コロナ禍の2年目 東南アジア不動産投資の総括

2020年から始まったコロナパンデミック。頼みの綱であったコロナワクチンで収束すると思われてたが、変異株の影響もあり未だに収束の兆しは見えていない。

世界各国ごとにコロナ対応や感染状況も異なり、日本から近いASEAN諸国においても経済回復に明暗が分かれた。日本人の注目を集めていた海外不動産投資において予想できなかったことも多い。2021年も終わろうする今回は今年の東南アジア不動産投資で注目の出来事について総括していきたい。

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回復基調の2021年の
各国GDP予測

毎年の経済成長率、物価・賃金上昇率に応じる形で不動産価格が上昇してきた東南アジア新興国。

しかしGDP成長率に関しては、各国でのロックダウンの程度や依存している産業から下落幅に差が生じた。

GDP推移
2021年11月27日IMFの資料をもとに作成 チャート上の数字はフィリピン共和国の数値

フィリピンは2020年に強力なロックダウンを行い東南アジア諸国で最悪の-9.6%となった。2021年は各国が概ねコロナ前の水準に近づいていると言える。

東南アジアの以下の国で不動産に関して見ていきたい。

シンガポールは変わらず
堅調な不動産マーケットを維持

富裕層が集まるシンガポールにおいてはコロナの影響はお構いなしに住宅価格は上昇した。

住宅インデックス(2010年~2021年)
FRED住宅インデックス(2010年~2021年)

この急激な上昇を危惧したシンガポール政府は、2021年12月15日、住宅転売市場の過熱抑制策を発表し翌日施行した。

その中には外国人への不動産投資規制が含まれており、外国人(日本国籍を含むが、一部の国籍は除外)が購入するときの不動産取得税率を引き上げ、最大30%とした。

マレーシアはビザ発給制限により
回復途中の不動産市場に悪影響

マレーシアは「オーバーハングとよばれる」竣工後9ヶ月超を経過してまだ販売されている住宅の在庫、約3万戸が問題視されてきていた。そのため新規住宅供給数を抑制してきていた。

2021年9月時点のオーバハング在庫は30,290戸あり前年同時期とほぼ変化がない。

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プロパティアクセス作成 KLは「クアラルンプール」を指す

不動産投資家に冷水を浴びせた政策が、ビザだ。
2021年8月、外国人向けに発行されるMM2H(マレーシア・マイ・セカンド・ホーム)ビザの申請要件が強化された。

例えば、50歳以上で本ビザの申請要件として必要だったマレーシアへの定期預金金額が375万円から2,500万円(1マレーシア・リンギット=25円換算)に引き上げられた。

マレーシア不動産には移住目的での外国人購入者が多かったため、本発表により外国人が購入する高級物件の販売が停滞した。

オーバハング在庫は、いわゆるアウトレットマンションとなり20%~30%の値引きや、表面5~6%の賃料保証を引き渡し後2年~3年といったプロモーションがなされている。

タイは国境をいち早く開けたが
アウトレットマンションは依然残る

観光業に依存しているタイでは、ワクチンパスポート等を条件とした「グリーンレーン諸国」は、ツーリストビザでの入国を許可し一定の条件の下で隔離されることなく観光を許可した。(12月22日現在オミクロン株の流行により停止中)

マレーシア同様からラグジュアリー物件に大幅な供給過剰であったタイ特にバンコク不動産事情。前述の図のようにクアラルンプール以上にコロナによって新規供給を大幅に抑制している。

販売価格においてもクアラルンプール同様に新築物件で20%~30%の値引きを行っている。

一方で外国人居住者が多い地区は空室率の上昇を記録している。ローンを組んで購入しているタイ人のオーナーを中心に、賃料を下げて入居者獲得する動きが活発化している。

タイ在住の日本人によれば、賃料は単価ベースで40~50%程度安くなっている物件が多く、立地のよい広めのコンドミニアムに引っ越しをする人が多いとのことだ。

入居需要が戻らない限りは、不動産市場の回復には時間がかかるだろう。

フィリピンは最悪の状況から
回復へ

フィリピンでは強いロックダウンを行った2020年は東南アジアで最悪の-10%弱のGDP成長率を記録した。

2021年はワクチンが摂取率が回復するにつれ、行動制限を緩和。現在は日本と同様に、感染者数も大幅に減少している。

一方でコロナ前まで好調だった不動産価格は大きく腰折れした。

FRED
FRED住宅インデックス(マニラ主要都市マカティ2010年~2021年)

首都マニラにおいては新規供給も大きく調整し減少。2021年に入り、供給不足懸念から取引が活発になり現在は回復期に向かっている。

日本、シンガポールを始めとした先進国の不動産投資市場は堅調だが、東南アジアの中進国、新興国では外国人投資家の動向に市場が振り回されることが多い。2022年も需給バランスデータを見ながら投資機会を見定めていきたい。

                                                 株式会社寧広