不動産融資に「原点回帰」も、スルガ銀行がノジマと提携解消か

資本業務提携から1年、ここで袂を分かつことになるのか―。

一連の不正融資問題の影響で経営不振に陥っていたスルガ銀行。1年前、そのスルガ銀行に手を差し伸べたのが家電量販店大手のノジマだ。18%強の株式を取得し、創業家に代わる新たな筆頭株主となった。

ところが今月26日、ノジマ側が業務提携の解消も視野に入れ、スルガ銀行側に協議を申し入れたと報じられた。また翌27日、スルガ銀行は、ノジマの社長で同行副会長を務める野島広司氏が、6月29日開催予定の株主総会で退任すると発表した。

報道では人事権を巡る対立があったとされているが、背景にはなにがあるのか。そして再建の道半ばにあるスルガ銀行は今後、どのような道を辿るのか。

資本業務提携、ノジマ側のねらいは

そもそもなぜノジマは、信用が失墜していたスルガ銀行と業務提携を決断したのか。ノジマが2019年5月15日、投資家向けに発表した資料には、その理由として以下のような点が挙げられている。

・クレジットカードの共同事業化を行うとともに、クレジットカードを用いた対面での又はインターネットを利用した各種金融サービスの向上を図る

・両社の顧客基盤を活用したオンラインサービス及びフィンテック事業の共同展開

要するに、銀行と提携することで個人向け金融サービスの充実化やフィンテック事業の拡大化を図り、本業の売り上げを高めようとしていた、ということだろう。

これについて現役銀行員でブロガーの旦直土氏は「ノジマの思惑は、自社の販売を金融の面から支えること、また金融でさらなる収益を上げる点にあったのだろう」と指摘。スルガ銀行もかぼちゃの馬車事件で毀損した信用を取り戻すため、株主を探していた。その意味では、「双方にとってメリットのある資本業務提携だった」(旦氏)という。

では、なぜ今になって両者は対立するに至ったのか。金融アナリストの高橋克英氏はこう話す。

「一言で言えば、主導権争いだ。ノジマは筆頭株主として、投資に見合う成果を求めていた。一方、スルガ側にしてみれば『ノジマの出資には感謝するが、かぼちゃの馬車関連の処理なども一段落し、落ち着いてきている。今後の運営には口出しせず、我々に任せて欲しい』というのが本音のはず。そうした対立がここに来て顕在化したのでは」

スルガ銀行の今後

27日、スルガ銀行はこの報道についてコメントを発表。「資本業務提携協議の申入れがあったことは事実だが、現時点で決定した事実はない」としている。

しかし仮に協議の結果、業務提携解消となった場合、スルガ銀行はどのような道を辿ることになるのか。

前出の旦氏は、「新たな業務提携先が名乗りを上げる可能性もある」と話す。「最も可能性がありそうなのは、事業承継やM&Aですでに業務提携している新生銀行だろう。同行はSBIホールディングスに株式を買われる一方で、マネックスと提携し、SBIとの関係が悪化している可能性がある。何らかの手を打とうとしている中で、スルガ銀行との提携拡大は選択肢となり得るかもしれない」

ただし、スルガ銀行はかぼちゃの馬車オーナーと係争を抱えており「そのリスクを新生銀行がどのように考えるかが業務提携の鍵だろう」(旦氏)という。

投資用不動産向け融資への影響は?

また仮に業務提携解消となった場合、スルガ銀行の不動産向け融資には何らかの影響が生じるのだろうか。

前出の旦氏は「提携解消となっても大きな影響はないのではないか」とする一方、「株主にアピールするため、不動産融資をより拡大していかざるを得なくなる可能性はある」と見る。また株主に何かしらの方向性を示すためにも、不動産向け融資を強化する可能性もあるだろう。

前出の高橋氏も「スルガ側は原点回帰を明確に打ち出し、彼らの強みである住宅ローンやアパートローンなどの不動産向け融資に、法令遵守などを大前提としながらもより注力していくことになるのではないだろうか」と話す。業務提携が解消されることにより、不動産向け融資という原点に回帰するのでは、という見解だ。

経営再建の最中にあるスルガ銀行。今回の騒動がどのような形で決着を見るのか、今後も注目しておく必要がありそうだ。

                                                 株式会社寧広