中古市場に割高感。築10年リセールバリューは東京23区で最大6割増し

不動産投資家にとっては、資金を投じるに当たって運用物件の資産価値をどれだけ高く保ち続けられるかが重要となる。新築や築浅の物件は、高い家賃であっても入居者が早期に決まりやすいが、築10年、20年、30年と築年数が経過するにつれて高い賃料で運用することが難しくなり、退去後に新たな入居者を早く誘致することも難しくなるためだ。

そうした物件の価値をリセールバリュー(再販価値)として駅ごとにランキング化した調査がある。不動産調査会社の東京カンテイ(東京都品川区)では、築10年が経過した中古マンションを対象に調べている。

竣工から10年が経過した分譲マンションで現在流通している物件を抽出し、分譲当時の価格と現在の価格から算出した指数だ。「価格維持率(%)」として発表しているもので、100%ならば分譲当時の10年前と同じ資産価値とし、110%ならば1割価値が増え、90%ならば1割価値が減ったとなる。分譲マンションであるが、投資家目線にフィットするように10年間貸し出し運用した場合の運用益を加味して算出している。

同社は5月6日に2020年版のリセールバリュー調査を発表した。それによれば、首都圏の平均リセールバリューは101.9%となり、前年から7.9ポイント上昇した。新築に比べて中古の1坪あたりの平均単価が大きく上昇したためだとしている。2020年は、新型コロナウイルス感染拡大で新規供給が大幅に減少したが、おう盛な需要が中古に駆け込んだりもした。

◎上位30駅、新築時より資産価値が約3割以上増大

調査対象駅は首都圏の412駅。このうち214駅(シェア51.9%)が100%以上の資産価値を維持している。次いで105駅(同25.5%)が90%以上100%未満となった。80%以上90%未満は67駅(同16.3%)、70%以上80%未満が16駅(同3.9%)、70%未満が10駅(同2.4%)だった。

同社では、新型コロナウイルス感染拡大により、リモートワークが注目を浴びる中での郊外ニーズの増加が資産価値を上昇させている気配がなく、実際上位30駅に郊外からランクインする駅はなかったとしている。

首都圏で再販価値1位の駅は東急東横線の「代官山」となり、その価格維持率は164.3%になった。つまり10年前の分譲時よりも資産価値が64.3%増えていることになる。平均坪単価で見ると、新築分譲時に420万円だったものが691万円に跳ね上がった。1坪当たり坪賃料は1万6905円となり、表面利回りが4.82%となった。

2位は東京メトロ南北線「溜池山王」(145.8%)となり、3位がJR根岸線「桜木町」(141.2%)だった。上位30位に東京23区以外がランクインしたのは桜木町駅だけで、ほとんどはJR山手線の内側や城南地区に集中している。

代官山は、渋谷エリアの大規模再開発の進行を受けて利便性が大きく向上していることが資産価値を大幅に増大させたと分析しており、16位の東急東横線「中目黒」(132.4%)も同様の要因によるものだとする。

※築10年中古マンションリセールバリュー表

◎売却差益1位は溜池山王に。「お買い得駅ランキング」

ちみなに東京カンテイでは、2010年に購入した新築マンションを10年間にわたり賃貸運用した上で2020年に売却した場合の売却差益も試算して「お買い得駅ランキング」として発表した。それによると、最もお買い得だった駅は、東京メトロ南北線の「溜池山王」だった。1坪当たりの運用益は221.7万円で、同売却益が193.8万円となり、両方を合わせての差益が415.5万円で2年連続1位。年利回りベース9.83%とお買い得感を出している。

2位は同線の「麻布十番」で売却益と運用益を合わせて413.9万円、3位が都営地下鉄浅草線の「高輪台」で同344.5万円だった。4位以下トップ10には、JR総武線「飯田橋」(339.7万円)、東京メトロ日比谷線「六本木」(336.9万円)、東京メトロ千代田線「赤坂」(323.6万円)、同「明治神宮前」(323.2万円)、JR山手線「渋谷」(319.9万円)、東急東横線「中目黒」(304.1万円)、JR山手線「恵比寿」(292.4万円)の順番だった。

お買い得ランキングでもリセールバリューと同様に上位30駅には、13位にJR根岸線「桜木町」(280.3万円)がランクインしているだけで、あとは東京23区内の駅となり千代田、港、渋谷がランキングの大部分を占めている。

ただ、都営地下鉄新宿線の浜町(24位=242.2万円)や都営地下鉄浅草線の東日本橋(26位=240.6万円)、東京メトロ日比谷線の八丁堀(29位=233.7万円)など東京駅周辺でオフィスに短時間で行ける職住近接の駅もある。

これらの調査結果を見ると、新型コロナ禍で郊外・地方の注目度が強まっているのとは裏腹に、消費者の不動産購入意欲が郊外に向かって本格化する気配まではうかがえない。

                                                  株式会社寧広