「かぼちゃの馬車」1083棟を再生へ、都内で家賃3万~7万円台

メディア向け説明会に出席した(左から)ハドソン・ジャパンの鏑木社長、三好不動産の三好社長と笠取締役

シェアハウス「かぼちゃの馬車」をめぐり、米投資ファンドによる再生事業が動き出す。

米投資ファンド「ローンスター」はこれまでにスルガ銀行から1490億円の融資債権を取得。ローンスター傘下の資産運用会社「ハドソン・ジャパン」(東京都)が東京23区内を中心とした1083棟の運営に乗り出す。

シェアアパートのブランド名は「TOKYOβ(トーキョーベータ)」に変更。入居対象者は女性だけでなく、地方から上京する若者や外国人に広げ、家賃は3万~7万円台に設定。運用利回りは5%程度を目指すとしている。

8日に東京都内でメディア向けの説明会を開いたハドソン・ジャパンの鏑木政俊社長は、かぼちゃの馬車をめぐる一連の事件に触れ「不幸な形になってしまったが、ベースとしてはよいビジネスと考えている。価格帯が安く、立地の良い物件を大量に取得できたので、うまく運用していきたい」と再生に意欲を示した。

運営会社が描くかぼちゃの馬車再生の青写真はどのようなものなのだろうか。

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かぼちゃの馬車事件のおさらい

かぼちゃの馬車をめぐっては、約1200人のオーナーが高金利のフルローンでスルガ銀行から融資を受けて1億~3億円程度の物件を購入した。しかし2018年以降、物件を実勢価格よりはるかに高い価格で販売する手法やスルガ銀行による不正融資が発覚。販売会社のスマートデイズが破綻した。

オーナーらは被害者の会を立ち上げ、過剰融資を行ったスルガ銀行の責任を追及。同行は20年3月、東京地裁に民事調停を申し立てていたオーナー257人と、21年3月には285人と和解した。銀行側が解決金をオーナーに支払い、残った債権を入札で決めた第三者に譲渡、オーナーは物件を手放すことと引き換えに債務を解消する「代物弁済」が行われた。

ハドソン・ジャパンなどによると、今年3月までに行われた計3回の入札は、いずれもローンスターが落札。債権額は総額1490億円に上る。取得額は明らかにしていない。取得した物件数は1213件だが、このうち建築途中や土地だけの物件を除いた収益物件は1083棟、1万4447室となる。物件の99%は東京23区内にあるという。

編集部が過去に取材したかぼちゃの馬車の1室

同社によると、最初の2回の入札で取得した約600棟の入居率は79%となっている。入居者の内訳をみると、年代別では20代が70%、30代が25%を占める。性別では女性が52%と多く、国籍は日本人が65%、外国人が35%となっている。

鏑木社長は「若者を中心に低コストで都心に住める、1つの社会インフラになっている。(一連の事件によって)イメージが悪く、正しく評価されていないが、賃貸住宅の1つのカテゴリーとして再生していきたい」と述べた。

物件の運営方針

運営の効率化を図るため、これまで約200あった管理会社は、三好不動産(福岡県)、GGハウスマネジメント(東京都)、クロスハウス(同)の3社に集約する。このうち三好不動産が運営パートナーとして、リブランドや募集サイトの構築など運営全般を担う。

三好修社長は「これまで九州でホームレスや家庭内暴力(DV)被害者らの居住支援にも取り組んできた。新ブランドを通して居住支援の活動も広げていきたい」と話した。

新ブランドのコンセプトは「仮住まい」。地方から上京する若者や来日して間もない外国人留学生の入居を想定し、賃料は3万~7万円台に設定する。エリアによっては1駅に同一ブランドの20棟が集中する場所もあるといい、同一商圏内の家賃は統一する。

選んだ物件との相性が合わなかったり、勤務地が変更になったりした場合の住み替えニーズを想定し、同一ブランドのほかの物件に簡単な手続きで住み替えられるようにする。

入居率や収益性の改善に向け、利便性の高い設備やサービスを導入する。スマートフォンで鍵を操作できる「スマートロック」を年内に全戸に導入。電動キックボードや電動アシスト自転車のシェアリングサービスも順次導入していく。将来的には、洋服や家具など10種類ほどのサービスを入居者が利用できるようにする方針という。

入居者の募集は専用の募集サイトで行う。新ブランドの物件は管理会社に関係なくすべてこのサイトに掲載する。このほか、関東圏の電車内で動画広告を配信。SNSなどでも情報発信し、地方から上京する若者らの取り込みを図る。

鏑木社長は「入居率を90%くらいまで上げていきたい。運営を効率化することで個人オーナーが運営していた時よりも収益性は高くなり、安定的なビジネスになると考えている」と語った。

                                                 株式会社寧広