いま融資が下りる金融機関は、投資家1200人にアンケート

半期に1度、不動産投資家に融資に関するアンケートを実施し、その結果を調査・分析する本企画。今年4月に公開した前回の記事では、2020年10月〜2021年3月まで半年間の融資動向のアンケート結果を紹介した。

今回の記事では、2021年4~9月まで半年間の融資動向について、約1200人の投資家に行ったアンケートの結果を公開する。期間中の金融機関の動向や、融資を受けた投資家の傾向を確認していく。

また、前回と一部設問などは異なるものの、前回からどのような変化が起きたのか確認し、今後の融資動向を探る材料の1つとして参考にしてほしい。

「今回初めて購入した」と回答した人が増加

今回のアンケートは、1178人が回答した。このうち、対象期間中(2021年4~9月)に「融資が下りた物件がある」と回答したのは244人(21%)。前回(2020年10月〜2021年3月)のアンケートは1187人が回答し、そのうち198人が「融資が下りた」と回答した。融資が下りた人の割合が若干増加した。

まずは2021年4~9月までの半年間で、融資が下りた人はどのような投資家だったのかを分析する。

融資を引けた244人の職業を見ると、71%は会社員・公務員で、会社経営者・その他は25%、専業大家は4%だった。

本業年収で最も多いのは、600万円未満と1000万~1500万円の層で、それぞれ24%の割合を占めている。次いで800万~1000万円が21%(前回16%)、600万~800万円が20%(同13%)、1500万~2000万円が6%(同10%)、2000万~3000万が4%(同13%)、3000万円以上が1%(同11%)だった。

では、金融資産はどうだろうか。最も多いのは、1000万~3000万円で31%(同33%)、次いで3000万~5000万円が16%(同15%)、500万~1000万円が14%(同15%)、300万~500万円が13%(同7%)、300万円未満が11%(同8%)、5000万~1億円が9%(同10%)、1億円以上が6%(同12%)だった。

金融資産を確認すると、1000万円以上の投資家が6割以上だった。では、実際に物件を購入する際の頭金はどれくらい出しているのだろうか。

フルローンは29%(同27%)、頭金を0~1割出したと回答した人は20%(同21%)、1~2割は19%(同18%)、2~3割は11%(同9%)、3割以上は11%(同11%)、オーバーローンが下りた人は10%(同13%)だった。

数字に大きな変化は見られなかったが、オーバーローンが下りた人の割合が若干減少している。

続いて不動産投資歴を確認すると、1年未満が31%、1~3年未満が20%、3~5年未満が12%、5~10年未満が21%、10~20年未満が12%、20年以上が4%だった。投資歴3年未満の投資家が半数を占めている。

3000万円以下の物件への融資が増加

次に融資が下りた物件の情報を見ていく。物件の所在地については以下のグラフ通り。前回と比べ数字に大きな変化はなかった。

物件の価格帯は、1000万~3000万円が39%(同38%)で最も多い。次いで1000万円未満が19%(同15%)、1億円以上が12%(同13%)、7000万~1億円が11%(同13%)、3000万~5000万円が11%(同14%)、5000万~7000万円が8%(同7%)だった。

物件の価格帯は、前回の回答結果と同様で、3000万円以下のものが約6割を占めた。

次に物件種別だが、一棟アパートは36%(同40%)、区分マンション33%(同27%)、一棟マンションが14%(同20%)、戸建賃貸12%(同8%)、その他は5%(同5%)だった。

 

 

融資が下りた金融機関ランキング

続いて、どのような金融機関が融資を出したのかを見ていく。

最も多かったのは、地方銀行で24%、次いで信用金庫・信用組合が21%、ノンバンク11%、ネット銀行11%、信託銀行10%、政府系金融機関9%、都市銀行8%、その他6%だった。

各物件種別のランキングを確認すると、以下のような結果となった。

今回のアンケートで融資が下りた件数が最も多かったのは、ソニー銀行だった。次点でオリックス銀行、日本政策金融公庫、三井住友トラストL&F、SBJ銀行が続く。

では、各金融機関はどのような属性の投資家と物件に、どのような融資条件で融資を出したのだろうか。融資が下りた全物件のうち、融資件数が多かった上位5社の詳細を確認していく。

ソニー銀行

今回のアンケートで融資が下りた件数が最も多かったのはソニー銀行で26件だ。ネット銀行であるソニー銀行を利用している投資家層は、不動産投資歴が1年未満で保有物件数も0~1件、本業の年収が600万~1000万円の人が約半数だ。

融資が下りた物件を見ると、築5~20年の中古区分マンションが多く、エリアは東京都23区と神奈川県西部、二府一県だ。物件の価格は1000万~2500万円のものが8割程度だった。

