世界的な木材価格高騰の「ウッドショック」、不動産投資のピンチとするか好機とするかは投資家次第New

世界的な木材価格の高騰「ウッドショック」がじわじわと波紋を広げている。木材は日本人の日常生活に欠かせない素材であり、テレビや新聞でも連日報道されているように、消費者生活を直撃し始めている。不動産投資家への影響はーー。

写真AC
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「工期遅れ」に「そもそも着工できない」
大手ハウスメーカーも値上げに踏み切る

実際に、資材調達がままならず、竣工に遅れが出たり、そもそも「着工できない」という状況に陥ったりしている工務店が出始めている。大手ハウスメーカーでも、6月に大和ハウスと積水ハウスが相次いで、木造住宅の本体価格数十万の値上げに踏み切った。北米産のオーク材やウォルナット材を原料とする家具の値上がりも続き、ウッドショックはコロナ禍によるテレワーク促進で活況が続いていた住宅市場や家具業界に大きな影を落としている。

「地場の工務店さんが着工できないといったケースが実際に出てきている。困ったお客様がこちらに流れてきている」と話すのは、「住友林業」の都内住宅展示場の営業担当者。木材建材商社としての顔を持ち、山林経営も手掛けるなど、世界中に多様なサプライチェーンを張り巡らす同社にとって、「アメリカ発の今回のウッドショックの影響は限定的」と、現場は静観の構え。とはいえ、今年4月の決算発表説明会で今後の価格改定の可能性について言及されており、予断を許さない状況だ。

賃貸住宅の新規共有にも影響、
大家さんへの影響は?

一方、悲壮感を隠さないのは、土地活用・賃貸経営でお馴染みの賃貸住宅建設大手「大東建託」だ。こちらは4月の決算発表の席上、小林克満社が「ウッドショックは避けられない」と明言した。新型コロナウイルスの感染拡大のため、全国で工事と営業活動を停止していた昨春の打撃から回復の兆しを見せていた同社にとって、資材の多くを頼る北米産木材の高騰は業績に大きなインパクトを与える一大事だ。

写真はイメージです(写真AC)
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ウッドショックの震源地であるアメリカでは、材木先物相場が5月の最高値から5割落ち込むなど、落ち着きを取り戻したかに見える。しかし、新型コロナウイルスのワクチン接種が進み、コロナ前の日常を取り戻しつつアメリカ各地でもテレワークを維持する企業が多く、米国の住宅需要は根強い。このため、世界的な木材相場は当面高止まりで、日本国内の木材価格もこの先一年ほどは緩やかな上昇を続けるだろうとの見方が多い。

ピンチを好機に、
手の届かなかった土地を安く仕入れるチャンス到来?

建築コスト増や着工・竣工時期の遅れは、不動産投資家にとっても無視できない問題だ。では、ウッドショックが収束するまで様子見を決め込むのが正しいのだろうか?

ウッドショックの影響が全国に広がる中、資金計画や工期計画の見通しを立てづらく、地主が保有している土地を手放すケースが出てくるはずだ。そうした場合、これまで手が届かないと思っていた土地を相場より安く仕入れる好機となるだろう。

また、ウッドショックを逆手に攻勢をかけているのが、鉄骨造のハウスメーカーだ。木造に比べるとコスト高のイメージが強いが、「ウッドショックの影響で木造メーカーと鉄骨メーカーの価格差が縮まっている」(大手鉄骨造ハウスメーカー営業担当)。従来は価格差であきらめていた鉄骨造賃貸住宅の建築も、今なら検討に値するだろう。手元資金に余裕のある投資家なら、今こそ鉄骨賃貸住宅を新築して高利回りを目指すという選択肢もあるのではないか。

しばらくは収束の兆しが見らないウッドショック。一見、ピンチに見えるこの状況をどう乗り切るか、投資家のセンスが問われている。

                                                 株式会社寧広