「恒大集団」の経営危機が日本に及ぼす影響は?海外不動産アマチュア投資家の会、代表に聞く!New

中国不動産大手「恒大集団」の経営危機について、投資家が返金を求めて殺到する様子など連日のように日本でも報道されている。リーマンショックのような金融危機に広がるのではないかとの懸念や、日本への影響はほとんどないとの見方もある。

今回の件を、どう受け止めたらいいのだろうか?

中国をはじめ10ケ国25戸ほどの海外不動産を保有し、会員数2700人の「海外不動産投資アマチュア投資家の会」を管理する征矢野(そやの)清志氏を取材した。「エコノミストや経済学者でないので正確なところは分からない」との前提で、話を聞かせてくれた。

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北京で区分を購入し、購入額の3倍で売却をした経験を持つ投資家は、中国での不動産投資への懸念を感じていた(写真はイメージ、北京にある天安門)

中国の不動産は不安定、カントリーリスクもある。
購入3年で3倍近い価格に跳ね上がったものの売却

征矢野氏は中小企業を営みながら、原則、借り入れも売却もせず、現金で収益物件を買い増すスタイルで不動産投資を行っている。

国内ではリーマンショック前後から自宅近くにアパートや土地を購入。海外では2008年のグアムを皮切りに10ケ国25戸程度を保有する。「2016年に売り抜けた中国不動産は大きな成功体験の1つ」と振り返る。まずは中国での不動産投資の経験について聞いた。

「2010年に北京で区分を購入し、2016年に売却し、かなりの利益が出ましたが相当大変でした。購入3年で3倍近い価格に跳ね上がり、うなぎのぼりの中で売却したのは、中国の通貨『人民元』の信頼性と外貨両替性、目まぐるしく変わる政府の施策に対してのカントリーリスクを感じ、そこそこで満足し退場しようと思ったからです」

征矢野氏はFacebook上で、「海外不動産投資アマチュア投資家の会」(会員数2700人)と「国内収益不動産アマチュア投資家の会」(会員数2600人)を管理している。グループ内で、中国不動産に投資している人は征矢野氏が明確に把握しているだけで10数人と少ない。それだけ日本人投資家から見て、中国不動産は魅力に欠けていたようだ。

リーマンショックのような事態には発展しない。
しかし、信用不安が始まると止まらない懸念も

では、今回の恒大集団の件について、征矢野氏自身はどう受け止めているのだろうか?

「問題となっている債権の中身や債権の保有者情報もなく、負債総額33兆円の企業が中国でデフォルトすると言う情報だけを見ると、リーマンショックの様な事は起きないと考えています。恒大単体で考えると、中国の市中会計への影響は政府が抑え込めるだろうと考えています」

とはいえ信用不安が始まると止まらない懸念もあると征矢野氏は指摘する。

「中国の不良債権額は3年ほど前、日本の民間シンクタンクが2000兆円規模の試算をしたかの様に記憶しています。日本のバブル崩壊を招いた不良債権が逸したクレジット(貸し付け)が100~200兆円、蒸発した資産が1400兆円と言われています。通常であれば一度崩れ始めたらコントロールはできないでしょう」

つづけて日本を含む中国外の国や市場への影響について聞いた。

「日本を含む中国以外の国や市場に好影響はないものの、悪影響は限定的だと思われます。どこまで影響するかは断定できませんが、日本よりフィリピンやカンボジアなどの人民元で潤っていた国々への影響が大きいかもしれません」

今回の件から日本の投資家が学ぶべきことはあるかを聞くと、「投資家よりも中国が日本のバブル崩壊時の中央銀行の所作などから学ぶべきであったのかもしれない」と語った。

恒大集団については、新たな展開が連日のように報じられている。各メディアでも報道されているように、10月4日には香港の株式市場で恒大集団の売買が停止された。

恒大集団は年末に向けて、相次いで社債の利払い期限を迎えるため、保有資産の売却を進める動きが予測される。今後も状況は刻々と変化していきそうだ。