展開」では、新事業の売上高は10%の構成比でよいが、「事業転換」では、新事業の売上高構成比が最も高くなる必要があり、「業種転換」も同様だが、新事業が元の業種と異なる業種であることが必要となる。「業態転換」は少々系統が異なり、製品等の製造あるいは提供方法を転換することが要件となる。

「事業再編」は、会社法上の組織再編行為を行うことが要件となる。いずれの類型にも共通するのは、既存事業から何らかの新しい転換が必要であるということだ。

不動産投資関連事業で指針に合致する典型事例をみてみよう。

上述の「手引き」では、「新分野展開」類型に該当する「不動産業」の事例として、「ウィークリーマンションを営んでいた不動産事業者が、客室の一部を改装してオフィス機器を導入し、レンタルオフィス業を展開し、3年間の事業計画期間終了後、レンタルオフィス業の売上高が総売上高の10%以上となる」事業計画を挙げている。

また、第1回公募で実際に採択された事業計画事例が公開されている。一例が、宿泊業を主要事業とする十勝シティデザイン株式会社の事業計画である。同社は、帯広駅至近の立地で1階に飲食施設を備えたホテルを運営しているが、コロナ禍により大きな打撃を受けている。

そこで、「新分野展開」型の事業再構築として、同社の強みを生かしつつ、コロナ禍に伴うワ―ケーション市場拡大の流れを踏まえて、既存ホテルに隣接するコワーキング機能付き宿泊施設の開業を計画した。当施設によって、首都圏企業のワ―ケーション滞在ニーズをサブスクリプション型契約で獲得し、収益構造の改善と安定化を図るとしている。

不動産投資関連事業で交付を受けるには、様々なハードルのある事業再構築補助金だが、このような事業計画事例も参考に、申請を検討してもよいだろう。

                                              株式会社寧広