あの土地が外国資本に狙われている?安全保障上、外国資本の”土地取引を規制”。防衛省周辺など東京も候補地が散在

新型コロナウイルス感染拡大の収束が見られない中で、通常国会が1月18日に召集された。

政府はコロナ対策で特措法改正案など63本の法案と11本の条約を提出。緊急事態宣言下での時短要請に応じない事業者などに対する罰則規定やデジタル社会を推し進めるためのデジタル庁の設置とその関連法案の成立を目指す。

国会

その中で今国会は、コロナ関連とは毛色の異なるものが挙げられている。それは、国内の土地取得に外国資本が購入することに一定の歯止めをかける土地取引規制である。

政府は安全保障上重要な施設周辺の土地取引を規制するための法整備を念頭に置いている。

自衛隊・米軍の軍事施設、原子力発電所や再生可能エネルギーで注目を集める風力発電、軍用機と共用する民間空港の周辺などの土地取引の規制を想定。対象となる施設を政令で追加できるようにする。

中国・韓国などが日本国内の森林や水資源を念頭においての土地の購入が目立っていることに対して、地方の県議会議員や地元民が近年強い懸念を表明していることで、そうした資源を守る意味合いでの土地取引にも規制の網がかかるかにも注目が集まる。

◎自由に土地売買できる国が珍しい

そもそも外国人が土地を自由に取引できる国は少なく、日本のように外国人が自由に土地・不動産を売り買いできる国の方がめずらしい。

中国やベトナム、シンガポール、インドネシア、カンボジアなど日本人のアウトバウンド不動産投資先として人気が高まっている国でも土地の所有権は国に帰属するのが原則である。

中国の不動産価格がバブル化している、といったニュースをたびたび耳にするが、これは土地、つまり不動産としての価格というよりも建物部分の価格、そこに住む権利の売買の値段と理解した方がいい。

土地はあくまで国が所有・管理していることで、何か有事が発生した際には、そこに居住民がいても安全保障上の問題などを理由に国が土地を強制的に接収する可能性は日本に比べると格段に高いと言える。

一方、日本では、外国人土地法のほかに外資の土地取得規制がない。この外国人土地法は、1925年に外資の土地取得は政令で制限できると定めているものの、私有の土地の場合は国が国籍などの含む個人情報を調べ上げる権限を持っていない。

今回の規制強化は、政府が根拠法とする国際法「サービス貿易に関する一般協定(GATS)」の例外規制にどのように対応するべきかが焦点になるとの見方が多い。

同協定は外国企業と国内企業を平等に扱うことを義務付けており、治安の維持や自国民の生命と自国の安全保障上の保護などを例外規定としている。

日経新聞などの報道によれば、この例外規定をどのような場合に使えるようにするかの要件整理が問題だとしている。イギリスやフランスで外資の土地取引に規制をかけているのを参考にし、事前に土地の取得目的を届け出ることを義務付けて虚偽の場合に罰則を科すなどを柱として土地取引を一元管理する組織も新設される見通しだ。

◎高まるナショナリズム土地取引に高まる波及か

では、この外国資本の土地取引規制の網がかかるエリアがどこになるか。考えられるのは前述したように軍事施設とエネルギー施設、軍民共用の空港などが真っ先に挙げられる。

横須賀・自衛艦隊停泊
▲横須賀に停泊する海上自衛艦隊

例えば、沖縄や横須賀(神奈川)、横田(東京)などの米軍・自衛隊の基地周辺に加えて、自衛隊機と共用する小松空港(石川県)や百里基地が併設する茨城空港などのほか、米軍用地にある那覇空港の周辺も対象候補となる可能性がある。

日本の北から南まである自衛隊拠点は地方に限らない。投資マネーが流入して不動産取引が活発な大都市は、とりわけ外資勢の取得意欲はおう盛だ。その大都市でも規制対象になりそうなエリアは少なくない。

自衛隊の拠点で見ると、防衛省がある東京都新宿区市ヶ谷のほかに、都内だけでも複数拠点がある。

目黒区に幹部学校、北区に補給本部、立川市に航空医学実験隊、府中に航空支援集団司令部などの周辺も土地取引規制の対象となるかもしれない。

このほかに安全保障の観点から、皇居をはじめとする皇室関連施設の周辺や警察庁・警視庁の周辺エリアなども想定エリアとなる。

また、記事冒頭の安全保障上の水資源や森林も対象となり得るのかについては、不動産の専門紙を発行する週刊住宅タイムズがこの問題に対して12月14日号で、「今まさにそのことを検討している段階」と内閣官房担当官の声を報じるとともに、国民の生命・財産を死守することは国防につながるとの観点から水資源などが議論の対象となることは評価したいとの論調でまとめている。

世界的に高まるナショナリズムを背景に土地取引規制の議論が沸騰しそうだが、今国会に限らずこれからの動きにも不動産取引に及ぼす影響を踏まえながら注視していくべき問題かもしれない。

                                                株式会社 寧広