ウッドショック、サラリーマン投資家への影響なし

木材イメージ②

木材価格上昇が住宅市場に影響するとして、住宅・不動産各社が対応に追われている。各種メディアも〝ウッドショック〟として木材高騰を相次ぎ取り上げている。分譲住宅や賃貸住宅の建設費、売り値に影響が及ぶことになるためだ。

東京23区をはじめとする大都市では、高い地価に加えて建設資材の高騰というダブルパンチだ。木材の先物取引指数を見ると、2020年1月に約470ポイントだったものが今年1月には約1700ポイントへと3.5倍以上も上がっている。足元は1400ポイント前後で推移している。

この騒動の発端はアメリカである。新型コロナウイルス感染拡大による景気悪化を回避しようと大規模な金融緩和策を繰り出したことで、新築住宅の需要や住宅の増改築ニーズを押し上げた。

米国の住宅着工戸数は十数年ぶりの高水準にあり、コロナ禍の巣ごもり生活がDIY需要を増大させている。

日本集成材工業協同組合は3月29日、「構造用集成材の供給見通し等について」を発表している。

木造住宅建築の主要な部分である梁や柱、土台などに利用される構造用集成材は輸入材が占める割合が大きく、国内メーカーは、ヒノキ板や丸太の7割を海外から輸入しているが、コロナ禍で国際的な需給関係に大きな変化が出ていることで今後の新築着工への影響に懸念が及んでいるとした。

◎木材製品は5月以降、2割以上の減産

同組合では、輸入原材料について、これまでにない価格高騰と入手困難に直面しているという。

日本の国内メーカーは、海外輸入の7割のうち欧州産が80%を占めており、フィンランドやスウェーデンなどの欧州産木材が米国に向かっていることに加え、コンテナ運航が中国=米国航路に集中し、欧州から日本向けのコンテナ確保が難航して運賃が大幅に上昇していることも木材価格のつり上げ要因になると見ている。

これらの影響により、欧州産地の価格は2020年第2四半期の1㎡当たり240ユーロから2021年第2四半期に350ユーロまで上昇した。

今後、木材製品の販売価格に大幅な値上げが必要なことと、原材料の確保が難しいことで5月以降は2割以上の減産を余儀なくされるとし、木材需給のひっ迫感がなお強まる見通しだ。

林野庁の「木材供給量及び木材自給率の推移」を見ると、木材の自給率は徐々に増えていているが、6割以上を海外輸入に頼っているのが実情なだけに輸入材の高騰は影響が大きい。

こうした状況を受けての対応について、ケイアイスター不動産(埼玉県本庄市)は、今年12月末までの住宅販売計画分を確保済みと説明している。国産木材の活用も推進して2021年1月以降も安定的な木材確保を進めていくという。

入稿木材イメージ①

◎賃貸中古市場が見直される契機に

賃貸住宅の大東建託は4月30日の決算説明会でウッドショックに関する質問を受けて、今年度(2022年3月期)の完成工事総利益計画に対する輸入資材の影響について、北米価格の上昇により前期比1.5ポイント低下を見込むとともに、輸入木材の価格上昇が反映されるタイミングとしては半年後を想定。輸入木材の為替レートも前期の105円から今期は108円程度と前期より円安に設定していると回答した。

賃貸住宅の新規供給に影響を及ぼす可能性が高まっており、ウッドショックは地主や不動産投資家も無視できない。影響としては、建築コストの増大が真っ先に浮上するが、アパートを新築しようと考えていた地主・投資家の資金計画を狂わせることにつながったり、木材不足で着工・竣工の時期が計画より後にずれ込むことなどに反映される。

スケジュール通りにアパートを建築できたとしても建築費の膨張に伴い借入額を増やせば返済計画を見直さなければならない。投資回収の期間が長期化しないように家賃を相場よりも高く設定をするとリーシング(入居者誘致)活動に響く。高額賃料に見合った付加価値で特色を出さない限り、たとえ新築であっても周辺の築浅物件の相場から逸脱するような水準では競争に勝てず入居者が決まりにくい状況を生み出してしまう。

ただ、個人ベースの地主やサラリーマン投資家であれば、アパートメーカーなど事業者と違い相場が高ければ様子見を決め込むことができることが強みだ。ウッドショックが収束するまで待てるほか、新築にこだわらないのであれば中古に目を向けてリフォーム・リノベーションが必要ない物件に資金を振り向けることで資材価格の影響を回避できる。既存の賃貸住宅市場は拡大している。投資適格物件が国内に豊富にあることがウッドショックによって改めて見直されるかもしれない。

                                                 株式会社寧広