不動産投資家にも注目されるシェアハウス。コロナ禍での成功キーワードは「ワークスペース」New

いまや全国に5104棟
増え続けるシェアハウス

暦の上ではもう春。今年も引っ越しシーズンがやってくる。
新居を探す際に、シェアハウスを検討する人もいるだろう。

シェアハウスとは、一つの住居を複数人で共有して暮らす賃貸物件のこと。一般的な賃貸住宅に比べて家賃が安く経済的負担を減らせることや、入居者同士の出会い・繋がりの場としても人気がある/名古屋市昭和区のシェアハウス『Multiple Share 180°金山東』
シェアハウスとは、一つの住居を複数人で共有して暮らす賃貸物件のこと。一般的な賃貸住宅に比べて家賃が安く経済的負担を減らせることや、入居者同士の出会い・繋がりの場としても人気がある/名古屋市昭和区のシェアハウス『Multiple Share 180°金山東』

メディアの影響もあり、2000年代に入って人気を集めたシェアハウス。
複数人とコミュニケーションを楽しみながら共同生活を送るスタイルが“おしゃれな暮らし”のイメージを強め、特に若い世代から支持が高い。

一般社団法人日本シェアハウス連盟が発表した『シェアハウス市場調査2020年度版』によると、シェアハウスは全国に5104棟。同連盟が調査を始めた2013年は2744棟で右肩上がりだという。

棟数はweb上に存在するシェアハウスを集計したもの/グラフはHPより借用

上図のように年々増えているシェアハウスだが、人気を集めるのはどんな住宅なのだろうか?また、このコロナ禍はどんな影響を与えているのだろうか?

名古屋を拠点に2013年からシェアハウスの企画・集客・運営などを行い、現在では首都圏も含めて47棟1700戸のシェアハウスに携わる株式会社シェア180の代表・伊藤正樹氏に話を聞いた。


シェアハウスに大切なのは
「エリア性」と「デザイン性」

「シェアハウスでは、まず『エリア』がポイントになります。

20-30代がメインターゲットの住宅ですから、彼等が好む“通勤場所から30分圏内”ですね。
日常的な国際交流で英会話スキルを上げたい人も多いので、英語圏の外国人が多く住んでいるエリアも好まれます。

そして、『デザイン』の良い住宅であること。

ただ、これだけ棟数も増えてカッコ良い物件が沢山あるので、カッコ良さの中に“プラスαの楽しみ”があるものが求められる傾向にあります」(伊藤氏)

実際に、物件にテーマ性を持たせたコンセプトシェアハウスも広がりを見せている。
同社が手掛ける物件を見ても、アウトドアやDIYがコンセプトのシェアハウスや、「英語向上型シェアハウス」「ペットOKシェアハウス」「毎月コーヒー豆が届くカフェ風シェアハウス」など…ストーリー性のあるシェアハウスが個性豊かに存在する。

吹抜けリビングに8mの巨大ボルダリングスペースを設けたシェアハウス/名古屋市港区の『SHARE HOUSE180° ZUIKOU』
吹抜けリビングに8mの巨大ボルダリングスペースを設けたシェアハウス/名古屋市港区の『SHARE HOUSE180° ZUIKOU』
グルーミングルームやプレイスペースなども用意されたペットと暮らせるシェアハウス/名古屋市北区の『Pet Share 180° 上飯田』
グルーミングルームやプレイスペースなども用意されたペットと暮らせるシェアハウス/名古屋市北区の『Pet Share 180° 上飯田』
フィットネスルーム付きシェアハウスなら、ジムに行かなくても24時間エクササイズが可能/名古屋市昭和区の『Multiple Share180°金山東』
フィットネスルーム付きシェアハウスなら、ジムに行かなくても24時間エクササイズが可能/名古屋市昭和区の『Multiple Share180°金山東』

