ラッシュ混雑率 東京圏56ポイント、大阪圏23ポイントダウン!通勤意識が変わり賃貸需要も変化へ!New

山手線

名古屋圏は28ポイント減、テレワーク普及など背景
令和に入り、混雑率は100%前後の時代へ?

国道交通省がこのほど、2020年度の3大都市圏の鉄道混雑率(鉄道の定員に対して、実際の乗客数が何%であるかを示した数値)を発表した。それによると、平日朝の通勤時間帯(ラッシュ時)の平均混雑率は前年度に比べて、東京圏が56ポイント減、大阪圏が23ポイント減、名古屋圏が28ポイント減と、いずれも大きく減った。

新型コロナウイルスの感染拡大でテレワークが進むなどし、鉄道利用者が減ったためとみられるが、今後もこの傾向が定着すれば、都心・駅近の賃貸ニーズが高いというこれまでの常識は覆る可能性がある。

数字を詳しくみてみよう。調査は20年9月から11月にかけ、JR、地下鉄、私鉄などで行われた。

国交省のリリースから
国交省のリリースから
国交省のリリースから
国交省のリリースから

東京圏の混雑率は、定員を少し上回る107%だった。前年は163%だったので、大きく減ったことが分かる。

大阪圏は103%で、前年は126%だった。名古屋圏は104%、前年は132%となっていた。

これまでの推移をみてみよう。最近、おおむね東京圏は160%台、大阪圏は120%台、名古屋圏は130%台で推移してきたので、近年のしばらくの傾向に比べても大きく落ち込んだことが分かる。

国交省のリリースから
国交省のリリースから

その混雑率も、1970年代は東京圏、大阪圏、名古屋圏ともに200%前後に達していたのが、平成(1989~2019年)に入って100%台へとステージを変えた。

もしかしたら、令和(19年~)になって新型コロナに見舞われたことにより、もう一段混雑率が下がる、新たなステージへと入ったのかもしれない。

主要駅の利用は東京駅、大手町駅で4~5割減
大阪駅3割減、名古屋駅4割減、京都駅5割減

国交省はまた、主要駅での利用状況についても調べた。以下は、19年の利用状況を100とした場合の今年6月の数字だ。

国交省のリリースから
国交省のリリースから

それによると、東京圏では、東京駅が49、日本橋駅が55、大手町駅が58と、おおむね4~5割減ったことが分かる。横浜駅も69で3割減った。

大阪圏では、大阪駅が70、梅田駅が66、三宮駅が69でおおむね3割減。京都駅は54で、ほぼ5割減だった。

名古屋圏では名古屋駅が64で4割減、栄駅、金山駅がそれぞれ70で3割減となっている。

こうした鉄道客の利用者の減少背景には、新型コロナでテレワークの普及が進んできたことや、感染を防ぐため外出を自粛する動きが広がったことがあるとみられる。

テレワーク実施率2割も経済へのインパクト大
「都心」「駅近」の賃貸条件メリットは変わる?

気になるのは、今後、ワクチン接種が進み、コロナの感染が収束した場合に、同じ傾向が続くのかということだ。この点について、ある鉄道関係者は「収束後、ある程度、利用客が戻るにしても、完全に回復することはないだろう」とみる。

実際、介護や子育てなどをしている家庭にとっては、テレワークのほうが勤務と両立さやすい利点がある。遠方に住んでいる人も、長時間かけて通勤せずにすみ便利だ。企業は通勤定期代を支給せずにすみ、費用を浮かすことができる。

いったんテレワークの良さを実感した個人や企業が、そう簡単には元の働き方へ戻れないだろうことは十分想像ができる。

日本生産性本部の調べによると、今年4月時点のテレワーク実施率が2割程度にとどまっているとはいえ、普及し始めたテレワークの日本経済全体へのインパクトは決して小さくない。

日本生産性本部の資料から
日本生産性本部の資料から

不動産投資家が注意したいのは、こうした情勢の変化が物件の賃貸需要にどう影響してくるかだ。

一般的に需要のある物件の条件は「都心にある」「駅近にある」といった点だった。もちろん、勤務先への通勤が便利であることにかなった条件だ。

しかし今後、テレワークの普及などで勤務先へ通うことが必須でなくなれば、必ずしも「都心」「駅近」は入居者を集める上で有利な条件ではなくなる。

そして、コロナの感染拡大が始まって1年半以上がたち、すでに人気のあるエリアや、各地の賃貸需要などに変化が出てきているはずだ。

そうしたデータをまめにチェックしながら、投資家は賢く投資戦略を進めていきたい。

                                                  株式会社寧広