「金利交渉に向けて最低限抑えておくべき準備とは?」金利引き下げ交渉2【不動産融資攻略シリーズ】

前回の記事では金利引き下げの交渉のためにはまず銀行同士の競争原理を理解し、競争を起こすことが前提だと解説した。銀行同士の競争は苛烈で、その闘争心に火をつける事が借換では必要である。

今回はその競争を起こすうえでの最低限の財務の整備、そして銀行との付き合い方について解説していこうと思う。

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1.銀行に見限られない最低限の用意を

金利引き下げ交渉の際、最も避けなけばいけない事態とは既存の銀行に「他行からの借換はあり得ない」と見抜かれることだ。

通常であれば銀行は融資残高のノルマを背負い、取引先を取りこぼすことのないよう、日々営業に取り組んでいるため、他行からの借換攻勢には敏感に反応し、顧客を失わないよう対応する(ノンバンクなどは通常の銀行とは違う尺度を持っているため、その限りではないかもしれないが)。

しかし、この対応を受けるためには「他行からも融資が出る客である」と思われる最低限の財務が不可欠となる。

この最低限の財務基準を満たしていない顧客に対しては金利を引き下げる審査を通すことは出来ないし、他行からも良い条件の融資は出ないと判断されることになる。

2.最低限の財務基準とは

銀行側から見た財務判断は銀行によって様々であるが、ここでは一般的に言われている「最低限クリアしておきたい財務状況」についてまとめる。

①資産超過
バランスシートにおいて純資産がマイナスの顧客を銀行は嫌う。財務上では全ての資産を売却しても借入を返済することが不可能な状況だからだ。この状況で「他行から低金利で打診が来ている」と掛け合っても、相手にされことは少ないだろう。よって債務超過を回避している状況は必須と言える。

ただし、役員借入金や個人資産など別の背景があればその限りではない。

②当期純利益黒字
当期純利益が赤字、それも複数期にわたってそれが継続している場合、銀行は前向きな融資に取り込みにくくなる。この場合も債務超過と同様に、他行が取り込める可能性は低くなる。

2期連続の赤字の場合、経営内容に問題があると判断されるため、金利を下げるという判断を審査部は容認しないと予想される。よって、支店担当者も動いてくれない可能性が高い。

③借換対象物件の担保評価額が残債よりも低い
決算書の成績以外に気にするのは、借換対象の物件評価と残債の関係である。担保が十分とれている物件に対しては他行もリスクを取って借換を行う可能性が高いため、警戒すべき対象となる。

逆に残債が物件の評価額を上回っている場合は、他行も手が出しづらいため、好条件の借入打診は来ないと予想する。

3.銀行との土台作りが金利審査にも影響する

最後に銀行との付き合いについて説明する。これについても、前回の記事で解説した内容だが、銀行は「総合取引」の進捗を重視する側面がある。

つまり、総合取引が図れており、金利以外の収益についても貢献してくれている顧客は、極力手放したくないと判断し、金利引き下げに対応する可能性は高くなる。

融資以外の分野では、銀行との取引をつい避けたくなる気持ちもわかるが、「損して得取れ」の考えで総合取引拡大に向けて銀行に寄り添った取引ぶりを心がけても良いのかもしれない。

「この顧客が他行に取られるのは痛い」

このイメージを持たれている状況で、他行からの打診についても素直に相談を持ち掛けることによって、前向きな金利引き下げ審査を進めてくれる可能性は高まるであろう。

4.まとめ

金利引き下げに向けては日頃からの準備が大切である。

①健全な財務を用意すること
②銀行と持ちつ持たれつの関係を育むこと

上記2つの準備を行い、銀行から一目置かれる顧客になったタイミングで、金利の引き下げを打診してみてはどうだろうか。

執筆:半沢大家(はんざわおおや)

Twitter:半沢大家 @UCD04111

■ 主な経歴

元銀行員、現資産運用アドバイザーとして勤務する兼業大家。
2018年に1棟目のアパートを購入して以降、出身エリアを中心に物件購入を継続。現在は木造新築アパート5棟、木造新築戸建1棟、鉄骨中古マンション1棟の計59室を保有。
「銀行員の知見を活かした融資活用」と「土地からの新築アパート企画」を得意とし、現在も新規物件購入に向けて活動すると共に、銀行融資の仕組みについて定期的に情報発信を行っている。

                                                 株式会社寧広