コロナ禍は悲観材料ではなく、地方創生を進める絶好の機会。移住・二地域居住の関心高まる。New

型コロナウイルス感染拡大から1年が経過しても収束する気配が見られないばかりか、変異株がイギリス型、ブラジル型、アフリカ型などが増えて社会経済活動が正常化できない状態が続いている。

ワクチン接種に期待が集まるものの、急いで作ったワクチンに対する信用面が盤石とは言えず感染終息に向けての決定打を欠く。

感染防止としては、うがい、手洗いの徹底と人と人の接触を減らし、密集した空間を作らない、といった段階から進歩がない。その密を避ける観点から人口密集地の都市部から郊外、地方に拠点を移す動きが注目を集めている。

東京都は25年ぶりに23区すべてで人口が前の月を下回った。東京都の人口は、3月1日時点の推計で1394万2024人と8カ月連続で目減りしている。

富士山

◎地方創生に号砲、全国二地域居住等促進協議会が発足

コロナ禍の窮状を訴える人が増えていると同時に、働き方が今後大きく変わることを見据えて脱東京を新たなビジネス好機ととらえる動きも注目されている。

不動産情報サイトを運営するLIFULLは、地方自治体との協力を進めて空き家・遊休施設の利活用、人材育成に取り組む。これまでに11カ所の自治体と連携協定を提携しており、今年3月も新潟県佐渡市と地域活性化に向けての連携協定を結んだ。

政府としては、長らく看板を掲げてきた東京一極集中の是正により地方創生につなげていくこと期待する。今年3月9日に「全国二地域居住等促進協議会」が発足した。赤羽一嘉・国土交通大臣は、協議会の発足に当たり「コロナ禍を悲観材料と見るのではなく、地方創生を進める絶好の機会」との期待を寄せた。

同協議会の会長には、長野県知事の阿部守一氏が就任した。副会長は和歌山県田辺市の真砂充敏市長と栃木県那須町の平山幸宏町長が就いた。都道府県36団体と市区町村565団体の計601団体で構成する。不動産関係や移住支援機関なども協力会員となった。

二地域居住の促進により、新たな人の流れを作り上げるとともに、東京一極集中の是正はもとより、地方創生やそれに伴う関係人口の拡大につなげていきたい考えだ。2021年度から事例などを収集して施策に反映するための普及部会などを立ち上げる。専用サイトでさまざまな情報も発信していく予定だ。

移住したいエリア
▲出所:リクルート住まいカンパニー

◎人気エリアは鎌倉・三浦、八王子・奥多摩

リクルート住まいカンパニーの直近3月の調査によれば、東京都民の移住・二拠点居住について36%が関心を持ち、コロナ禍で関心が高まった人が52%となっている。

同調査では、都民が移住したいエリアと二拠点居住したいエリアをそれぞれランキング化した。移住したい1位は「八王子・奥多摩(東京都)」となり、2位が「鎌倉・三浦(神奈川県)」、3位が「石狩(北海道)」となった。4位以下トップ10には、「離島・諸島(沖縄県)」、「福岡(福岡県)」、「湘南(神奈川県)」、「伊豆(静岡県)」、「那覇(沖縄県)」、「印旛・香取・海匝(千葉県)」、「外房(千葉県)」となった。

二拠点居住したい1位は、「鎌倉・三浦(神奈川県)」となり、2位が「八王子・奥多摩(東京都)」、3位が「湘南(神奈川県)」だった。

4位以下トップ10には、「伊豆(静岡県)」、「那覇(沖縄)県」、「離島・諸島(沖縄県)」、「東信(長野県)」、「箱根・足柄(神奈川県)」、「石狩(北海道)」、「外房(千葉県)」というランキングだった。

「移住したい」と「二拠点居住したい」のトップ2には、鎌倉・三浦エリアと八王子・奥多摩がランクインしている。その人気の理由は、鎌倉・三浦エリアは、「人からうらやましがられそうだから」や「賑わいがある街があるから」、「メディアによく取り上げられて有名だから」、「不動産の資産価値が高そうだから」といった評価項目が高くなっている。

八王子・奥多摩では、「居住費が安いから」や「広い家に住めそうだから」、「子育て環境が良いから」、「生活費が安いから」などが高い評価となっている。

トップ2双方の理由を見ると、そこに居住する人の属性が透けて見えてくるのが特徴的だ。

鎌倉・三浦エリアには、人の目を気にしたステータス的なところを気にする属性が集まり、八王子・奥多摩は他人の評価やステータスではなく、いかにコストパフォーマンス良く人生を豊かにするか、といった思いが読み取れる。

二拠点居住したいエリア
▲出所:リクルート住まいカンパニー

◎移住・二地域居住に関心も関東圏に集中

また、都道府県別に「移住したい」を見ると、神奈川、沖縄、北海道、東京、千葉、静岡、長野、福岡、茨城、埼玉が上位10エリアとなった。「二拠点したい」では、神奈川、沖縄、長野、北海道、東京、千葉、静岡、山梨、福岡、埼玉がトップ10入りしている。いずれも、東京圏から近いエリアが半数を占めているのが特徴だ。

前述の「全国二地域居住等促進協議会」では記念シンポジウムも行い、そこで基調講演した筑波大学の谷口守教授は、地方移住の関心が高まっているが、足もとの移住先を見ると、東京周辺の圏域にとどまっている点を指摘した。

移住促進に向けての課題として、コストや制度、移住を促進するためのモビリティの利便性がカギを握るとしている。「東京発の無関心層をどう刺激するか」も地方創生をあまねく全国に広げるのに必要だとしている

二地域居住・移住の促進に向けて山積する課題を一つずつクリアしていくことが欠かせない。地方創生の本腰度が国は問われていると言えそうだ。

                                              株式会社寧広