「当社は『シェアで人生を180°変える』をテーマにしていますが、シェアハウス生活は、人と人との出会いがあってこそ。
出会った人達と人生を共有することで、新しい刺激が生まれ、人生が180°変化すると考えます。

物件にテーマ性を持たすと、同じコンセプトに興味を惹かれた仲間が集まって、早く打ち解けられたり、より楽しいシェアライフが生まれます。
そして、好きなことをしているとパワーが出るものです。
従来のように、駅からの距離や築年数、広さ・間取りから物件を選ぶのではなく、“入居者との暮らし”に重きを置いた、ライフスタイルありきのシェアハウスが受けるのではないでしょうか」(伊藤氏)


悩ましいコロナ禍においては
「ワークスペース」が肝?!

伊藤氏曰く、コロナ禍で需要が高まっているシェアハウスがあるという。

それは『ワークスペース付きシェアハウス』だ。

「シェアハウスの入居者には、仕事に生かすために人との出会い・交流を求めてシェア生活を選ぶ人も少なくありません。
リモートワークを行っている人も多いので、コロナ禍では特にワークスペース付き物件は人気があります。

最近では、入居者だけが使えるワークスペースを、シェアオフィスのように会員制で外部の人も利用できるようにする物件も。

本来であれば『部屋数=出会える人数』ですが、入居者以外の会員がワークスペースを利用することで出会いが増えます。

これは、仕事に特化した人が多く入居するシェアハウスではメリットになり得ることですし、利益を生まない共用スペースの収益化にもなるためオーナー様にも喜ばれています」(伊藤氏)

会議室付きのコワーキングスペースがあるCo-Living(コリビング)型シェアハウス/金沢市の『SHARE HOUSE 180° 金沢』
会議室付きのコワーキングスペースがあるCo-Living(コリビング)型シェアハウス/金沢市の『SHARE HOUSE 180° 金沢』
WEB会議やYoutube撮影にも便利なWEBカメラ、マイク、LED照明、グリーンバックスクリーン等を用意したシェアハウス/名古屋市昭和区の『Multiple Share180°金山東』
WEB会議やYoutube撮影にも便利なWEBカメラ、マイク、LED照明、グリーンバックスクリーン等を用意したシェアハウス/名古屋市昭和区の『Multiple Share180°金山東』

不動産投資の一つとしても
注目されるシェアハウス

同社が扱うシェアハウスの9割以上はリノベーション物件とのことで、どんな既存物件がシェアハウスにお勧めなのかを聞いた。

伊藤氏によると、狙い目は「寄宿舎」「延床単価の安い物件」。

耐火構造の寄宿舎ならば、リノベ時に何百万円とする耐火工事の必要がなく、延床が大きければ部屋数も増やせる。
10部屋以下のシェアハウスが半数以上を占める中、規模感のある物件はコンセプトやテーマ性を持たせやすく差別化も図りやすいメリットもある。

「投資物件オーナーさんから『利回りを上げたい』と相談を受けることもあるのですが、
例えば、賃貸物件を一棟買いして、下層階をテナント、その上を賃貸、眺めが良く広々とした最上階のオーナーズルームをシェアハウスにする…というように、1フロアだけシェアハウスにして“建物内で投資分散”する方法もあります。

コロナショックはシェアハウスも大きく影響を受けていて、2020年の夏ぐらいから兆しがあり、緩やかですがスピードを上げて値を下げています。

忍耐の必要な状況であることは間違いないですが、値が崩れてきた今を仕入れ時と捉えてチャンスとするか、ピンチとするか…ですね」(伊藤氏)

===============================================

コロナ禍の状況下、共同生活の感染リスクからシェアハウスは敬遠されがちなのも確か。
共用スペースがある分、一般の賃貸物件では起こらない入居者トラブルが起こりがちなのも特徴ではある。

暮らし方や働き方の見直しが余儀なくされている今、住宅の中でも特に柔軟な対応・展開を求められているのがシェアハウスなのかもしれない。

                                               株式会社 寧広