コスト重視だと、税務調査に協力してくれない税理士も? 不動産投資家が税理士を選ぶ際に大切なこと

法人化している多くの不動産投資家にとって、税理士と税理士法人は重要なビジネスパートナーだと思います。日々の会計処理や税務などについてアドバイスを求めることもあるでしょうし、何より法人税申告書と決算書の作成を税理士及び税理士法人に依頼している方が多いと思うからです。

自分の周りでも個人の確定申告書は自分で作成しているけれど、法人の法人税申告書と決算書の作成については税理士や税理士法人に依頼している方がやはり多いです。

税理士や税理士法人に法人税申告書と決算書の作成を依頼する方の理由を聞いてみると、多くの方が「 税務調査に入られた時に対応してもらうため 」、もしくは「 税務調査に入られないようにするため 」と答えます。

そういえば自分の知人で、「 税理士に法人税申告書と決算書の作成を依頼しているのは、税務調査に入られないための御守りのため 」と言っている人もいました。

中には、法人税申告書と決算書の作成を単なる事務処理と考えている人もいます。そして、そういう人の話を聞くと、「 なるべく安い報酬で法人税申告書と決算書の作成をしてくれる税理士及び税理士法人 」を探して依頼したという人も少なくありませんでした。

こういう人は、「 クオリティーよりもコストを重視している 」と言えます。

ただ、これも致し方ないのかもしれません。税理士や税理士法人に高い報酬を支払って法人税申告書と決算書を作成してもらっても、そのコストが利益に直結するわけではないからです。それならなるべく安く抑えたいと思うのは自然なことなのでしょう。

実際に、コスト重視の顧客を獲得するために、帳簿付けや仕訳入力などは行わずに、「 法人税申告書と決算書の作成だけの場合には10万円 」というような売り文句で仕事を請け負うという税理士や税理士法人もいます。

そういった税理士や税理士法人では多くの場合、有資格者でないアルバイトやパート社員に申告書や決算書を作成させて、有資格者は申告書にサインだけをするということが多いようです。また、税務調査が入られた場合に何もしてくれないというところもあります。

■ 全ての税理士が税務調査に協力してくれるわけではない

皆さんの中には、税理士や税理士法人に申告書の作成を依頼しているにもかかわらず、税理士や税理士法人を通さず、いきなり税務署から連絡がきて税務調査に入られたという方もいるのではないでしょうか。

税務調査に入られた方で、「 税理士や税理士法人が申告書の内容に問題ないと証明して提出しているのにどうして?」と思った方は少なくないと思います。

そういうときは最低でも、自分の依頼している税理士及び税理士法人が「 申告書の内容に虚偽がないということを証明してくれているか 」を確認する必要がありますが、どうしたらいいか知っている方はいるでしょうか?

すぐに回答しますが、「 法人税申告書の別表一(一)の別表 」で確認できます。法人税申告書の別表一(一)の左上の部分に、「 税理士法第30条の書面提出有 」と「 税理士法第33条の2の書面提出有 」というチェック項目があり、これを通常「書面添付制度」といいます。

まず、税理士法第30条の書面ですが、これは「 税務代理権限証書 」といい、税理士や税理士法人がクライアントからの依頼を受けたことを法的に証明する書類です。つまり、間違いなくその税理士や税理士法人が作成し、チェックしましたということを明らかにした書面になります。

問題はもう一つの「 税理士法第33条の2の書面 」です。この「 税理士法第33条の2の書面 」が提出されていると税務調査に入られる可能性が低くなります。

通常、税務署は提出された法人税申告書を見て、「 何か怪しいな~」と思ったら、申告をした会社を調査します。しかし、「 税理士法第33条の2の書面 」が提出されていると税務署は税務調査を行う前に、申告書を作成した税理士に一度意見を聞く必要があるというルールになっています。そして、税理士を呼んで話し合いが行われて、疑問が解決すれば税務調査は行われなくなります。

きっと、法人税申告書の作成を税理士及び税理士法人に依頼している法人はみんなこの「 税理士法第33条の2の書面 」を添付しているのでしょう?と思われた方もいるでしょう。ところが実際には「 税理士法第33条の2の書面 」を添付している法人は少なく、全体の10%ほどと言われています。

なぜ税理士や税理士法人に報酬を支払って法人税申告書の作成を依頼しているのに、税理士や税理士法人は「 税理士法第33条の2の書面 」を添付しないかというと、法人税申告書及び関連添付資料などに虚偽の記載があると、最悪の場合、税理士の資格を失うことになるからです。

「 税理士法第33条の2の書面 」を添付して、万が一その法人の書面に虚偽があった場合に、資格を失うというのは大きなリスクです。そのため、税理士の立場からすれば申告書や関連資料の内容に余程の自信がある場合を除くと「 税理士法第33条の2の書面 」を添付できないのは致し方ないのかもしれません。

■ 決算書が融資に与える影響を考えれば税理士の重要性がわかる

何を言いたいかと言うと、プロに頼んでいても、税務署が法人税申告書を見て、「 怪しいな~」と思えば、容赦なく税務調査が行われるケースも多いということです。税理士や税理士法人に法人税申告書の作成・提出を依頼していれば税務調査に入られない、もしくは入られにくいだろうという考えは持たない方がいいといえます。

もちろん、「 税理士法第33条の2の書面 」を添付していなくても、税務調査が入った場合などにきちんと対応してくれる税理士や税理士法人は多々あります。

それ以前に、申告書等の作成を依頼する時に、「 税務調査などが入った場合にきちんと対応してくれるのか 」を確認するとともに、「 税務調査に入られた時にどのような対応を行ったか 」などを事前に聞いておくことが大切です。

もし曖昧な回答しかしない場合は、税務調査が入った場合などにきちんと対応してくれない可能性が高いといえるでしょう。

税理士や税理士法人が作成してくれる法人税申告書や決算書は、投資家にとっては金融機関から融資を受けるに際して非常に重要な書類です。今後の投資( 事業 )にダイレクトに影響を与えるものです。

そのため、私自身は、税理士や税理士法人を選ぶときには、単なる事務処理屋としてコスト重視で考えるのではなく、重要なビジネスパートナーとして選ぶことが大切だと考えています。不動産投資家であり、税理士でもある私の意見を述べさせていただきました。

以下は自身の会計税務勉強会で使用している法人税申告書の各種別表の関係図です。プロにお任せしている場合も、その内容を理解しておくことは大切です。皆様の参考になれば幸いです。

法人税申告書の各種別表の関係図

以上

                                                 株式会社寧広