「融資を引き続けるために必ず押さえておくべき指標とは?」債務償還年数攻略1【不動産融資攻略シリーズ】

継続して融資を受けるためには、既に取引がある銀行との関係継続が不可欠である。なぜなら、銀行は新規の顧客よりも、返済実績のある既取引先の方が、安全性の観点において評価を高めるため、追加融資に積極的に応じやすいからである。

ここで重要となるのが「銀行の取引先に対しての評価軸」についての理解である。ここで悪い評価を受けてしまうと、銀行は追加融資は受けられないであろう。今回から、数回に分けてその仕組み・対応策について解説していきたい。

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1.銀行が行う「債務者格付け」を突破するには

銀行は取引先それぞれの財務状況を分析し、返済が問題なく行われるかをチェックしている。この業務を「債務者格付け」という。

債務者格付けは基本的には決算書(個人であれば確定申告書)をもとに行う。つまり、バランスシート(貸借対照表)やPL(損益計算書)の状態や、その業界の将来展望などを加味して判断していくが、この債務者格付けにおいてほとんどの銀行で採用している重要な指標が存在する。

それが「債務償還年数」である。

この債務償還年数が悪い値を示すと、取引銀行からの評価は悪くなり、追加の融資は受けられなくなる恐れがある。つまり、債務償還年数を理解する事が、同じ銀行から追加融資を受けるための重要な1歩となるのである。

2.債務償還年数とは

債務償還年数とは「今の借入金を毎年全力で繰り上げ返済していった場合、あと何年で完済するか?」を表した指標である。

数式で表すと以下のとおりである。

債務償還年数=
(有利子負債-現預金)÷(当期利益+減価償却費)

例えばある法人Aが以下のような決算を迎えたとする
有利子負債:10,000万円
現預金:1,000万円
当期利益:100万円
減価償却費:500万円

このときの債務償還年数は
(10,000-1,000)÷(100+500)=15
つまり債務償還年数は「15年」という値になる。

この計算において注視しておきたいのが分母にあたる「当期利益+減価償却」の部分だ。債務償還年数の計算において、銀行は返済に充てることのできる資金、つまりキャッシュフローを「当期利益+減価償却」で認識しているのである。

「当期利益」という、税金・利息を含む様々な支出を差し引いた後の手残りに、唯一現金流出を伴わない費用である「減価償却」を加えたものがその会社のキャッシュフローであり、銀行借り入れを減らす元手になるという考えである。

この元手をいかに増やすかが債務償還年数の攻略のカギとなるため、よく理解しておきたい。

3.債務償還年数の適正値は何年?

債務償還年数の適正値について、ほとんどの業種では「10年」とされている。ただし、不動産賃貸業でこの数値を達成するのはかなり難しいと言える。不動産賃貸業は他の業種に比べ、不動産の購入に伴い借入が多くなりやすく、債務償還年数も長期化しやすいからである。

よって不動産賃貸業の場合、債務償還年数の適正値は「15~20年」とされていることが多い。この判断は銀行によって差異があるが、20年を超えてくると「要注意先」として認定され、追加融資の扉が閉ざされる危険性があるため注意が必要だ。

債務者格付けは、様々な財務指標や、定性評価も加味されて判断するため、債務償還年数が全てとは言い切れない。しかし、多くの銀行において債務償還年数は格付けの基礎となっているため、この数値の充足が、格付けの向上には不可欠である。

4.まとめ

既に取引のある銀行から追加融資を受けるためにはその銀行から高い評価を受ける必要がある。

そのために必要なのが「債務者格付け」の理解であり、その中でも重要指標にあたる「債務償還年数」をいかに整えるかがポイントとなるであろう。

次回の記事では債務償還年数を整えるための具体的な方法にフォーカスして解説する。

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