融資条件を確認すると、物件価格に対する頭金は、1割程度出している、あるいはフルローンの人が約半数。金利は1%台後半で、返済期間は20~35年が9割を占めた。

富山県在住で一棟物件1棟、区分マンション3室を所有し、本業の年収が800万円以上の上場企業に勤める会社員は、京都府にある2200万円の区分マンションに対して1970万円の融資が下りた。「金融資産や勤務年数、年収を提示したら、すんなり通りました」と回答した。

オリックス銀行

2位は信託銀行のオリックス銀行で24件だ。物件は、6割が新築か築浅の木造一棟アパート、3割が築7~13年の中古区分マンションに融資を出しており、エリアは一都三県、大阪府、愛知県、福岡県だった。物件の価格帯は、新築一棟アパートの場合は6000万~9000万円、中古一棟アパートの場合は3000万~7000万円、中古区分マンションの場合1500万~2500万円だった。

利用している投資家層は、ほぼ全員が会社員だった。また、不動産投資歴が1年未満で保有物件数が0~1件、本業の年収が800万~1500万円の人が約半数だった。

融資条件を確認すると、物件価格に対する頭金の割合は一棟アパートの場合は0~2割、区分マンションの場合はオーバーローン・フルローンが多い。金利条件は、区分マンションの場合は1%台後半~2%台、一棟アパートの場合は2~3%台前半で、融資期間は20~35年が多い。

神奈川県在住で、本業の年収が1000万円以上の上場企業に勤める会社員は、オリックス銀行から融資を受けて、自身の一棟目となる物件を購入した。神奈川県にある木造新築一棟アパートで価格は5900万円、融資額は5800万円だ。「個人属性や金融資産の確認だけでなく、実際に物件を視察し建物建築について追加工事の指摘など細かく確認されました」と回答した。

日本政策金融公庫

3位は政府系金融機関である日本政策金融公庫だ。融資が下りた件数は20件だった。

物件を見ると、7割強が一棟アパートと戸建賃貸に融資を出しており、戸建賃貸に対する融資はどの銀行よりも事例が多かった。また、築15~30年の区分マンションにもいくつか融資が出ているようだ。

エリアは一都三県などの主要都市に限らず、青森県、山梨県、岐阜県など、全国で融資が下りている。

物件の価格帯は、一棟アパートの場合1000万~2000万円台前半、戸建賃貸の場合200万~900万円、中古区分マンションの場合500万~900万円で融資が下りていることが多い。

利用している投資家層は、投資歴が3年以上で保有物件数が2件以上の人が9割を占めている。本業の年収は800万円以下が7割強で、家賃年収は400万円以上が6割強だった。

融資条件を確認すると、頭金は0~2割が多く、金利は1~2%台前半で、融資期間は10年が多い。融資条件は物件種別ごとに異なっている様子は見受けられなかった。

滋賀県在住で区分マンション13戸を所有し、家賃年収は800万円以上、本業の年収が800万円以上の上場企業に勤める会社員は、日本政策金融公庫から融資を受けて福岡県の区分マンションを購入した。購入価格880万円に対し、融資金額は700万円だった。「頭金は2割が必須だと言われた。また、不動産に対する融資は積極的ではないため、『立て続けには融資はできませんよ』と釘をさされました」と回答した。

三井住友トラストL&F

続いてノンバンクの三井住友トラストL&Fで、回答数は15件だ。融資が下りている物件の6割強が、法定耐用年数を超過している木造・軽量鉄骨造の一棟アパートだった。エリアは東京都23区外、神奈川県、埼玉県、大阪府、福岡県、北海道、群馬県だ。

利用している投資家層は、9割以上が会社員・公務員だった。投資歴は1~3年で、保有物件数は2件以上の人が8割強を占めている。本業の年収は約半数が600万~1000万円だった。

物件の価格帯は2000万円以下が約半数で、中には1000万円未満の一棟アパートや区分マンション、8000万円以上の一棟アパートや一棟マンションにも融資が下りていた。

融資条件を確認すると、頭金は約7割の人が1割後半~3割以上を出している。金利は、物件価格が5000万円未満の場合は3%台後半~4%台前半、5000万円以上だと2%台後半が多い。融資期間は9割が20~30年だった。

東京都在住で一棟物件2棟24室、区分マンション1戸を所有し、家賃年収は800万円以上、本業の年収が600万円以上の会社員は、三井住友トラストL&Fから融資を受け、福岡県にある約860万円の一棟アパートを購入した。融資金額は600万円だった。「積算価格が1000万円と物件価格よりも高い点を評価してもらえたのだと思います」と回答した。

SBJ銀行

外資系銀行であるSBJ銀行は15件。融資が下りている物件の8割強が区分マンションで、築10~30年が多い。エリアは東京都23区、神奈川県、埼玉県、大阪府、福岡県。物件価格は8割強が1000万~2000万円台前半だった。

