【競売事例】高利回31%!ハイリスクな借地アパート物件

定期的に競売セミナーを開催し、日々、競売の相談を受けているドクターKである。今回、競売で公開されていたアパートの競売事例をご紹介する。

紹介する物件は、南関東の市町村にある一棟アパートである。裁判所から公開された資料では借地権の物件である。

借地権とは建物を建てるために地代を払い、他人から土地を借りる権利のことである。借地権の競売物件は人気がないため、入札件数が他の競売物件よりもすくない。ゆえに、落札金額も低くなる。

しかし、落札金額は低くなるが、定期的に地代の支払いが必要となり、契約時には更新料の支払いも必要である。そのため、地主との交渉も含め、注意が必要な物件である。

本物件について、立地は良好である。都内まで30分で通勤できる距離であり、最寄りの駅までは約1kmぐらいである。部屋の中を綺麗にクリーニングし、募集を行えば、賃貸契約まで辿りつけるだろう。

競売物件の中には、債務者が賃貸募集や賃貸管理を怠り、空室や部屋が汚い物件が多い。そのような物件に対して、どのくらいで落札されるのか?ご参考頂けたらと思う。

1.物件概要
(1) 所在地

物件の所在地は北関東の市町村にあり、人口は約370万人である。この人口は、日本の市町村の中で最も多い。また、日本有数の港湾都市・商工業都市であり、観光地としても人気があり、ショッピングモールや公園、動物園が点在する。工業都市としても盛んである。

(2) 物件概要

物件は、借地の土地面積が202平米、建物の床面積が156平米であり、5室の一棟アパートである。築28年の2階建てである。以下の写真は裁判所から公開された3点セットの写真である。

外壁は薄い茶色、駐車場は無いがバイクや自転車を駐車するスペースはある。また、1階の建物の横に洗濯機が置いてある。全ての部屋の洗濯機置き場が室外であるどうかは不明である。

建物外観 築28年の一棟アパートである
建物外観 築28年の一棟アパートである

(3) 間取り、室内

間取りは以下である。1階は3DKと1Kの2室である。2階は1Kが3室あり、合計5室ある。1階の3DKの部屋はかなり広い。1階の床面積が97平米あるので、おそらく、この3DKの部屋は60~70平米ぐらいあると思われる。

間取り 3DK+納戸が1室、1Kが4室の合計5室である
間取り 3DK+納戸が1室、1Kが4室の合計5室である

以下、室内の写真である。1階の3DKの部屋はかなり汚れている。他の写真では天井に穴が空き、リフォームが必要である。それ以外の部屋は、3DKの部屋ほど汚れてはいないが、少し残置物が残っている。

室内写真 1階の3DKの部屋はかなり汚れている
室内写真 1階の3DKの部屋はかなり汚れている

2.物件詳細
(1) 家賃

家賃について、201号室に賃貸していた方のコメントより、45,000円であることが分かったが退室する予定とのこと。落札した時点では全て空室の可能性が高い。201号室以外の家賃は不明であるが、この201号室の45,000円を基準として、他の部屋の家賃を設定する。

(2) 関係者のコメント

裁判所の公開資料には、債務者、賃借人の関係者のコメントが記載されている。おそらく、債務者はBさんであり、その方が亡くなり、甥にあたるAさんが引っ越し、債権者が困り、競売となったのだろう。落札後、地主や管理会社を含め、交渉が必要になるだろう。

関係者のコメント 債務者や入居者のコメントが記載されている
関係者のコメント 債務者や入居者のコメントが記載されている

(4) 物件評価の金額

裁判所から依頼された不動産鑑定士による競売の基準価格は以下である。

5,640,000円

上記の金額は、裁判所から依頼された不動産鑑定士によって、査定される。この金額は、一般流通市場の価格よりも安く設定される。理由は、この金額が一般流通市場よりも高いと誰も入札せず、競売自体が成り立たないためである。

3.落札結果
(1) 落札結果

落札金額は以下である。入札件数は2件、個人が落札している。ほぼ最低落札金額で落札している。最低落札金額とは、基準価格の2割差し引いた金額であり、4,512,000円である。落札者は、その最低落札金額よりも16,000円上乗せして、落札している。

4,528,000円

(2) 利回り
利回りを計算する前提として、201号室の家賃が45,000円であったため、こちらを基準に、他の部屋の家賃を以下、仮置きする。

満室時の合計賃料 月22.5万円である
満室時の合計賃料 月22.5万円である

落札金額以外に、主に以下の費用が必要となる。

・諸費用…登録免許税や不動産取得税など。300,000円と仮置きする。
・更新料…地主と借地権の契約が必要であり、更新料が必要となる。公開された資料には、1,339,000円という記載があり、この金額を更新料とする。
・リフォーム…1階3DKのリフォームが必要であり、他の部屋のクリーニングも考慮し、2,000,000円と仮置きする。
・地代…公開された資料には毎月27,450円との記載があり。

表面利回りは、上記の費用を考慮し、結果、31%である。

【結果】
落札金額 4,528,000円
諸費用 300,000円(登録免許税や不動産取得税などの概算金額)
リフォーム 2,000,000円(部屋の修繕、水回り、壁紙交換など1
更新料 1,339,000円
地代(年間) 329,400円(27,450円/月*12か月)
家賃収入(年間)2,700,000円/年(225,000円/月*12か月)
表面利回り 36%

4.最後に

今回、借地権の物件であり、入札件数が少なく、落札金額もほぼ最低落札金額であり、利回りも高くなった。

しかし、地主との交渉が必要であり、更新料や地代も必要となる。また、万が一、売却する際にも、借地権の物件は人気がないので時間を要する可能性が高い。また、全室空室でリフォームも必要であり、空室を埋めるにも時間を要するだろう。

本物件はあまり初心者向きではない物件である。しかし、借地権というリスクを乗り越えると高利回りにつながる。このような物件もあることをご理解頂き、ご参考頂ければと思う。

                                                  株式会社寧広