【公務員の不動産投資】不動産投資をしたい公務員が抑えておくべきルール。「5棟10室」の根拠とは?New

変化の激しい現代において終身雇用制度の存続が危ぶまれるなか、更に昨今のコロナショックによる追い打ち。

大企業でさえもはや安泰とは言い難い状況においても、公務員は未だ安定の職業として就職希望ランキングの人気上位を占めている。

とはいえ、実際に公務員として勤めている人々のなかには「公務員=一生安泰」という神話はもはや過去のものだとして、不安感や危機感を募らせる人も少なくない。

そうなると副業や資産運用に目がいくものだが、公務員は原則として副業を行うことができない。

そんな公務員にも許された数少ない副業が不動産投資であり、金融機関や不動産業者も口を揃えて「公務員のお客様はとても多い」と言う。

キーワードは「5棟10室」「年収500万円」
あくまで「未満」であることに注意!

公務員には全体の奉仕者として公共の利益のために勤務する義務や職務専念義務があり、公務員の副業については法や規則で種々の制限が設けられている。

国家公務員や地方公務員は許可なくして自ら営利企業を営むことや、営利企業を営むことを目的とする会社その他の団体の役員等になること、また報酬を得ていかなる事業もしくは事務に従事してはならないとされている。(国家公務員法104条、地方公務員法38条)

つまり、例外的に許可を得た場合を除き、副業を行ったり法人の代表や役員に就くことはできない。

公務員はこのように法によって営利活動から全般的に遠ざけられているわけであるが、不動産投資についてはどうだろうか。

国家公務員法に基づき職員が本職以外の職務または業務に従事する場合について制定された人事院規則14-8および、これの運用に関する通知文書において、以下のとおり定められている。

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人事院規則では不動産の自営規模について具体的に定義されている

つまりアパート・マンション・戸建の合計が4棟9室まで、土地の契約9件まで、平置きの駐車場9台までで、さらにそれらの年間収入の合計額が500万円未満の規模であれば自営にあたらず、公務員が許可を得なくとも合法的に不動産投資を行うことができるといえる。

ちなみに太陽光発電の場合についても別途定められており、発電設備の定格出力が10キロワット未満であれば自営にあたらないそうだ。

地方公務員法には人事院規則のように明確な規定は存在しないが、各自治体で個別に定められていない場合については上記の規定をなぞらえるものと考えるのが自然だろう。

不動産投資で公務員を卒業したい!
規模拡大時は兼業申請か家族名義の法人を

不動産投資を行う動機が老後への備えのためであったり、日々の生活にプラスアルファのお金の余裕があれば、という公務員にとっては、自営に当たらない規模の範囲内での不動産投資で充分と考えるかもしれない。

しかし不動産投資で資産を築いて公務員を卒業したいとか、FIREを達成したいといった目標を持つ人にとってはどうだろうか。

5棟10室未満の範囲で家賃収入を最大化しようとしても、例えば戸建3戸に6室のアパート・マンション1棟を所有すればその時点で天井に達してしまう。

さらに500万円未満というのは家賃年収のことであり、年間の利益や手残りではないことにも注意が必要である。

借入を可能な限り少なくして現金で買い進め、生活コストをよほど低く抑えられる人でなければ、目標達成のための規模としては心もとないと感じるだろう。

となれば、正面から許可を得て不動産投資を行うか、家族名義の法人等で行うかのいずれかを選択することになるだろう。

許可を得て行う場合は、国家公務員であれば人事院規則の様式で定められている「自営兼業承認申請書(不動産等賃貸関係)」のほか、各不動産の登記簿謄本、図面、賃貸契約書や管理委託契約書等の添付資料を用いて承認権者に申請する必要がある。

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所有している不動産や賃料収入についてつまびらかに記載する必要がある

申請に対して当該職員の職務と承認に係る不動産等との間に特別な利害関係がないことや、賃貸管理業務を事業者に委ねること等により職員の業務に支障が生じないことが認められれば許可が与えられ、自営の規模で不動産投資を行うことができるようになる。

ただし一度許可を得てしまえばそれで万事解決ということはなく、毎年の事業報告義務や、異動が生じた場合や自営の内容に変更が生じた場合には再度承認を得る必要があるなど制約も多く、不動産投資の規模拡大を継続して進めていくためのハードルはそれなりに高いかもしれない。

地方公務員の場合は、各自治体の規定に基づき許可申請を行う必要がある。

申請書様式の内容や許可に関する諸条件等はまちまちであるため、規則や服務規定等をよく確認されたい。

許可申請を行わない場合は、家族名義または家族の法人名義で不動産を取得、経営していくことになるだろう。

もちろん職員本人が法人の役員になることはできないほか、株式所有その他の関係によって企業経営に参加し得る地位についても同様である。

なお家族等の名義で経営を行っている場合においても、実質的には職員が経営していると客観的に判断され、自営とみなされる可能性もあるため注意が必要だ。

公務員の不動産投資は金融機関からの属性評価の点で有利といえど、法や規則による制約のほか、個別具体的な情報へのアクセスや身近にいるはずの同じ境遇の仲間を見つけることがしづらいといった不利な点もあるだろう。

いずれにせよ不動産投資を行う上でリスクはつきものであり、どの手法を取るべきか一概に言うことはできない。

自分自身がどうありたいか、目指すべき目標に応じてリスクと向き合いながら、公務員の皆様においても不動産投資で豊かな人生を切り拓いていただきたい。

                                                株式会社 寧広