不動産投資家の終活、資産価値を正確に把握すべきところから始まる

終活①
▲出所:クラッソーネ

少子高齢社会の進展により、注目を集めているのが終活である。人生が終わりに近づいてきた高齢者にとっての身の回りの整理、いわゆる身辺整理をしておき、心置きなく死ぬための準備活動である。

葬儀やお墓の準備、財産の相続などについてどうするかの悩みは増加傾向に向かいそうだ。

総務省によると、2008年をピークに日本の総人口は減少に転じており、国立社会保障・人口問題研究所では2050年には総人口が1億人を割り込むとの将来予測を出している。

足もとでは、65歳以上の高齢者が占める割合は約3割になっている。生産年齢人口(15~64歳)は2040年には約半分になると推計されるなど、こうした人口動態が不動産市場に影響を与えるのは必至となっている。

解体工事一括見積もりサービスのクラッソーネ(名古屋市)の「住まいの終活に対する意識調査」によると、「終活」の認知度は約9割と高い一方で、「住まいの終活」の認知度は3割にとどまっている。

住まいの取り組みをしている人で最も多いのが「子どもや親族と話し合っている/話し合った」で2割となり、「相続、生前贈与、売却などの住まいの対応を決めている/決めた」(9.8%)と住まいの今後の対応を決めている人は1割に満たない。

家族や親族に受け継ぐことを見込んでいる人が約5割だが、受け継ぐタイミングを決めていない人も半数以上を占めている。売却などで生前処分見込みの人は1割に過ぎない。

終活②
▲「住まいの終活として何をしているか、もしくはなにをしたか」/出所:クラッソーネ

相続後の対応としては、相続人が引き続き居住するほか、居住しない場合は売却で現金化したり、リノベーション・リフォームしてから賃貸住宅に転用したり、家を解体して駐車場や収納スペース事業などで土地活用して収益を得る……。対策はさまざまある。

相続人である子どもや孫に受け継ぐのが一般的に想像しやすいが、相続したくないケースも少なくなく、単身世帯の増加により資産を受け継がせる子どもがいない人が将来増える可能性も高い。

こうしたケースを踏まえ、不動産各社は、リース・バックサービスに力を入れている。提供会社によってサービス内容が若干異なってくるが、基本的に自宅を売却した後も住み続けられ、住んでいる間は金利の支払いのみといったものだ。

◎〝時すでに遅し〟を回避せよ!

そうした中で不動産投資家はどうか。

自分の住まいだけでなく、築いてきたマンションやアパートなどの資産をどうするか。考えるべきことは多いが、投資家ならではのポイントとしては、保有不動産の価値をしっかりと把握して行動すべき点であろう。

それによって残すべきモノと売却すべきモノがはっきりする。その上で、生前贈与や家族信託など相続人と被相続人が互いに話し合い決めていればトラブルの防止につながる。すべての物件を残しても大丈夫だとなれば、自分の投資家人生に満足感を得られるかもしれない。

タレント活動など幅広く活躍する経堂司法書士事務所(東京都世田谷区)の高橋朋宏代表司法書士は、不動産投資家にとっての終活ポイントについて次のようにアドバイスする。

「相続対策はさまざま。資産の組み換えや家族信託などがあり、それらを適切に選択することはとても重要なことであるが、最も気を付けなければならないポイントが『本人が元気なうちに』対策をすることだ」

つまり、本人が認知症や、病気・事故で寝たきりとなって人と意思疎通ができなくなってしまう前に手を打つべきだとするもので、「認知症なってしまえば、打てる手がほとんどなくなってしまう。

どんなに有効的な節税スキームがあっても、本人の判断能力がなくなれば話を先に進めることができなくなる」としている。

実際、同事務所にも、〝時すでに遅し〟となってから相談に訪れる子ども世代が後を絶たないといい、適切な相続対策を自由に選択して終活をすることを訴える。

また、終活でエンディングノートを作成して自分の意志をしっかり示しておくことが有効な手段である。

不動産投資の極意は、運用資産を購入する前にシミュレーション怠らないことだ。それと同じように、相続もシミュレーションをしておくことで気持ちよく人生に幕を下ろすことができそうだ。

                                                株式会社 寧広