不動産投資家のための経済統計講座Vol.1 GDPは景気予想で最重要 不動産経営の見通しに役立つ!New

経済

GDPは生み出された価値あるモノ・サービスの合計額
「GDP増加=経済成長」「GDP減少=マイナス成長」

不動産投資の戦略を練っていく上で、景気の先行きを読む力は重要だ。景気が良くなれば会社が多く人を雇ったりして周辺の賃貸物件が埋まりやすくなるし、景気が悪くなればその逆となる。

金融機関による融資の金利は景気が良くなれば上がり、悪くなれば下がる傾向にある。「一歩先を行く投資家」になるためには、景気や経済の動向を理解し、投資環境を先読みすることが重要だ。

そこで、新聞やテレビニュースでよく出てくる代表的な経済統計の読み方を3回にわたって紹介したい。1回目の今回は、最重要の経済統計である「GDP(国内総生産)」だ。

GDPは、英語の「グロス(=総数)・ドメスティック(=国内の)・プロダクト(=生産)」の頭文字からとっている。日本語では「国内総生産」という。

GDPが何を示しているかというと、一定の期間のうちにある国の中で作り出した価値があるモノやサービスの金額の合計だ。

きわめて単純化すると、たとえば100円で売れたパン1個をつくるのに材料費や輸送費、店の従業員の人件費が80円かかったとすると、「100円ー80円=20円」が新たなに生み出された価値だ(これを付加価値という)。

GDP概念こうした考えのもとで、国内のあらゆるモノやサービスの付加価値の金額を足しあげたものがGDPだ。計算にあたっては国際社会共通のルールを使っている。

ちなみにGDPには、名目GDPと実質GDPの2種類がある。

前者は物価の動きをそのまま反映して計算したもの、後者は物価の動きの影響を排除して計算したものだ。

先ほどの1個100円で売れたパンの例をとってみよう。

このパンが売れたのが2021年度とする。そして、翌22年度にあらゆる値段が2倍となり、パン1個が100円から200円(100円×2倍)に、材料費と輸送費、人件費の合計が160円(80円×2倍)になったとしよう。

すると、生み出した価値は21年度は20円(100円ー80円)だったが、22年度は40円(200円ー160円)へと2倍になったことになる。

ほかのモノやサービスでも同じことが起きたとしたら、生み出されたモノやサービスの数や量は変わらなくても、22年度のGDPは21年度の2倍になる。

人の波

ただ、このGDPの増加は単純にモノやサービスの値段が上がったことによるもので、生産した数や量の数が増えたからではない。これでは、国の経済の実力を正確に示しているとはいえない。

そこで、値上がり分をそのまま反映したGDPを名目GDP、値上がり分の影響を除いて計算したものを実質GDPと呼んで区別している。

先ほどの例ならば、22年度の名目GDPは21年度の2倍になったが、実質GDPは変わらなかったことになる。

実質GDPはその国の経済の実力をより正確にあらわしており、名目GDPは、国民の景気に対する実感により近いといえる。

ちなみに、21年度の日本の実質GDPは526兆8571億円で前年度比4.5%減、名目GDPは536兆7603億円で3.9%減だった。

GDPが増えることを「経済成長」といい、減ればとくに「マイナス成長」という言い方をしている。

GDPの項目で最大は「個人消費」で5割超
輸出はGDPを増やし、輸入はGDPを減らす

では、さらにGDPの構成をみてみよう。

大きく分けて「内需(=国内需要)」「外需(=国外需要)」がある。さらにそれぞれが、いくつかの項目に分かれている。GDP構成

①内需=国内需要

読んで字のごとく、国内での需要のことだ。つまり、国内で生み出されたモノやサービスに、どれだけの金額が使われたかを示している。内需の主な項目は次のようなものだ。

●個人消費

個人(家計)がいくらの金額を使ったか。用語上は「民間最終消費支出」という。

21年度の実質GDPでは282兆1450億円と約54%を占めており、非常に大きい。

消費者1人1人が財布のひもを緩めれば個人消費の金額は増えるし、締めれば減る。新型コロナウイルスの感染拡大では外出自粛で百貨店やレストラン、居酒屋、旅行、宿泊などにお金を使う人が激減しているので個人消費も低迷している。

●設備投資

企業が工場やお店、機械など、事業に使う設備に費やした金額だ。企業活動がどれだけ盛んかをはかる数字といえる。用語上は「民間企業設備」という。

21年度の実質GDPでは84兆3134億円と約16%を占めた。

●住宅投資

個人が住宅を新築したり増改築したりするのに使ったお金。用語上は「民間住宅」という。

21年度は18兆9322億円で、実質GDPの約4%と大きくない。

●政府最終消費支出

政府が国民のためにサービスに使うお金。医療、福祉といった社会保障費や公務員に支払う給料など。

21年度の実質GDPでは114兆4922億円で約22%。

これらのほかにも、公共事業に使われた金額を示す「公的固定資本形成」などがある。

②外需=国外需要

外国から得た需要で、輸出して外国から稼いだ額から、輸入して外国へ支出しら額を差し引いた額を示す。純輸出ともいう。輸出が増えれば外需を押し上げ、GDPを増やす方向に働く。逆に輸入が増えれば外需を押し下げ、GDPを減らす方向に働く。

21年度は輸出が91兆9666億円、輸入が95兆8549億円だった。

4~6月期実質GDPは538兆円、前期比1.3%増のプラス成長
企業の設備投資が引っ張る 個人消費はいま一つ

最後に、直近の8月16日に内閣府が発表した2021年4~6月期のGDP速報値をみておこう。この額は、取り急ぎの1回目の速報値(1次速報値ともいう)で、今後改定される。

内閣府の資料から
内閣府の資料から

4~6月期の実質GDP速報値は、このペースが1年間つづくと仮定した「年率換算」で、昨年10~12月期と比べ1.3%増だった。金額は538兆6732億円だ。

プラス成長となるのは2四半期ぶりとなる。企業が新型コロナで先送りしてきた設備投資が1.7%増と、今回伸びたのが大きかった。個人消費は0.8%増で増加したが、新型コロナの影響で伸びは鈍かった。

今後、力強く成長していけるかは、ワクチン接種がどこまで進むかなどによって新型コロナをどこまで抑え込めるかにかかっているといえる。

                                                 株式会社寧広