利用している投資家層は、投資歴5年未満で、2件以上物件を保有している人が6割だった。利用している投資家の約半数は、本業の年収が400万~800万円だった。

融資条件は、6割の人が、頭金を1~2割を出しており、金利は1%台後半。返済期間は9割以上が35年だった。

大阪府在住で区分マンション1戸を所有し、本業の年収が500万円以上の会社員は、SBJ銀行から融資を受け、府内にある約1700万円の区分マンションを購入した。融資金額は1500万円だった。「年収が570万円で、すでに住宅ローン3700万円、投資用ローン1300万円の負債があるため厳しい印象でしたが、妻の源泉徴収票を提出することで、融資を得られました」と回答した。

初めて購入した投資家が増加

今回、「融資が下りた」と回答した人のうち、18%(43人)が初めて物件を購入した人だった。前回のアンケートでは7%だったため、全体に占める割合が増加している。

では、初めて物件を購入した人は、どのような物件をどのような条件で購入したのだろうか。

購入した物件種別を確認すると、最も多いのは区分マンションで38%、一棟アパートが33%、戸建賃貸22%、一棟マンション7%だった。今回「融資が下りた」と回答した人の割合と比較すると、比較的安価に購入できる戸建賃貸の割合が多い。

続いて、初めて購入した人の物件価格を確認する。

1000万~3000万円が51%、1000万円未満が14%、5000万~7000万円が12%、3000万~5000万円が9%、1億円以上が9%、7000万~1億円が5%だった。今回融資が下りたと回答した人の割合と比較すると、3000万円以下の物件を購入する人の割合が多いことが分かった。

次に物件価格に対し、頭金はどれくらい出したのかを確認する。

フルローンは30%、1~2割は19%、オーバーローンは16%、3割以上は14%、2~3割が12%、0~1割は9%だった。今回融資が下りたと回答した人の割合と比較すると、オーバーローンで借り入れている人は多かった。

利用した金融機関で最も多かったのはオリックス銀行で9件だった。次いでソニー銀行が7件、SBJ銀行、イオン住宅ローンサービス、日本政策金融公庫が2件、三井住友トラストL&Fが1件だった。区分マンションへの融資件数が多いオリックス銀行、ソニー銀行を利用した投資家が多かったようだ。

金融機関の融資スタンス、投資家はどう予想するか

今回、融資の実績についてアンケートを行ったが、不動産投資家は現在の金融機関のスタンスをどのように見ているのだろうか。

アンケート回答者1178人に「2021年4月~9月期は前半期と比較し、金融機関の投資用不動産に対する融資姿勢はどうなったと感じるか?」というアンケートを行った。

「変わらない」と回答したのは57%、「積極的になった」は5%、「やや積極的になった」は17%、「やや消極的になっている」は13%、「消極的になっている」は8%だった。

「積極的になった」「やや積極的になった」の回答理由を確認すると、「周囲の大家さん同士の会話の中で、一部信用金庫などが融資を積極的に行い始めたと聞いたから」「融資の面談の際に、銀行の担当者から『年内で他に購入検討している物件はありますか?』質問があり、積極性があると感じました」という回答があった。

一方、「消極的になった」「やや消極的になった」の回答理由を確認すると、「以前よりも多くの頭金を求められる」「物件の評価額、担保物件の評価方法が厳正化しており、非常に慎重になっている印象を持ったため」という回答があった。

最後に「今後、各金融機関の投資用不動産に対する融資姿勢はどうなると予想するか」とアンケートを行った。

「変わらない」と回答したのは46%、「積極的になる」は7%、「やや積極的になる」は29%、「やや消極的になる」は14%、「消極的になる」は4%だった。

「積極的になる」「やや積極的になる」の回答理由を確認すると、「景気刺激策として政府からの後押しがあるのではないかと期待している」「スルガ銀行の不正融資問題から徐々に落ち着いてきているのではないかと思うから」という回答があった。

一方、「消極的になった」「やや消極的になった」の回答理由を確認すると、「銀行の担当者が、『今後はすでに不動産投資を行っている人や、土地を持っている人でないと、新しく融資を貸し出すことは難しい』と言っていたため」「コロナによる収入不安から、不動産投資を始めようとする人が増えていそう。需要が増えることから引き続き物件価格が高騰し、物件価格と評価額の乖離が、より一層広がりそうなため」という回答があった。

アンケート回答件数に対する融資が下りた件数の割合は、若干上昇傾向にある。しかし、投資家に金融機関の融資姿勢に対する変化を回答してもらったところ、「変わらない」と回答した人は約6割だ。実際に不動産投資を行うために融資を受けようと活動している人の多くは、変化を感じていないようだ。

今回は、融資件数が多かった上位5行の融資結果を紹介した。融資状況を個別の金融機関ごとに見ていくと、融資が下りた投資家の属性状況や物件概要、融資条件は異なる。

各金融機関の情報を集めつつ、チャンスがあれば直接銀行に融資打診するなどの行動が重要といえる。

                                                 株式会社寧広